Kanazawa Diamond|金沢大学発の「カラーダイヤモンド」を開発するディープテック企業

株式会社Kanazawa Diamond(カナザワダイヤモンド)

Kanazawa Diamond「カラーダイヤモンド」を開発|研究領域=研究室で育てたカラーダイヤ/強み=新しい色合いを結晶成長で実現/将来性=宝飾品に加え半導体を目指す

企業紹介|Kanazawa Diamondとは?

黄や青、黒の色を帯び、天然ではごくわずかしか産出しない「カラーダイヤモンド」。株式会社Kanazawa Diamondは、その社会実装を目指す、金沢大学発の素材系ディープテック企業です。金沢大学が持つ結晶成長の技術を応用した独自技術「KASANE®」で、四季の草花をモチーフにした色合いのラボグロウンダイヤモンド(研究室で育てたダイヤモンド)を製造しています。

キーワード「カラーダイヤモンド」

カラーダイヤモンドは、無色ではなく色を帯びたダイヤモンドです。色は多くの場合、炭素の結晶に入り込んだごく微量の別の元素で決まり、窒素は青い光を吸収して黄色を、ホウ素は赤や黄色の光を吸収して青色を生みます。天然のカラーダイヤモンドは、ダイヤモンド約1万個のうち1個ほどといわれています。

市場課題|天然のカラーダイヤモンドは希少で色を選びにくい

現状のカラーダイヤモンドの課題|現状は、天然品が希少で望む色の石をそろえにくい/天然品は希少で色を選びにくい/黒い石は品質と大きさに制約

天然品は希少で色を選びにくい

天然のカラーダイヤモンドは産出量が少なく、望む色の石を選んで手に入れにくい宝石です。色は多くの場合、結晶に入り込んだ窒素やホウ素の量で決まり、天然品ではその量を人が調整することは困難です。そのため、宝飾品のデザイナーが表現したい色の石をそろえることは難しくなります。

黒い石は品質と大きさに制約

天然のブラックダイヤモンドは、品質や大きさに限りがあるといわれています。人工品の一部は、表面だけを黒くした石です。内部まで黒い大粒の石を求める宝飾品の製造では、素材選びの幅が狭まるおそれがあります。

他にも、天然ダイヤモンドの採掘をめぐる紛争、採掘現場の劣悪な労働環境、環境破壊、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • ラボグロウンダイヤモンド研究室や工場で、炭素の原子を結晶として成長させて製造するダイヤモンド。天然品と同じ炭素の結晶であり、硬さや光の屈折といった性質も天然品と変わらない。

Kanazawa Diamondの強み|「カラーダイヤモンド」を開発

Kanazawa Diamondが「カラーダイヤモンド」を開発|現在は、結晶成長で新しい色合いを提供/結晶成長で新しい色合いを実現/黒い宝石質の結晶を育成

結晶成長で新しい色合いを実現

天然のカラーダイヤモンドは、色の種類や濃さを人が選ぶことが難しい宝石です。

同社は、金沢大学のダイヤモンド結晶成長技術(炭素の原子を積み重ねて結晶を育てる技術)を応用し、色合いを生み出す技術「KASANE®」(カサネ)を開発しました。「KASANE®」は、四季の自然や植物、季節の情景をモチーフに平安時代の装束などに用いられた配色「かさねの色」から着想を得た技術です。同社は、この技術でこれまでのカラーダイヤモンドには無かった色合いのダイヤモンドを実現したとしています。宝飾品のデザイナーは、天然品では手に入りにくい色合いを作品の表現に使えるようになります。

黒い宝石質の結晶を育成

人工のブラックダイヤモンドには表面だけを黒くしたものがあり、内部まで同じ色とは限りません。

同社は、表面だけを黒くした人工品とは違う、芯まで黒いブラックダイヤモンドの製造を事業の出発点に据えてきました。2024年11月には宝石質(宝石に使える品質)のダイヤモンドの結晶成長に成功し、黒漆を思わせる黒色の石を「SHIKKOKU」と名付けています。創業時の事業計画には、天然のブラックダイヤモンドより高品質で大粒の石を製造できることが、特徴として示されていました。宝飾品の作り手は、深い黒色を持つ宝石質の石を素材として使えるようになります。

FrontJournalの解説
  • かさねの色平安時代から続く日本の配色で、四季の自然や植物、季節の情景をモチーフに、装束などに用いられた色の組み合わせ。光の加減や見る角度によって表情を変える色彩とされる。

