有限会社Q-Lightsは有機EL材料を素子にして評価する北陸先端科学技術大学院大学発の企業

有限会社Q-Lights(キューライツ)

Q-Lights「有機半導体材料の受託評価」を研究|研究領域=材料を素子にして・実力を確かめる/強み=封止の性能を・数値で比べる/将来性=巻き取り製造の・装置を目指す

企業紹介|有限会社Q-Lightsとは?

材料メーカーが自社に装置を持たずに新材料の実力を確かめられる仕組みとして、注目を集める「有機半導体材料の受託評価」。有限会社Q-Lightsは、その実現に取り組む、北陸先端科学技術大学院大学発の材料系ディープテック企業です。有機EL材料を素子にして比べる評価サービスや、封止の性能を測る「カルシウム基板」を、材料メーカーや研究機関へ提供しています。

キーワード「有機半導体材料の受託評価」

「有機半導体材料の受託評価」は、預かった材料を実際の素子(材料を薄く重ねて機能させる、製品の最小単位の部品)に組み立てて性能を測る受託サービスです。特徴は、材料の分析にとどまらず、発光の明るさや寿命まで既存品と並べて比べられる点にあります。新材料の開発の現場で、自社に設備がなくても、製品に近い形で実力を確かめられます。

市場課題|物性の分析では実力が分からず、封止の性能も比べにくい

現状の材料評価と封止の課題|現状は、材料の実力も封止の性能も比べにくい|物性の分析では・実力が不明/封止の性能を・比べにくい

物性の分析では実力が不明

有機EL(電流を流すと有機物が光る現象を利用した発光素子)の材料は、分析装置で測る物性(材料そのものの性質)だけでは、製品に組み込んだときの実力を見通しにくい状況です。明るさや寿命は、複数の有機の薄膜を重ねた素子の構造や、組み合わせる別の材料によって変わるからです。そのため、有望な新材料でも採用の判断が遅れ、開発の期間が延びやすくなります。

封止の性能を比べにくい

有機ELの封止(水分や酸素が入らないように素子を密閉する処理)は、性能を数値で比べにくい状態が続いています。従来の評価は素子を作って劣化を観察する方法が中心で、素子の作り方の違いが結果に混ざります。素子に入った水分や酸素の量も測りにくいため、材料や接着剤の優劣を同じ物差しで判断しにくい状況です。

他にも、フィルム基板の耐熱性、量産時の膜厚のばらつき、装置への設備投資、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 封止有機ELの素子を水分や酸素から守るために密閉する処理を指す。有機の薄膜や電極は水分に弱く、ガラスやフィルム、接着剤で覆って外気を遮る。この処理の出来が素子の寿命を左右する。

Q-Lightsの強み|「有機半導体材料の受託評価」を研究

Q-Lightsが「有機半導体材料の受託評価」を研究|今後は、素子化と定量評価が可能に|素子にして・既存品と比較/カルシウム基板で・封止を定量

素子にして既存品と比較

従来の材料評価は、薄膜の光の吸収や発光のスペクトルを測る物性の分析が中心で、素子にしたときの明るさや寿命までは分かりにくい弱点がありました。

同社の受託評価は、預かった材料を真空蒸着(材料を熱して蒸気にし、基板の上に薄膜として積もらせる方法)で薄膜にし、電極と封止まで組み立てて素子にします。測るのは、電流・電圧・輝度の関係や発光のスペクトル、明るさが半分になるまでの輝度半減寿命です。同じ構造の素子を既存の材料でも作り、同条件で比べます。耐熱試験やガスバリア性(水分や酸素をどれだけ通しにくいか)の測定も、依頼に応じて選べる項目です。材料メーカーは装置をそろえなくても実力を確かめられ、設備投資より前に採用の可否を判断できます。

カルシウム基板で封止を定量

封止の評価は素子の劣化の観察に頼っていたため、素子の作り方の違いが結果に混ざり、正確な比較が難しい状況でした。

同社の「カルシウム基板」は、膜厚を決めたカルシウムの薄膜を基板に成膜した評価用の部材です。カルシウムは水分や酸素と反応すると金属らしい光沢を失い、白く濁っていきます。入り込んだ量だけ濁りが広がるため、濁った部分の広さと膜厚、密度から侵入した水分と酸素の量を見積もれます。カルシウム基板を包むフィルム基板や接着剤を変えて並べれば、どの部材がよく水分を防ぐのかを同じ物差しで示せる仕組みです。素子を作らずに封止の性能を数値で比べられるため、部材を選ぶ手間を減らせます。

FrontJournalの解説
  • 真空蒸着空気を抜いた容器の中で材料を加熱し、蒸気にして基板の上へ薄膜として積もらせる成膜法を指す。低分子系の有機ELでは発光層や電極をこの方法で重ねる。膜厚を細かく制御できるため、素子の性能比較に向く。

