ファンペップ「抗体誘導ペプチド」を開発|腕への注射で体内に抗体が産生されるイラスト

株式会社ファンペップ

ファンペップ「抗体誘導ペプチド」を開発|研究領域=体内で抗体を・産生させる薬/強み=化学合成で製造・体内で抗体を産生/将来性=対象疾患の・拡大を目指す

企業紹介|株式会社ファンペップとは?

病気に関わる抗体を体内で産生させ、慢性疾患の治療に生かす技術、「抗体誘導ペプチド」。株式会社ファンペップは、その社会実装を目指す、大阪大学発のバイオ系ディープテック企業です。機能性ペプチドの皮膚潰瘍治療薬候補「SR-0379」と、花粉症向けの抗体誘導ペプチド「FPP004X」を、塩野義製薬との提携のもとで開発しています。

キーワード「抗体誘導ペプチド」

「抗体誘導ペプチド」は、病気に関わるタンパク質の一部に、免疫の反応を促す「AJP001」を結合した、治療ワクチン(発症後に使うワクチン)です。特徴は、体内で抗体を産生させ、免疫細胞がその抗体を一定期間産生し続けると期待される点にあります。投与の間隔が長くなる見込みがあり、治療を続ける負担の軽減が期待されています。

市場課題|抗体医薬品の高額な費用と、服薬や注射の継続が負担になる

現状の慢性疾患治療の課題|現状は、高額な薬と服薬や注射の継続で負担が重い|抗体医薬は高額で・医療費が重くなる/服薬や注射を・続ける負担が重い

抗体医薬は高額で医療費が重い

難治性の慢性疾患の治療に広く使われる抗体医薬品(体外で人工的に製造した抗体を薬にしたもの)は、高額で医療費の負担が重くなりがちです。薬の費用の高さは、そのまま医療財政に響きます。このままでは、先進国で課題となっている医療財政問題の、一因になりかねません。

服薬や注射を続ける負担が重い

慢性疾患治療では、服薬や注射を続ける負担が、患者にとって小さくありません。治療は、薬を長く使い続けることが前提だからです。負担が大きいほど、服薬遵守(決められたとおりに薬を使うこと)が難しくなり、治療の継続に影響しかねません。

他にも、抗体医薬品での抗薬物抗体による効果の減弱、標的となるタンパク質が体内にある疾患で抗体を得る難しさ、毎日の服薬が必要な生活習慣病での服薬遵守の難しさ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 抗体医薬品病気に関わるタンパク質に結合する抗体を、体外で人工的に製造して薬にしたもの。難治性の慢性疾患の治療に使われる。高額な薬が多く、医療費の負担が課題とされる。

ファンペップの強み|「抗体誘導ペプチド」を開発

ファンペップが「抗体誘導ペプチド」を開発|今後は、化学合成で抗体の体内産生が可能に|化学合成で製造・できる治療選択肢/体内で抗体を産生・間隔の延長を期待

化学合成で製造できる治療選択肢

従来の抗体医薬品は、体外で人工的に製造する必要があり、高額であるという課題がありました。

同社の抗体誘導ペプチドは、抗体そのものを製造せず、体内で抗体を産生させる治療ワクチンです。同社は、病気に関わる標的タンパク質(薬が狙うタンパク質)の一部のペプチド(アミノ酸が連なった分子)に、免疫の反応を促す機能性ペプチド「AJP001」を結合して創製します。抗体誘導ペプチドは、化学合成で製造できます。抗体医薬品で有効性が確認された標的に対して、新たな抗体誘導ペプチドの開発を迅速に進められる点も特徴です。高額な抗体医薬品に代わる治療の選択肢となる可能性があり、医療費の負担の軽減が期待されます。

体内産生で投与間隔の延長を期待

体外から投与する抗体は、体が異物とみなして抗薬物抗体(薬に対して産生される抗体)を作ると、効果が弱まる場合があります。標的が体内にあるタンパク質では、抗体を産生させること自体が難しいとされてきました。

同社は、標的タンパク質のどの部分に抗体を産生させるかを検討し、最適なペプチドを選ぶ創薬基盤「STEP UP」(標的の選定から創製までの手法)を持ちます。選んだペプチドを「AJP001」と結合させると、体内で抗体が産生され、免疫細胞が一定期間その抗体を産生し続けると期待されます。体内で産生した抗体では、抗薬物抗体による効果の減弱が起こらないとされ、投与の間隔も従来の注射薬より長くなる見込みです。服薬や注射を続ける負担の軽減が期待されます。

FrontJournalの解説
  • 抗薬物抗体抗体医薬品などの薬に対して、体の免疫が産生する抗体を指す。薬を異物とみなして結合し、薬の働きを弱める場合がある。長期に使う薬では、効果が下がる要因として注意される。

