処理地域を選んでAIを動かせるGPUクラウドを開発するGMI Cloud(米国発)

処理地域を選んでAIを動かせる「GPUクラウド」を開発【GMI Cloud|米国発】

生成AIの普及にともない、AIの計算を支えるデータセンターの電力消費が世界で拡大し、計算基盤の確保が各国の課題になりました。この需要に応えるのが、米国の「GMI Cloud」です。同社はAIの計算に使う半導体を貸し出す「GPUクラウド」と、200以上のAIモデルを1つの窓口で使えるAI推論基盤を提供しています。2026年10月には、シリーズBと融資枠を合わせた総額約6.68億ドルの調達を発表しました。

AI計算基盤の課題

AI計算の増加で電力消費が拡大し、処理地域を選べない基盤ではデータを管理しにくい課題を示す図

AI計算が増え電力消費が拡大

AI向けの計算が増え、データセンターの電力消費が世界で拡大しています。国際エネルギー機関(IEA)は、2024年に約415テラワット時だった消費量が、2030年に約945テラワット時へ増えると予測しました。このままでは、電力と設備の確保がAI開発の制約になります。

データの処理地域を選びにくい

計算基盤を処理地域の選べないサービスに頼ると、データの扱いを管理しにくくなります。経済産業省はAI開発向けクラウドの整備に最大725億円の助成を2024年に決めました。処理場所の選択肢が増えなければ、機密データをAIで扱いにくい状況が続きます。

FrontJournalの解説
  • テラワット時(TWh)電力量の単位。1テラワット時は10億キロワット時にあたる。
  • データセンターサーバーや通信機器を集約して運用する施設。

GMI Cloudが「GPUクラウド」を開発

GMI CloudがGPUクラウドを開発していることを示す図。1つのAPIで200以上のAIモデルを使え、処理地域の選択で規制に対応する

課題解決に挑むGMI Cloud

「GMI Cloud」は、AIの学習や推論に使うGPU(画像処理半導体)を貸し出す「GPUクラウド」を開発し、提供しています。同社の発表によると2021年に設立され、本社は米カリフォルニア州マウンテンビューにあります。公式ブログによると、創業者のAlex Yeh氏が拠点を米国へ移して事業を始め、同社は2024年10月にシリーズAを調達しました。

1つのAPIで多数のモデルを利用

1つのAPI(ソフトウェアの接続窓口)で200以上のAIモデルを利用できる点が、同社のAI推論基盤の特徴です。AIを組み込むサービスの開発企業は、モデルを自社で運用せずにAPIから呼び出せます。同社の発表では処理量が週あたり約4兆トークンに達し、顧客には「Fireworks」や「OpenRouter」が含まれます。同社とは別に、日本では衛星の軌道上でAI推論を実証した例もあります。

処理地域の選択で規制に対応

処理地域を選べる仕組みにより、利用者はデータ管理や規制の要件に対応しやすくなります。同社は米国とアジアの両市場に対応し、1つの基盤から処理地域を指定できると説明しています。規制が国や地域で異なるなか、処理地域の指定は海外展開する企業の備えになります。

FrontJournalの解説
  • GPU画像処理用に生まれた半導体。多数の計算を同時に進められるため、AIの学習や推論に広く使われる。
  • 推論学習済みのAIモデルに質問や画像を与え、回答や判定を出す処理。
  • トークンAIが文章を処理するときの単位。単語や文字の断片にあたる。

GPUクラウドの未来

GPUクラウドの未来を示す図。アジアの拠点でのAI処理、ロボット向けAIの普及、総額約6.68億ドルの調達を示す

アジアの拠点でAI処理が可能に

アジアの利用者が近い地域の拠点でAIの処理を行える可能性が広がります。同社は2025年11月、台湾に約5億ドルのAIデータセンターを開設すると発表し、NVIDIAのGPUを約7,000基備える計画です。日本でも、軌道上データセンターの構築技術に企業が参画するなど、計算基盤の置き場所を広げる動きがあります。

ロボット向けAIの普及を目指す

同社は鹿児島県のAIファクトリーを通じて、日本のフィジカルAIの普及を目指しています。2026年3月に発表した計画では、事業規模は約120億ドルで、電力容量は最大1ギガワットまで拡張できるとしています。2026年後半に開発を始める予定で、ロボットや自動運転車、工場を制御するAIの学習と推論に使う想定です。大規模施設とは別に、機器の近くでデータを処理する技術は、展示会「EdgeTech+ 2026」でも取り上げられます。

約6.68億ドルの調達を発表

同社は2026年10月、総額約6.68億ドルの調達を発表しました。内訳はARCHIVが主導しNVIDIAも参加したシリーズBの約2.23億ドルと、CTBCが主導する融資枠の約4.45億ドルです。同社は、契約ベースの年間経常収益が6億ドルを超えたと説明しています。調達資金により、米国や台湾、アジア太平洋地域でGPU基盤の拡充が進む見込みです。

FrontJournalの解説
  • フィジカルAIロボットや自動運転車など、現実の機器を動かすAI。
  • AIファクトリーAIの学習と推論を大規模に行うデータセンター。
  • 融資枠決められた上限の範囲で資金を借りられる契約。
  • 年間経常収益継続契約から1年間に得られる見込みの収益。

まとめ

「GMI Cloud」はGPUクラウドとAI推論基盤を組み合わせ、AIの計算需要に応えています。米国とアジアで処理地域を選べる仕組みは、データ管理の要件を持つ企業の選択肢を広げます。計算基盤を支える材料でも、日本でAI半導体向けの低誘電損失材料の研究が進んでいます。FrontJournal編集部は、鹿児島の計画が日本のフィジカルAIを支える基盤に育つことに期待します。施設の整備が進み、多様な企業がAIを活用しやすくなる将来にも注目します。

※ 本記事は各社の公式発表・主要報道をもとに、FrontJournal編集部が再構成したものです。数値は各社・各機関の公表値または予測値です。
主な出典:GMI Cloud 公式発表(2026年3月・10月)、GMI Cloud 公式ブログ、IEA「Energy and AI」、経済産業省の発表に関する報道。

この記事の作者

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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