CERCIT「医療シミュレーション教材」を開発

株式会社CERCIT(サーキット)

CERCIT「医療シミュレーション教材」を開発

企業紹介|株式会社CERCITとは?

人体に近い感触の模型と、訓練の進行を支えるシステムで、医療現場の手技や判断を繰り返し練習できる「医療シミュレーション教材」。株式会社CERCITは、その社会実装を目指す、東北大学の教員が経営に加わる医療教育企業です。エコー(超音波)画像を見ながら針を刺す練習に使う「US-Sensist」や、救急初期診療の訓練プログラム「GrowSIM」を展開しています。

キーワード「医療シミュレーション教材」

「医療シミュレーション教材」は、実際の患者さんに行う前に、人体を模した模型やシステムを使って、医療の手技や判断を練習するための教材です。繰り返し練習できるため、手技の習得に加えて、チームでの対応力を養う訓練にも使われます。同社は、穿刺の練習モデルや救急診療の訓練プログラムなど、現場の課題に合わせた教材を開発しています。

市場課題|医療教育は練習と指導に負担がかかる

現状の医療教育の課題

穿刺の練習機会が限られる

エコーガイド下穿刺(超音波画像で針先を確認しながら針を刺す手技)の練習機会は、限られています。患者の安全のためにも必須の手技とされ、医師に限らず多くの医療従事者に習得が求められています。そのため、反復練習できる環境が必要とされる分野です。

指導者の準備と負担が大きい

シミュレーション教育(人体を模した人形などで症状を再現する訓練)は、指導者の準備や指導の負担が大きい点が課題です。従来の教育法より、ノンテクニカルスキル(判断力やチーム連携などの技能)の習得にも効果的であることが示されています。ただし、働き方改革による時間的な制約もあり、質の高い訓練の継続が難しい状況です。

他にも、指導者の育成、シミュレータの特性や操作の理解、教育手法の理解、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • エコーガイド下穿刺超音波(エコー)装置の画像で針先と血管などの位置を確認しながら、針を刺す手技である。見えにくい位置への穿刺を安全に行うために用いられる。

CERCITの強み|「医療シミュレーション教材」を開発

CERCITが「医療シミュレーション教材」を開発

刺入感を再現し反復練習

穿刺の練習では、実際の手技に近い刺入感と抵抗感を、繰り返し試せる環境が求められます。

同社は、人体のような刺入感と抵抗感、弾力性を再現した穿刺トレーニングモデル「US-Sensist」を提供しています。血管穿刺、透析シャント穿刺、神経ブロック穿刺(神経の近くに薬剤を注入する手技)、胸腔穿刺といった手技ごとの型があり、練習したい手技に合わせた選択が可能です。エコーゼリーを準備せずに使えるため、その手間が不要です。さらに、繰り返し使える耐久性も備えています。そのため、何度でも針の進め方を練習できる点が利点です。

シナリオ進行を一括で支援

シミュレーション教育では、指導者がシミュレータの操作やシナリオの進行を担うため、準備と運営の負担が大きくなります。

同社の「GrowSIM」は、専門医が監修した症例のシナリオを、端末の操作で進められるプログラムです。シナリオに合わせて、学習者への情報の提示、シミュレータの状態の切り替え、学習者の行動の記録を、端末の画面上で同時に行います。訓練後は、行動の記録と重要点を押さえた「問い」をもとに、デブリーフィング(行動を振り返る教育手法)が可能です。熟練した指導者でなくても、学習者どうしで質の高い訓練を進められます。

FrontJournalの解説
  • デブリーフィング訓練の終了後に、行動の記録や問いをもとに、学習者が自分の判断や行動を振り返る教育手法である。気づきを次の実践に生かすために行う。

