セラファ・バイオサイエンス「細胞製造の自動化」を開発

セラファ・バイオサイエンス株式会社

セラファ・バイオサイエンス「細胞製造の自動化」を開発|研究領域=ヒト型ロボットが・細胞を培養・加工/強み=AIが工程を・最適化する/将来性=他の拠点へ・工程を転送

企業紹介|セラファ・バイオサイエンス株式会社とは?

ヒト型ロボットとAIが、再生医療等製品(細胞を培養・加工してつくる医療製品)の製造を支える技術として、研究開発が進む「細胞製造の自動化」。セラファ・バイオサイエンス株式会社は、その社会実装を目指す、バイオ系ディープテック企業です。安川電機のヒト型ロボット「まほろ」を使う製造プラットフォームを開発し、スタートアップや学術機関へのサービス提供を計画しています。

キーワード「細胞製造の自動化」

「細胞製造の自動化」は、再生医療等製品となる細胞の培養や加工を、ロボットとソフトウェアで担う取り組みです。手作業では担当者により仕上がりが変わるため、作業を機械へ置き換えて、製造の再現性を高める狙いがあります。同社は、ヒト型ロボットの精度と再現性を、熟練した作業者と同等以上にすることを目指しています。

市場課題|細胞製造に残る、手作業と技術移管の課題

現状の細胞製造の課題|現状は、手作業が多く品質が安定しにくい|手作業で・品質が安定しにくい/移管に・技術者を派遣

手作業で品質が人により変わる

再生医療等製品の細胞製造は、手作業の工程が多く、担当者の技能に左右されます。熟練した技術者の手技を、同じ品質で再現することが難しいためです。その結果、製造する細胞の品質が安定しにくくなります。

製造法の移管が複雑

確立した製造方法を別の拠点へ移す技術移管(製造方法を別の拠点や組織へ移すこと)は、工程が複雑です。従来は、熟練した技術者を移管先へ派遣して進めてきました。そのため、移管のたびに人手と時間がかかります。

他にも、製造にかかる時間、費用、品質のばらつき、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 技術移管ある拠点で確立した細胞の製造方法を、別の拠点や組織へ移し、同じ品質で再現できるようにすることである。工程の条件や手順を、移管先へ正確に伝える必要がある。

セラファ・バイオサイエンスの強み|「細胞製造の自動化」を開発

セラファ・バイオサイエンスが「細胞製造の自動化」を開発|今後は、ロボットで手技の再現が可能に|ヒト型ロボットが・手技を再現/工程をデジタル化し・他の拠点へ移管

ヒト型ロボットが手技を再現

手作業の細胞製造では、担当者の技能によって、工程の精度と再現性が変わります。

同社が使う「まほろ」は、安川電機の子会社であるロボティック・バイオロジー・インスティテュートが開発した、汎用のヒト型ロボットです。双腕で、研究室で使う標準的な器具を操作し、複数の手順を同時に進められます。熟練者の暗黙知(言葉にしにくい経験やコツ)は、デジタルデータとして記録する対象です。AIが提案した条件で実験を行い、結果を解析する流れを、システムが担います。ロボットが工程を担うため、人の技能に左右されにくい製造につながる点が利点です。

工程をデジタル化し移管

従来の技術移管は、熟練した技術者を移管先へ派遣して進めてきました。

同社は、「まほろ」で探った工程をAIで最適化し、デジタルデータとして保存します。AIは、ベイズ最適化(試した結果から次に試す条件を推定する手法)や機械学習による工程の解析を通じて、最適な条件を提案する役割です。製造中の品質は、リアルタイムで監視します。完成した工程は、他の製造拠点の「まほろ」にも、「ONE CLICK TRANSFER」(工程のデータを他の拠点へ転送する仕組み)で転送できます。実践的なトレーニングを受けていなくても迅速に転送でき、技術移管を素早く進められる点が利点です。

