2026.11.05 │ 東北大学・UACJ │ 元発表:2026.10.26

東北大学ら、アルミ箔負極の容量と寿命を両立

ニュース紹介

「独自の合金設計でアルミニウム箔負極の性能トレードオフを打破 ―「箔一枚」のシンプルなリチウム二次電池電極の実用化に道―」

東北大学金属材料研究所の中田優樹助教、李弘毅助教、市坪哲教授、および株式会社UACJをはじめとする研究グループは、微量のマンガンを添加する新たな合金設計により、電極構造を緻密に保ったまま奥深くまでリチウムを出し入れすることに成功し、「利用可能な容量」と「寿命」の間のジレンマを打破しました。

電池動作中に、多数のリチウムの通り道が自発的に構築される仕組みを解明しました。本成果は、複雑な塗工工程を必要としない「箔一枚」の極めてシンプルな次世代電極の実用化に道を拓くものであり、蓄電池の大幅な低コスト化と環境負荷低減につながると期待されます。本研究の成果は、2026年10月23日にNature系の材料科学専門誌「Communications Materials」にオンライン掲載されました。

出典:東北大学 2026年10月26日 プレスリリース/掲載誌:Communications Materials/DOI:10.1038/s43246-026-01377-6
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/press20261026-01-aluminum.html

FrontJournalの解説

アルミニウム箔負極とジレンマ

今回の研究は、次世代のリチウム二次電池の「負極」(充電のときにリチウムを蓄える側の電極)に使うアルミニウム箔の弱点を、合金設計で改善したものです。東北大学の発表によると、電気自動車などの普及に伴い、より大容量で低コストな次世代リチウム二次電池の開発が急務になっています。

アルミニウム箔負極は、高エネルギー密度と製造プロセスの簡略化を両立できる負極として注目されています。従来の黒鉛負極と異なり、部材の塗工が一切不要で、「箔一枚」で電極として機能します。一方で、電極構造が早期に多孔質になって劣化し寿命が短くなるか、寿命を延ばす代わりにリチウムが内部に滞留して利用可能な容量が下がるというジレンマを抱えていました。

①微量のマンガンを加える合金設計

研究グループは、アルミニウム箔に微量のマンガンを添加する新たな合金設計を行いました。その結果、電極構造を緻密に保ったまま、奥深くまでリチウムを出し入れすることに成功し、「利用可能な容量」と「寿命」のトレードオフを打破しました。

②リチウムの通り道が自発的にできる仕組み

研究グループは、電池動作中に多数のリチウムの通り道が自発的に構築される仕組みを解明しました。これにより、電極構造を壊さずに深部までリチウムを出し入れできます。複雑な塗工工程が要らない「箔一枚」の電極の実用化に道を拓くもので、将来的な電池製造の大幅な低コスト化と環境負荷低減への貢献が期待されています。

FrontJournalからのひとこと

塗工が要らない「箔一枚」の電極で、容量と寿命のジレンマに向き合った点が今回の特徴です。合金設計による成果が、電池としての性能評価や製造にどう結びつくのか、注目しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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