MamaWell|千葉大学・筑波大学発の「妊婦の健康管理」を研究するディープテック企業

株式会社MamaWell(ママウェル)

MamaWell「妊婦の健康管理」を研究|研究領域=働く妊婦の体調を見守る/強み=助産師とデータで健康管理を支援/将来性=自治体へ広げ切れ目のない支援へ

企業紹介|MamaWellとは?

妊娠中の体調の変化に合わせて、活動量や生活を整える「妊婦の健康管理」。株式会社MamaWellは、その社会実装を目指す、千葉大学・筑波大学発のヘルスケア系ディープテック企業です。ウェアラブル端末(体に着けて使う計測機器)で集めた心拍数や活動量をもとに、「パーソナル助産師」(妊婦ごとに付く専属の助産師)が妊婦を支えるサービスを、企業や自治体に提供しています。

キーワード「妊婦の健康管理」

妊婦の健康管理は、妊娠中の体調や活動量、睡眠を整え、母体と胎児の健康を保つための取り組みです。妊婦健診は医療機関で間隔を空けて行われるため、健診と健診の間の生活をどう送るかは妊婦本人の判断に委ねられます。健診の合間に体調の変化や不安を相談できる相手がいるかどうかも、妊婦の安心を左右します。

市場課題|妊婦の活動量と職場での業務調整に課題

現状の妊婦の課題|現状は、安静志向で活動量が足りず、業務調整も遅れがち/妊娠中の活動量が不足/職場での業務調整が難しい

妊娠中の活動量が不足

日本では、国際的に推奨される活動量を満たす妊婦は少ないといわれています。背景には、「妊娠したらできるだけ安静にしたほうがよい」という根強い安静志向があります。妊娠中の適度な身体活動は妊娠合併症(妊娠をきっかけに母体に起こる病気)のリスク低減につながるとされ、活動量の不足が続けば合併症を防ぐ機会を逃しかねません。

職場での業務調整が難しい

妊娠中は体調変化が起こりやすいため、働く妊婦の業務量を体調に合わせて調整するのは難しい面があります。妊婦は体調の不安を職場に伝えにくく、上司はどこまで体調を尋ねてよいか迷うため、調整は後回しになりがちです。調整が遅れれば、体調を崩して休職や離職に至る恐れがあります。

他にも、晩婚化に伴って増えている高齢妊娠、妊娠中に起こり得る心の不調、出産後に始まる共同育児への備え、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 妊娠合併症妊娠をきっかけに母体に起こる病気の総称。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などがあり、母体だけでなく胎児の発育や早産にも影響することがある。

MamaWellの強み|「妊婦の健康管理」を研究

MamaWellが「妊婦の健康管理」を研究|現在は、助産師とデータで健康管理を提供/データで活動量を見守る/業務の負荷をレポートで可視化

データで活動量を見守る

従来の妊婦の健康管理は健診での記録が中心で、健診の合間の活動量や体調の変化は、医療者が把握しにくい面があります。

同社のサービスでは、妊婦が腕時計型のウェアラブル端末を身に着け、心拍数などのバイタルデータに加え、活動量や睡眠時間をスマートフォンのアプリに記録します。記録を確認するのは、同社の教育プログラムを修了した助産師です。助産師はデータから体調の変化を読み取り、妊婦一人ひとりに合わせた健康管理プランを示すとともに、面談で体調に合った運動や休み方を助言します。この仕組みで同社が目指すのは、妊娠合併症のリスク低減です。妊婦は健診の合間も安静にしすぎず、体調に合った活動量を保ちやすくなります。

業務の負荷をレポートで可視化

働く妊婦がどの程度まで働いてよいかは、本人にも上司や同僚にも判断しにくく、体への負担を客観的に示す材料は限られていました。

同社は、専属の助産師による定期的なオンライン面談とチャットでの相談によって、妊婦が体調の変化や不安を一人で抱え込まないようにしています。企業向けには、職場で体にかかる負荷を計測し、その大きさを示すレポートを用意して、妊婦のプライバシーを守りながら職場での調整を支えます。面談で話した内容は、本人の同意がない限り会社に伝わりません。企業は根拠をもって業務量を調整しやすくなり、妊婦は体調を崩す前に働き方を見直しやすくなります。

FrontJournalの解説
  • バイタルデータ心拍数や体温、血圧、呼吸など、体の状態を表す数値。健康管理では、活動量や睡眠時間とあわせて日々の変化を記録し、体調の把握に用いる。