医療教育の未来|救急・医療現場から市民教育まで

医療教育が変える未来

救急診療の訓練を全国で提供

「GrowSIM」の救急初期診療編は、2024年5月から全国で販売されています。救急外来で多く遭遇する症状について、専門医が監修したシナリオを用意した構成です。研修医や専攻医による診察や病態評価、臨床推論(症状から原因を絞り込む思考)の力、チーム医療の実践能力の向上が期待されています。これにより、熟練した指導者がいなくても、医療機関で訓練を進めやすくなります。

救急隊の訓練導入を支援

「PROST」(救急隊員向けの判断訓練プログラム)は、養成校や組織への導入の相談を受け付けています。内科的疾患や複合的要因による疾患など、救急隊が判断に迷いやすい症例の訓練を促すプログラムです。傷病者の病態評価能力を高め、アセスメントに基づく病院選定と早期搬送を意識することが狙いです。救急活動時間の短縮と臨床推論能力の向上を目指しており、救急隊が搬送先を判断する場面での活用が想定されます。

学びと健康の回路を目指す

同社は、教育と研究、イノベーションを連携させ、循環する共創の場を築くことを目指しています。社名のCERCIT(サーキット)は、そうして生まれたサービスにより、全ての人の学びと健康の回路になるという思いが込められた名称です。医療や福祉の施設で働く人に加え、市民や子どもたちを対象とした研修やセミナーを実施し、継続して学べる市民向けの情報提供サイトも運営する点が特徴です。こうした取り組みが広がれば、身近な人の健康を支える知識と技術が、より多くの人に届く社会を目指します。

会社概要|CERCITの事業内容・設立背景

2022年に仙台で設立

株式会社CERCITは、2022年8月に設立された、宮城県仙台市の企業です。代表取締役CEOの横川裕大氏は、東北大学病院高度救命救急センターの助教で、救急科専門医です。取締役COOの荒田悠太郎氏は東北大学クリニカル・スキルスラボの専任教員、取締役CXOの大西詠子氏は同大学の講師で、教育と臨床に携わる医療者が経営に加わっています。

共同研究と連携

エコーガイド下穿刺のトレーニングモデルは、東北大学クリニカル・スキルスラボ、青森県産業技術センター工業総合研究所、株式会社アピールとの共同研究により開発されました。「PROST」は、同スキルスラボとレールダルメディカルジャパン株式会社の共同研究に、仙台市消防局の協力を得て開発され、「GrowSIM」は東北大学との共同研究から生まれた製品です。点滴ライン整理デバイス「カラフルラインホルダー」も、東北大学などとの共同開発です。

事業と製品

事業は、医療や介護などの専門職を育てる教育事業と、そのための機器の開発・販売です。製品は、「US-Sensist」「PROST」「GrowSIM」のほか、点滴ライン整理デバイス「カラフルラインホルダー」を取り扱っています。市民向けには、暮らしに必要な医療知識が学べる情報サイト「ライフサポートサーキット」を2024年6月に開設しました。

会社情報

会社名株式会社CERCIT(サーキット)
所在地宮城県仙台市青葉区広瀬町3番34号
設立2022年8月
代表代表取締役CEO 横川裕大、代表取締役CSO 吹田博之
資本金100万円
事業医療・介護などの専門職育成のための教育事業、関連機器の開発・販売
技術領域医療シミュレーション教材(穿刺訓練モデル、シナリオ進行システム)
連携東北大学、青森県産業技術センター、株式会社アピール、レールダルメディカルジャパン
URLhttps://cercit.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

医療の手技は、本番の前に何度も練習できる環境があってこそ身につきます。CERCITは、穿刺の感触を再現する模型と、訓練の進行を支えるシステムを通じて、練習機会の確保と指導の負担の両方に向き合っている点が印象的です。現場の訓練を支える土台になると感じました。

とくに注目したのは、東北大学で教育と臨床に携わる医療者が経営に加わり、現場の必要から教材を形にしてきた姿勢です。救急隊員向けの「PROST」から市民向けの情報提供まで対象が広く、学ぶ対象が広がっていく取り組みといえます。教材の開発から研修の提供までを担う点も、強みの一つに映ります。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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