有機半導体材料の受託評価の未来|評価用の部材の供給から、巻き取り製造の装置へ広げる

有機半導体の評価が変える未来|部材の供給から巻き取り製造へ|評価に使う・部材を供給/太陽電池や・センサーへ拡大/巻き取り製造の・装置を目指す

評価に使う部材を供給

同社は評価に使う部材の販売も手がけています。代表的な製品は、有機ELや有機薄膜太陽電池の土台になる「ITO基板」(透明な電極の膜を付けたガラス基板)です。ガラスを切る工程で電極の表面を保護し、ガラスくずが付きにくいようにした防塵切断のプロセスを採っています。基板の品質のばらつきが小さくなるため、評価や試作の結果を再現しやすくなり、用途の広がりを支えます。

太陽電池やセンサーへ拡大

評価の対象は、有機ELから有機半導体の全体へ広がっています。有機薄膜太陽電池や、有機半導体を使うセンサー向けの材料も、素子にして既存品と比べる対象です。封止の技術は、曲げられるフィルム基板を使う製品ほど重みを増します。「カルシウム基板」はフィルム基板や接着剤の評価にも使えるため、曲がる製品の開発を後押しします。

巻き取り製造の装置を目指す

同社は、有機半導体をロールtoロール(フィルムを巻き取りながら連続して加工する方式)で製造する装置の開発を、経営理念に掲げています。巻き取りながら連続して製造できれば、大きな面積の半導体を一枚ずつ仕上げるより短い時間で製造できます。土台にあるのは、創業以来の有機EL照明の開発で培った封止の技術です。スクリーンのように広げて使う太陽電池も視野に入れ、有機半導体の実用化と事業化を目指しています。

会社概要|大学の研究から生まれ、有機半導体材料の受託評価を手がける

大学の研究から評価事業へ

有限会社Q-Lightsは2005年3月に創業し、2006年7月に「有機EL材料評価サービス」を始めました。国内で初めての評価サービスとされています。土台になったのは、2002年3月に始まった科学技術振興機構の地域重点研究開発事業「三谷プロジェクト」で開発された、有機ELの素子と光らせ方を調整する技術です。源流にあるのは、北陸先端科学技術大学院大学の三谷忠興教授の研究です。

採択と受賞の実績

同社は、サービス開始の前後に、採択や表彰を受けています。2006年3月には中小企業基盤整備機構(中小企業の支援を担う独立行政法人)の事業化支援事業に採択され、同じ月に当時の本社があった山口県の経営革新計画(県が中小企業の新事業を承認する制度)としても承認されています。2007年2月には、やまぐち産業振興財団の「起業家養成カレッジ」で西京銀行賞を受けました。2008年9月には、三菱UFJ技術育成財団の研究開発助成金の交付プロジェクトに採択されています。

花巻市を拠点に事業を展開

現在の拠点は岩手県花巻市の花巻市企業化支援センターです。本社は石川県能美市から2005年10月に山口県山陽小野田市へ移り、2012年2月に花巻市へ移転しました。2014年2月には資本金を800万円へ増やし、有機の成膜装置に設備投資しています。事業は材料の評価サービスのほか、技術と封止のコンサルティング、部材の販売等です。

会社情報

会社名有限会社Q-Lights(Q-Light co. Ltd.)
所在地岩手県花巻市二枚橋第5地割6番地3 B-4(花巻市企業化支援センター)
設立2005年3月(創業)
代表取締役 枡田 剛
資本金800万円(2014年2月に増資)
事業有機EL材料評価サービス。技術コンサルティング。有機半導体の封止のコンサルティング。ITO基板やカルシウム基板などの部材の販売等
技術領域有機ELなど有機半導体の作製・評価技術。素子化による材料の比較評価。カルシウム基板による封止性能の定量評価
採択中小企業基盤整備機構 事業化支援事業(2006年3月)。山口県 経営革新計画の承認(2006年3月)。三菱UFJ技術育成財団 研究開発助成金(2008年9月)
URLhttps://www.q-lights.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

新しい材料の実力は、素子に組み込んで初めて見えてきます。同社は、その確かめる工程を引き受ける事業を、2006年から20年にわたり続けてきました。装置と工程をそろえるのは容易ではなく、材料メーカーにとっては心強い相手だといえます。

注目したいのは、封止の性能を面積という目に見える形に置き換えた「カルシウム基板」です。白く濁った部分を測れば、入り込んだ水分や酸素の量が分かります。比べる物差しを用意することが、曲がる太陽電池やセンサーの開発を静かに支えていくはずです。

岩手県花巻市から、巻き取り方式で製造する有機半導体が広がる日を期待しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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