セルアクシア「細胞治療薬」を開発

セルアクシア株式会社

セルアクシア「細胞治療薬」を開発|研究領域=細胞を成分とする治療薬を開発/強み=自己細胞が抗炎症能と再生能/将来性=骨再生や難病へ応用を目指す

企業紹介|セルアクシア株式会社とは?

難病や希少疾病の治療手段として、同社が開発を進める「細胞治療薬」。セルアクシア株式会社は、その社会実装を目指す、東京都中央区のバイオ系ディープテック企業です。患者自身の細胞を使う「E-MNC」と、体細胞を別の細胞へ直接変える「ダイレクトコンバージョン法」で、難病や希少疾病の患者へ届ける治療薬を開発しています。

キーワード「細胞治療薬」

「細胞治療薬」は、細胞そのものを有効成分として、病気の治療に用いる再生医療等製品です。特徴は、人工物の医薬品と異なり、細胞の品質が不均質になりやすく、製造工程の管理が重要になる点にあります。そのため、製造コストをどう抑えるかが実用化の課題とされています。

市場課題|難病の治療法が少なく、細胞の製造も難しい

現状の細胞治療薬の課題|難病の治療法が限られる/細胞の品質管理と製造コストが課題

難病の治療法が限られる

難病や希少疾病には、有効な治療法が確立されておらず、アンメット・メディカル・ニーズ(満たされていない医療上の要望)が残る疾患が少なくありません。患者数が少ないために、市場の大きい疾患の治療薬が優先され、開発が置き去りにされてきたといわれています。そのため、新しい治療薬の開発が求められています。

細胞治療薬は品質管理が難しい

細胞治療薬は、人工物の医薬品と異なり、細胞を使うため品質が不均質になりやすい薬です。そのため製造工程の品質管理が難しく、製造ロットが規格に届かないことによる製造コストの上昇が、実用化の課題とされています。薬機法に基づく再生医療等製品では、厳格な製造工程管理が求められます。

他にも、高額な製造設備の確保、スケールアップの難しさ、採算性の確保、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • アンメット・メディカル・ニーズ有効な治療方法が十分に確立されていない疾患に対する、医療上の要望を指す。患者数の少ない難病や希少疾病では、このニーズが残りやすい。

セルアクシアの強み|「細胞治療薬」を開発

セルアクシアが「細胞治療薬」を開発|抗炎症能と再生能を併せ持つ/体細胞を直接転換し製造を単純に

患者自身の細胞を治療薬にする

これまでの医薬品では成し得なかった治療効果が求められる疾患があり、新しい治療法の開発が課題とされています。

同社が実用化を目指して開発している「E-MNC(Effective-Mononuclear Cell:高機能単核細胞)」は、患者自身の血液に含まれる末梢血単核球(PBMC)を原料にした、自己細胞治療薬です。原料から単純閉鎖系培養により得られます。有効成分のM2マクロファージ(炎症を鎮め、組織の修復に関わる細胞)は、抗炎症能と組織の機能再生能を併せ持つ細胞集団です。患者自身の血液から得た細胞を原料とするため、自己の細胞で治療に臨むことができます。

体細胞を直接転換する

細胞治療薬の製造では、工程の管理が厳格で、高額な設備が必要になる場合があります。

同社のダイレクトコンバージョン(DC)法は、線維芽細胞などの体細胞を、分化能を有する多能性細胞(さまざまな細胞に変わる能力を持つ細胞)を介さずに、骨芽細胞などの目的の体細胞へ直接転換する技術です。原料の線維芽細胞は、患者から容易な方法で非侵襲的に採取できます。DC法では、線維芽細胞から短期間の簡易な製造工程で目的の細胞を得られるため、製造工程が単純で、製造コストを管理しやすい点が特徴です。骨芽細胞を作製する応用では、人工材料を含まない骨様組織の開発に取り組んでいます。

FrontJournalの解説
  • M2マクロファージ炎症を鎮める働きや、組織の修復に関わる働きを持つ免疫細胞の一種を指す。E-MNCでは、この細胞が有効成分とされる。

細胞治療薬の未来|難病治療と歯科の骨再生への応用

細胞治療薬が変える治療の未来|唾液分泌能が5例中4例で改善/歯科の骨造成へ骨様組織を開発/難病や希少疾病へ治療薬を届ける

唾液腺への投与で改善を確認

E-MNCは、放射線性唾液腺萎縮症の初回投与試験で、5例中4例に唾液分泌能の改善が確認されています。放射線性唾液腺萎縮症は、放射線治療の後に唾液腺が萎縮する病気です。試験では、5例の患者に自己E-MNCを唾液腺の中へ局所投与し、全例で良好な安全性が確認されました。同社は、この結果を、本適応症でE-MNCを臨床に応用する有用性を示唆する知見と位置づけています。