未来|宝飾品での採用を足場に、半導体への応用を目指す

カラーダイヤモンドが変える未来|四季の色を宝飾品に広げ、半導体も目指す/能の装身具に青色の石を採用/四季の色を増やす開発を継続/半導体への応用を目指す

能の装身具に青色の石を採用

同社が製造したブルーダイヤモンドは、能の観世流宗家と工房一閃によるコラボレーション装身具「花かざり」に使われています。同社取締役の照沼氏も、作家として加わっています。作品は2025年8月に発表され、銀座の観世能楽堂のホワイエ(劇場のロビー)で展示されました。研究室で育てたダイヤモンドを、伝統芸能の装身具に使う例が生まれています。

四季の色を増やす開発を継続

2026年7月、同社は「KASANE®」を使ったカラーダイヤモンドのコレクション「KANAME DIAMOND COLLECTION」を発表しました。千年以上前から四季を彩ってきた野山の草木や花をモチーフに、菖蒲、萌黄、竜胆の色をそろえています。同社は今後、さらに多くの色を開発していく予定です。色の選択肢が増えるほど、宝飾品のデザイナーは日本の四季を表す色を作品に取り入れやすくなります。

半導体への応用を目指す

同社は、宝石事業で培ったダイヤモンドの結晶成長技術を、半導体デバイスの研究開発と製品化に生かすことを目指しています。代表の小林和樹氏は、電力の損失を減らせる次世代の半導体材料として注目されるダイヤモンドを使い、金沢大学でトランジスタ(電気の流れを制御する半導体素子)を研究してきました。小林氏は、宝石事業の利益を産業用途の研究開発に回す海外の事業モデルを、日本でも実現したいと述べています。宝石と半導体の両方で技術を生かせれば、国内でダイヤモンドを材料とする産業の裾野が広がる可能性があります。

会社概要|株式会社Kanazawa Diamond

研究室の技術をもとに起業

同社は2020年12月10日に設立された、ダイヤモンドの製造、加工、販売を手がける企業です。代表取締役の小林和樹氏は、金沢大学大学院の博士前期課程1年のときに、研究室のダイヤモンド結晶成長技術を生かして同社を立ち上げました。もとになったのは人工ブラックダイヤモンドの製造技術開発に関する事業計画で、「スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2020」で優秀起業家賞と学生賞を受けています。

大学の認定ベンチャーに選定

金沢大学は、大学の研究成果を活用して起業し、所定の条件を満たした法人に「金沢大学認定ベンチャー」の称号を授与しており、同社もその1社です。本社は、金沢市角間町の金沢大学内にあるベンチャー・ビジネス・ラボラトリーです。FrontJournalでは、金沢大学のスタートアップを金沢大学発・関連スタートアップ8選でも取り上げています。

宝石の製造と販売を展開

事業内容は、ダイヤモンドの製造、加工、販売です。黒い「SHIKKOKU」や青色のダイヤモンドに加え、「KASANE®」を使ったカラーダイヤモンドのコレクションを展開しています。2024年11月には、「SHIKKOKU」を使った自社のオリジナルジュエリーの内覧会を、関係者に限って開きました。資本金は2,000万円です。

会社情報

会社名株式会社Kanazawa Diamond(Kanazawa Diamond Co., Ltd)
所在地石川県金沢市角間町ヌ7番地 金沢大学内 金沢大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー
設立2020年12月10日
代表代表取締役 小林和樹
資本金2,000万円
事業ダイヤモンドの製造、加工、販売
技術領域ラボグロウンのカラーダイヤモンド(独自技術「KASANE®」)、ブラックダイヤモンド「SHIKKOKU」
連携金沢大学(金沢大学認定ベンチャー)
採択スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2020 優秀起業家賞・学生賞(事業計画「人工ブラックダイヤモンドの製造技術開発」)
URLhttps://kanazawadiamond.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

Kanazawa Diamondは、ラボグロウンダイヤモンドの価値を「天然と同等のものを作ること」だけに置かず、「世の中に無い美しさ」を生み出すことに置く企業です。平安時代から続く配色「かさねの色」を手がかりに、天然では得にくい色合いを結晶の段階から生み出そうとしています。宝石の色そのものを技術で設計するという発想は、ラボグロウンダイヤモンドの新しい使い道を示しています。

宝石で培った結晶成長の技術を、将来は半導体デバイスにも広げる構想を掲げている点も特徴です。宝石事業を足場に先端材料の研究開発へ進む道筋を、同社は描いています。工芸の町として知られる金沢から、宝石と先端材料の両面でどのような製品が生まれていくのか、注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年10月3日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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