FrontJournalの解説
  • ベイズ最適化過去の試行の結果から、次に試すと良い条件を確率的に推定し、少ない試行回数で最適な条件を探す手法である。

細胞製造の自動化の未来|研究支援から治験薬の製造へ

自動化した細胞製造が変える未来|研究支援から治験薬製造へ広げる|研究支援を・開始予定/治験薬の製造を・2028年初めに計画/スタートアップと・共創の基盤へ

研究支援サービスの開始予定

同社は、2026年3月時点の計画で、2026年4月に研究支援サービスを開始するとしています。対象は、スタートアップや学術機関が手がける細胞治療の候補です。サービスでは、「まほろ」とAIで再現性の高い工程を探り、デジタル化します。対象の細胞には、iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来の細胞、間葉系幹細胞(骨や脂肪などの細胞になりうる幹細胞)、CAR-T細胞(がんを狙うよう改変した免疫細胞)などがあります。

治験薬製造は2028年初め

プラットフォーム上での治験薬の製造は、2028年初めに実施する計画です。治験薬は、臨床試験(人での有効性や安全性を確かめる試験)に使う薬です。製造は、GMP(医薬品の製造管理と品質管理の基準)に適合した製造拠点で、パートナーの細胞治療の候補を対象に行います。製造拠点のGMP施設は、つくば市のアステラス製薬つくばバイオ研究センター内にあり、2026年3月31日時点で立ち上げ中としています。

共創の基盤を目指す

同社は、スタートアップや学術機関が細胞治療を進める共創の場を掲げています。事業の呼称は「PRDMO」(連携から製造までを担う事業)です。受託製造とは区別しています。デジタル化した工程を各国のGMPに対応した製造拠点の「まほろ」へ転送する技術移管を土台に、細胞治療を世界各地で製造できる基盤を目指します。

会社概要|セラファ・バイオサイエンスの事業内容・設立背景

アステラスと安川の合弁で設立

同社は、2025年9月29日に設立された、アステラス製薬と安川電機の合弁会社(共同で出資して設立した会社)です。出資比率は、アステラス製薬が60%、安川電機が40%。資本金は、資本準備金を含めて45億円となっています。社名のCellafaは、Cell Advanced Future Automationに由来します。事業の開始は2025年10月1日で、決算月は3月です。

東京・つくば・大阪に拠点

本社は、東京都文京区の東京科学大学M&Dタワー20階にあります。製造拠点の「GMPサイト」はつくば市、開発拠点の「PDサイト」は大阪市の中之島にあります。従業員は、2026年3月1日時点で25名。代表取締役社長は山口秀人氏、取締役には、蒲原正純氏と安川電機の清水圭氏が名を連ねます。事業は、再生医療等製品の製造プラットフォームの開発と、スタートアップや学術機関へのサービス提供です。

「まほろ」を使う研究の蓄積

アステラス製薬は、2017年に「まほろ」を研究用途で導入し、2020年から細胞治療の製造の自動化に本格的に着手しました。同社の設立前の2022年6月28日に、理化学研究所は、「まほろ」を使い、iPS細胞から網膜色素上皮細胞(網膜を構成する細胞)へ育てる条件を、ベイズ最適化で探索した研究を発表しています。この研究は、科学誌『eLife』に掲載されました。

会社情報

会社名セラファ・バイオサイエンス株式会社
所在地東京都文京区湯島1-5-45 東京科学大学M&Dタワー20階
設立2025年9月29日
代表代表取締役社長 山口 秀人
資本金45億円(資本準備金を含む)
従業員25名(2026年3月1日時点)
事業再生医療等製品の製造プラットフォームの開発、スタートアップ・学術機関向けのサービス提供
技術領域ヒト型ロボット「まほろ」を使う細胞製造の自動化。AIによる工程の最適化。ONE CLICK TRANSFER
連携アステラス製薬60%、安川電機40%の合弁会社
URLhttps://cellafa.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

細胞治療の製造は、熟練者の手技に支えられてきた領域です。セラファ・バイオサイエンスは、その手技をロボットとAIでデジタルの工程に置き換え、別の拠点へ転送できる形にしようとしています。細胞治療を手がける研究者にとって、製造の負担は小さくありません。

注目したいのは、製造の自動化と技術移管を、1つの仕組みとして組み合わせている点です。ロボットが手技を再現し、AIが条件を探し、工程を別の拠点へ転送する流れが成り立てば、細胞治療の開発者が製造を立ち上げる際の負担は軽くなります。製造の仕組みそのものを、研究開発の基盤として使える点に意義があります。

同社は、アステラス製薬と安川電機が出資する合弁会社です。2028年初めに計画する治験薬の製造は、この仕組みの実力を示す機会の一つになります。引き続き注目していきたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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