ファンペップの未来|花粉症や乾癬から、対象疾患を広げる

ファンペップの開発品が変える未来|開発を進め、対象疾患を広げる|花粉症向けは・速報結果を公表/皮膚潰瘍薬の・速報結果を公表予定/新たな疾患へ・展開を目指す

花粉症向けの速報結果を公表

花粉症を対象にした抗体誘導ペプチド「FPP004X」の第Ⅰ相臨床試験(人での初期試験)は、2026年7月に速報結果が公表されました。安全性では、ワクチンで一般的な反応以外に問題はみられず、免疫原性(抗体を産生させる力)では、抗IgE抗体(アレルギーに関わるIgEに対する抗体)の量が上昇しました。一方、探索的に確かめたスギ花粉曝露による症状スコア(鼻水などの点数)では、プラセボ(有効成分を含まない偽薬)群に対する改善は認められませんでした。塩野義製薬と開発方針を協議します。

皮膚潰瘍薬の速報結果を公表予定

機能性ペプチドの「SR-0379」は、被験者登録が順調に進めば、第Ⅲ相臨床試験(多数の患者で効果を確かめる試験)の02試験の速報結果を、2027年上期に公表する予定です。02試験は、外科的処置が必要な皮膚潰瘍の患者が対象です。SR-0379またはプラセボを1日1回、28日間投与して比べます。目標142例に対し、2026年8月17日時点で123例に投与済みです。

新たな疾患への展開を目指す

同社は、乾癬向けの「FPP003」「FPP005」に加え、毎日の服薬が必要な生活習慣病など、別の疾患へ対象を広げることを目指します。2026年6月には、治療用mRNAワクチン(遺伝情報で抗原を作らせるワクチン)の共同研究を始めました。経皮吸収型製剤(皮膚から吸収させる製剤)の共同研究も始めています。実現すれば、慢性疾患の患者が治療を続けやすい選択肢が増える可能性があります。

会社概要|ファンペップの事業内容・設立背景

大阪大学の技術の実用化を目指す

株式会社ファンペップは、大阪大学大学院医学系研究科で確立された、機能性ペプチドの設計・創製・最適化の技術を実用化するため、2013年10月11日に設立されました。この技術を創薬の基盤に用い、機能性化粧品、医療材料(医療機器)、医薬品の開発を目指しています。代表取締役社長は、三好稔美が務めています。

塩野義製薬との提携と共同研究

塩野義製薬とは、SR-0379で全世界を対象にしたライセンス契約(開発した薬の権利を相手に使わせる契約)を結び、FPP004Xでは2024年3月に全世界を対象にしたオプション契約(開発の成果を見て権利の取得を選べる契約)を結んでいます。2026年6月には、Crafton Biotechnology株式会社と治療用mRNAワクチン、artience株式会社およびトーヨーケム株式会社と経皮吸収型製剤の共同研究を始めました。研究開発パイプラインには、AMED(日本医療研究開発機構)に大阪大学と東京大学が採択された研究テーマも含まれます。

提携で収益を得る事業モデル

同社は、製薬企業等との提携により、ライセンス契約料とロイヤリティ収入(販売額に応じた対価)を得て、事業を発展させる方針です。事業モデルは、大学の機能性ペプチドの研究成果のうち、実用性の高いものを共同研究で育て、医薬品、機能性化粧品、医療機器として開発し、実用化へ橋渡しすることです。子会社の株式会社ファンペップヘルスケアは、化粧品分野等の機能性ペプチドの研究開発と販売を担っています。

会社情報

会社名株式会社ファンペップ
所在地大阪府茨木市彩都あさぎ七丁目7番15号
設立2013年10月11日
代表代表取締役社長 三好稔美
資本金約18億円(2026年6月30日時点)
上場東京証券取引所グロース市場(証券コード4881)
事業機能性ペプチドを用いた医薬品の研究開発。皮膚潰瘍の治療薬候補「SR-0379」。抗体誘導ペプチド「FPP003」「FPP004X」「FPP005」
技術領域抗体誘導ペプチドの創薬基盤「STEP UP」。免疫の反応を促す機能性ペプチド「AJP001」
連携塩野義製薬。Crafton Biotechnology。artience。トーヨーケム
採択NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)「研究開発型ベンチャー支援事業/橋渡し研究開発促進による事業化支援」の支援成果に基づく開発。AMEDの採択テーマ(大阪大学・東京大学が採択)を研究開発パイプラインに含む
URLhttps://www.funpep.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

感染症を防ぐワクチンの仕組みを、慢性疾患の治療に応用する。ファンペップの「抗体誘導ペプチド」は、薬そのものを体外から届けるのではなく、体内で抗体を産生させるという発想の転換が印象的です。この仕組みが慢性疾患の治療に生かされれば、治療を続ける患者の負担の軽減につながります。

2026年7月には、花粉症向けのFPP004Xで抗体の産生が確認された一方、症状スコアでの改善は認められませんでした。結果を公表したうえで、提携先と次の方針を協議する流れは、創薬の道のりを具体的に伝えています。皮膚潰瘍のSR-0379は、2027年上期に結果が公表される予定で、今後の発表が待たれます。

mRNAや経皮吸収型製剤との共同研究は、治療ワクチンの適用範囲を広げる試みです。体内で抗体を産生させる治療が、通院や服薬の負担を軽くする選択肢として育つ日を、楽しみに待ちたいと思います。大阪大学から生まれたほかの企業は、大阪大学発スタートアップ10選で紹介しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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