2026.08.21
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東京大学・理化学研究所
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元発表:2026.08.20
東京大学ら、1ショットで分光する軟X線顕微鏡を開発
ニュース紹介
「フェムト秒軟X線ハイパースペクトル顕微鏡を実現~1ショットで空間・エネルギー情報を同時取得~」
東京大学物性研究所の竹尾陽子助教、木村隆志准教授、東京大学先端科学技術研究センターの江川悟助教、理化学研究所放射光科学研究センターの矢橋牧名グループディレクターらによる研究グループは、X線自由電子レーザー(XFEL)の単一パルスを用いて、試料の各位置を透過した軟X線のスペクトルを同時に取得するフェムト秒軟X線ハイパースペクトル顕微鏡を開発したと発表しました。研究では、色収差のないWolter(ウォルター)ミラーで拡大した像を、417個の微小分光素子を集積したマルチ開口回折格子で多数の空間チャンネルに分け、2次元検出器上で一括分光しました。これにより、本来トレードオフの関係にある空間分解とエネルギー分解を兼ね備えた像を1ショットで得られるとしています。検証として行った兵庫県播磨科学公園都市のX線自由電子レーザー施設SACLAの軟X線ビームラインBL1での実験では、XFELビーム自体の空間的・ショットごとのスペクトル変動を可視化するとともに、単一パルスを用いた窒化ケイ素膜の分光イメージングを実証したとしています。研究グループは今後、高速かつ不均一に変化する材料・デバイス・生体試料の化学状態イメージングや、XFELパルスのビーム診断などの分析基盤としての展開を目指すと説明しています。成果は2026年8月20日(現地時間)発行の米国科学誌Opticaに掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST)・東京大学 2026年8月20日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260820-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
材料や電池の内部で何が起きているかを調べるには、どこに何があるか(空間の情報)と、どんな化学状態か(エネルギーの情報)の両方が要ります。
X線を使う分析ではこの2つが両立しにくく、通常は試料を少しずつ動かしながら測る方式がとられます。時間がかかるため、速く変化する現象には使えませんでした。
①動かして測ると速い変化に追えない
従来は試料や光の位置を走査しながら測定していました。1点ずつ測るため、測り終える頃には対象が変化してしまいます。
電池の充放電や材料の破壊のように速く不均一に進む現象では、この方式が制約になっていました。
②417個の分光素子で一括して測る
研究グループは、色収差のないWolterミラーで拡大した像を、417個の微小分光素子を集積した回折格子で多数の空間チャンネルに分け、2次元検出器の上で一括して分光しました。
これにより、通常は両立しにくい空間分解とエネルギー分解を備えた像を1ショットで取得できます。X線自由電子レーザー施設SACLAでの実験では、ビーム自体のスペクトル変動の可視化と、窒化ケイ素膜の分光イメージングを実証したとしています。
編集部からひとこと
測定を速くする方法は装置の性能を上げる方向に向かいがちですが、今回は光を分ける素子を並べて一度に測る構成をとっています。ビーム自体のばらつきも見えるようになったとされており、装置の状態を確かめる用途にも使えます。材料開発の現場では、測定にかかる時間そのものが開発期間を決めます。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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