me.MORI「樹木葬」を研究

株式会社me.MORI(メモリ)

me.MORI「樹木葬」を研究|研究領域=樹木葬の墓地づくりを支援/強み=森林と風景計画の知見/将来性=遺骨を土に還す技術を研究

企業紹介|株式会社me.MORIとは?

樹木を墓標として遺骨を埋葬する形が、注目を集める「樹木葬」。株式会社me.MORIは、その墓地づくりを支える、北海道大学発のスタートアップです。樹木葬墓地の開設支援とコンサルティングを手がけるほか、遺骨を土に還す技術の研究にも取り組んでいます。

キーワード「樹木葬」

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標として、遺骨を埋葬する墓地の形です。墓石を建てないため、墓地を森林や庭園のような緑地として整える設計ができます。樹木葬を含む継承者不要の墓が主流になったと、鎌倉新書が2023年に公表した調査で報告されています。

市場課題|石板で示す形の主流化と森林への負荷

現状の樹木葬の課題|現状は、石板で示す形が主流で樹木の役割が後退|石板で示す形が主流樹木の役割が後退/森林への埋葬は負荷が課題

石板で示す形が主流に

国内の樹木葬墓地は、インターネット上で確認できる数が1,000か所に迫ると、同社代表を含む研究者の2022年の論文で報告されています。鎌倉新書の2023年の調査では、墓探しサービス「いいお墓」を通じて2022年に墓を購入した人の51.8%が、樹木葬を選びました。近年の都市型樹木葬では石のプレートで埋葬箇所を示す形が主流で、墓標としての樹木の役割が後退したと同論文は述べています。

森林への埋葬は負荷が課題

森林に遺骨を埋める方式には、環境への負荷が課題として指摘されています。関西の循環葬は遺骨を森林の土地に埋める方式で、むき出し部分のある林地は極端な豪雨で林床が崩れる懸念があると、同社代表が共著者に加わる北海道大学の研究グループが報告しています。

他にも、遺骨の取扱い、墓標としての樹木の役割、林床の保全、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 都市型樹木葬樹木葬墓地の形の一つである。既存の森林ではなく、庭園や公園の形式で新たに作られた墓地を指す。石のプレートなどで埋葬箇所を明示する形態が主流とされる。

me.MORIの強み|「樹木葬」を研究

me.MORIが「樹木葬」を研究|現在は、森林と風景の知見で開設支援を提供|森林と風景の知見で設計/菌根菌で遺骨を土に還す研究

森林と風景の知見で設計

同社は、代表の上田裕文がドイツで続けてきた研究にもとづき、次の3点が調和した日本の樹木葬墓地を提案しています。

1点目は、森林科学と環境保全の知見による、長期の計画と管理で、持続可能な森林管理を行うこと。2点目は、ランドスケープ科学(風景計画など、景観を設計する学問)の観点から、明るく美しく整えた自然空間を作ること。3点目は、地域社会と連携し、誰もが気軽に訪れられる日常の生活空間にすることです。同社が提案する3点が調和した墓地では、森林の保全とも両立しながら、誰もが気軽に訪れやすい日常の場として使うことができるようになります。

菌根菌で遺骨を土に還す研究

森林に遺骨を埋める方式では、遺骨の扱いが、研究上の課題とされています。

同社は、遺骨を土に還す技術の開発に取り組んでいます。この技術は、菌根菌(樹木の根と共生する菌)やヘルパーバクテリア(菌根菌の定着を助ける細菌)を応用し、骨の分解とリンの吸収を促す仕組みです。骨の約85%を占めるリン酸カルシウムは、樹木の養分となるリンを含む物質です。より良い埋葬方法は、現在も研究中であるとしています。研究が実用化されれば、遺骨を土に還し、木1本だけでなく森として生き続ける埋葬を、選択肢の一つとして実現できるようになります。