未来|妊婦の健康管理が働き方と子育ての安心を支える

妊婦の健康管理が変える未来|企業から自治体へ広がる妊婦支援/企業と健保組合で導入が拡大/自治体の妊婦支援へ展開/切れ目のない支援を目指す

企業と健保組合で導入が拡大

同社のサービスは、2026年5月時点で200を超える企業・健康保険組合(企業の従業員が加入する公的医療保険の運営団体)に提供されています。2023年5月にフォースタートアップス株式会社で初めて導入され、その後C&Rグループ健康保険組合や三菱UFJ銀行健康保険組合などが提供を始めました。支援の対象は妊婦本人に加え、パートナーの学びや共同育児の準備にも及びます。働く妊婦は、勤め先を通じて助産師に相談できる環境を得られるようになりました。

自治体の妊婦支援へ展開

自治体が妊婦に提供する支援にも、同社のサービスは広がっています。東京都品川区では、区が試行する「オンラインMy助産師」事業を同社が運営し、利用者は2025年10月時点で200名を超えました。2026年には茨城県東海村と富山県富山市でも提供が始まっています。妊婦は勤め先だけでなく、住んでいる自治体を通じても助産師に相談できるようになりました。

切れ目のない支援を目指す

どこに住んでいても妊婦に必要な支援が届く状態を、同社は目指しています。この構想は、病院・自治体・職場に分かれていた相談先を、ウェアラブル端末とアプリ、助産師との面談でつなぐものです。面談にはパートナーも同席でき、出産前から共同育児に備えられます。妊娠から産後までを一続きで支える仕組みが広がれば、働く妊婦とその家族は、仕事と子育てを両立させる見通しを立てやすくなります。

会社概要|株式会社MamaWell

助産師の研究から創業

代表取締役の関まりか氏は、千葉大学大学院での研究をもとに2022年8月に同社を設立した助産師です。富山市出身で、病院勤務ののち、同大学院で「妊婦の身体運動」をテーマに、JST(科学技術振興機構)の「次世代研究者挑戦的研究プログラム」の支援を受けて博士論文の研究に取り組みました。起業の土台になったのは、その研究と助産師としての経験、自身の妊娠・出産の経験です。同社は千葉大学・筑波大学発のベンチャーで、本社は茨城県つくば市にあります。

実証事業と資金調達

同社は2023年8月、経済産業省の令和5年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の補助事業者に採択されました。2024年2月には「ウーマンズビジネスグランプリin品川」でグランプリを獲得し、2025年7月には東京都の「キングサーモンプロジェクト」と渋谷区の「Testbed City Shibuya」にも採択されています。資金面では2024年6月に、ベンチャーキャピタルのANRIを引受先とするJ-KISS型新株予約権(将来、株式に転換される権利と引き換えに資金を受け入れる方式)による資金調達と、千葉銀行からの借入れを実施しました。

妊婦伴走サービスを運営

事業の柱は、パーソナル助産師とヘルスデータを組み合わせた妊婦の伴走型健康管理サービス「MamaWell」です。企業向けには、社内向けのレポートを加えた「MamaWell for Biz」を提供しています。プライバシーマーク(個人情報を適切に扱う事業者の認定制度)も取得済みです。

会社情報

会社名株式会社MamaWell(MamaWell Co.,Ltd.)
所在地茨城県つくば市吾妻2-5-1 つくば市産業振興センター1F(本社)。東京支社:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー15F
設立2022年8月
代表代表取締役 関まりか
事業パーソナル助産師とヘルスデータによる妊婦の伴走型健康管理サービス「MamaWell」、企業向け「MamaWell for Biz」の提供
技術領域ウェアラブル端末による妊婦のバイタルデータ(心拍数・活動量・睡眠)の記録と、助産師によるオンライン面談を組み合わせた健康管理
連携東京都品川区(「オンラインMy助産師」事業の運営)、茨城県東海村、富山県富山市、企業・健康保険組合
採択経済産業省 令和5年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」(2023年)。東京都「キングサーモンプロジェクト」、渋谷区「Testbed City Shibuya」(2025年)
URLhttps://mamawell.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

MamaWellのサービスは、妊娠中の体を安静にさせるのではなく、適度に動かすという考え方に立っています。助産師として現場に立った経験と、大学院での研究を起業の土台にした点が、同社の特徴といえます。端末のデータと助産師への相談を組み合わせた支援は、妊娠中の不安を一人で抱え込まないための仕組みです。

支援の届け先は、企業や健康保険組合から自治体へと広がってきました。千葉大学からは、医療やヘルスケアの分野でもスタートアップが生まれており、その顔ぶれは千葉大学発スタートアップ10選でも紹介しています。働く妊婦の健康管理がどこまで社会の当たり前になるのか、今後の展開に注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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