歯科の骨造成への応用を研究

DC法は、歯科診療での骨造成治療(歯を支えるあごの骨を増やす治療)への応用が研究されています。線維芽細胞から作る骨芽細胞を用い、人工材料を含まない骨様組織「3D-DCob」を、新しい骨再生の細胞治療法として開発しています。広島大学病院の加治屋幹人教授が持つ3次元的な細胞集塊培養技術と、同社のDC法を融合させた研究です。製造工程を単純にできるため、製造コストの管理がしやすい点が、実用化に向けた特徴と同社は位置づけています。

難病への治療薬の実用化を目指す

同社は、治療法のない難病や希少疾病の患者へ、新規の細胞治療薬を届けることを目指しています。E-MNCに加え、DC法で治療に有用なさまざまな体細胞を作り出し、実用化する構想です。製造面では、FRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」を使い、DC法の製造効率と細胞機能の向上に取り組み、採算性と目的細胞の性能の向上を期待しています。

会社概要|難病の治療薬開発に挑むセルアクシア

2017年創業の研究開発企業

同社は、2017年1月に東京都中央区で創業した、新医薬品と再生医療等製品の研究開発企業です。創業者で代表取締役社長の関誠氏は、東京大学大学院で博士(工学)を取得しました。三菱化成やアンジェスMGなどを経て、同社を創業しています。社名は、ギリシャ語で「価値のあるもの」を意味する「axia」と「cell(細胞)」を組み合わせ、「価値のある細胞」を生み出したいという想いを込めたものです。

採択と連携、臨床試験の成果

「オーダーメイド型細胞治療薬の開発」は、東京都の令和6年度「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」に採択され、同社が2025年5月7日に発表しました。2022年10月に株式会社メディネットと歯科診療の骨造成治療に関する基本合意書を、2026年1月に株式会社FRONTEOとPoC(概念実証)契約を結んでいます。同社は、長崎大学の住田吉慶教授らが実施したE-MNCの臨床試験で、非臨床安全性と細胞CMC(医薬品の製造・品質管理)データの技術移管、製造技術支援を担いました。成果は『Regenerative Therapy』誌に掲載され、同社が2026年2月18日に発表しました。

資金調達と資金の使い道

同社は、2020年9月にベンチャーキャピタルが運営するファンドとエムスリー株式会社を割当先に約7億円を調達しました。2022年8月には、約6.4億円を調達し、累計の調達額は約20.5億円となりました。資金は、E-MNC(CA-702)の治験と薬事承認・販売開始に向けた活動、DCプロジェクトの研究開発、海外展開の基盤づくりに充てるとしています。

会社情報

会社名セルアクシア株式会社(CellAxia Inc.)
所在地東京都中央区日本橋堀留町1-10-9 ログズ日本橋堀留ビル6階
設立2017年1月
代表代表取締役社長 関誠(創業者)
資本金16億4千5百万円(資本準備金を含む)
調達累計約20.5億円(2022年8月時点)
事業新医薬品、再生医療等製品の研究開発と製造販売
技術領域自己細胞治療薬「E-MNC」。ダイレクトコンバージョン(DC)法による体細胞の創製
連携株式会社メディネット(歯科診療の骨造成治療で基本合意)。株式会社FRONTEO(細胞治療薬の製造効率向上のPoC契約)
採択東京都 令和6年度「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」(同社発表 2025年5月7日)
URLhttps://www.cellaxia.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

難病や希少疾病の治療薬は、患者数の少なさから、開発が後回しになりやすい分野です。セルアクシアは、その分野に細胞治療薬という手段で向き合う企業です。放射線性唾液腺萎縮症での初回投与試験の結果は、次の試験に向けた手がかりといえます。

患者自身の細胞を使うE-MNCと、体細胞を直接転換するDC法は、同じ細胞治療薬でも、原料と作り方が異なる2つの道です。細胞治療薬の課題とされる製造の難しさに、工程の単純化で向き合う姿勢に、事業化を見据えた現実的な視点を感じました。両者を併せ持つ点は、同社の特徴といえます。

治療法のない病気に悩む人へ、選択肢が1つでも多く届くことを期待します。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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