FrontJournalの解説
  • 菌根菌植物の根に共生する菌である。土の中に菌糸を広げ、植物が水や養分を吸収するのを助け、見返りに植物から糖を受け取る。

樹木葬の未来|遺骨が森の養分になる埋葬へ

遺骨を土に還す研究が変える未来|遺骨が森の養分になる埋葬を目指す|墓地の開設支援を提供/新設や再整備の提案へ/遺骨を土に還す埋葬を目指す

開設支援をすでに提供

同社は、樹木葬墓地の開設支援とコンサルティングを、すでに提供しています。開設では、森林の保全、整備、利用についての提案が、サービスの一つです。許認可や環境への適合といった、法規対応の支援も、サービスに含まれます。開設を検討する側は、こうした内容を相談できます。

新設や再整備の提案へ

樹木葬墓地の新設や再整備に加え、公園やグリーンインフラの導入も、同社のコンサルティングの対象です。グリーンインフラとは、自然の持つ機能を社会の基盤に生かす考え方です。代表の上田裕文の2022年の論文は、遺骨を保管するコンクリート製の施設を持つ既存の墓地が、雨水を地下に浸透させる緑地のような「グリーンインフラ」としての墓地へ、転換していく可能性があると述べています。

遺骨を土に還す埋葬を目指す

遺骨を土に還す技術を、より良い埋葬方法として確立することが、同社の研究の目標です。菌根菌とヘルパーバクテリアで、骨の分解とリンの吸収を促す仕組みは、現在も研究中です。同社の代表が共著者に加わる北海道大学の研究グループは、カラマツ林を想定した樹木葬の基礎研究を報告しています。同社は、遺骨を土に還し、森の中で生き続ける埋葬を目指しています。

会社概要|me.MORIの事業内容・設立背景

北海道大学発の企業として設立

同社は、2024年12月に設立された、北海道大学発のベンチャーです。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースでは、北海道大学との関係は教職員等ベンチャーです。代表の上田裕文は、北海道大学の教授を務めます。同データベースでは、関連大学は北海道大学、分野は環境・エネルギーです。北海道大学の「北大人図鑑」(2021年12月)では、上田が起業を視野に、樹木葬の社会実装を目指していると紹介されています。

代表の研究と専門分野

代表の上田裕文は、風景計画、造園学、森林美学を専門とする研究者です。東京大学で森林環境科学を学び、ドイツ学術交流会(DAAD)の奨学金でカッセル大学に留学し、2009年7月に博士号を取得しました。その後、札幌市立大学を経て、現在は北海道大学で教えています。日本とドイツの樹木葬の比較を研究し、『こんな樹木葬で眠りたい』(旬報社、2018年)を著しています。

支援と技術開発と法規対応

事業は、樹木葬墓地の開設を支援するコンサルティング、遺骨を土に還す技術の開発、許認可や環境への適合といった法規対応の支援です。コンサルティングでは、森林の保全や整備、利用の提案を行います。技術開発では、菌根菌とヘルパーバクテリアを応用します。

会社情報

会社名株式会社me.MORI
所在地北海道札幌市中央区宮の森一条11丁目1番20号
設立2024年12月
代表上田 裕文
資本金200万円
事業樹木葬墓地の開設支援とコンサルティング、遺骨を土に還す技術の開発、法規対応の支援
技術領域樹木葬、森林管理、風景計画、菌根菌の応用
連携北海道大学発ベンチャー
URLhttps://www.me-mori.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

「いいお墓」経由で2022年に墓を購入した人の半数超が、鎌倉新書の調査で樹木葬を選びました。一方で、石板で埋葬箇所を示す形が主流になり、墓標としての樹木の役割が後退するという指摘が、同社代表の論文から出ています。森林に埋める方式にも、林床が崩れる懸念があります。

me.MORIの特徴は、森林と風景計画の研究者が、墓地づくりの助言と、遺骨を土に還す技術の研究を、あわせて進めている点です。墓地の開設支援と設計の知見の提供を通じて、研究の知見を樹木葬に生かそうとしています。大学の研究と事業を結ぶ試みでもあります。

遺骨の分解という難しい課題が、研究でどこまで進むのかに注目します。技術が実用段階に進めば、樹木葬の選択肢が広がる可能性があります。今後は、技術の成果と墓地での実例が公表されるかも焦点です。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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