燃焼合成「燃焼合成法」を開発

株式会社燃焼合成

燃焼合成「燃焼合成法」を開発|研究領域=反応で出る熱で・材料を合成/強み=外部熱源なしで・粉末を量産/将来性=樹脂から構造材料・まで用途が広がる

企業紹介|株式会社燃焼合成とは?

物質の反応で出る熱だけで材料を合成する「燃焼合成法」。株式会社燃焼合成は、その社会実装を目指す、北海道大学発の材料系のディープテック企業です。窒化アルミニウム、窒化ケイ素、サイアロンの粉末を自社で一貫して生産し、販売しています。

キーワード「燃焼合成法」

燃焼合成法は、物質が反応するときに出る生成熱(反応で発生する熱)を使って、無機化合物を合成する方法です。最初にわずかなエネルギーを加えるだけで、反応が自己伝播(熱が隣へ次々に伝わり、自分で進むこと)して材料ができます。外から熱を加え続ける必要がなく、短時間で省エネルギーの合成ができるのが特徴です。

市場課題|セラミックス粉末に残る、製造の壁

現状のセラミックス粉末製造の課題|現状は、製法により外部熱源の負担が大きい|外部熱源が・製造コストになる/燃焼合成法は・量産が難しかった

外部熱源が製造コストになる

セラミックス粉末の製法には、外部熱源が大きなコストになるものがあります。外部熱源(材料の反応を進めるために外から加える熱)を使うと、加熱の設備と加熱する時間が必要です。その分、材料の価格を下げにくくなります。

従来の燃焼合成法は量産困難

燃焼合成法は、研究例はあるものの、量産に課題がある技術とされていました。省エネルギーで合成できても、安定して大量に作れなければ、製品として届けられません。量産できない間は、燃焼合成法の利点を、工業材料の製造に生かしにくい状態が続きます。

他にも、大規模な装置を導入する負担、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 外部熱源反応を進めるために、反応する物質の外側から加える熱を指す。加熱炉などの設備が必要で、加熱の時間とエネルギーが製造コストに影響する。

燃焼合成の強み|燃焼合成法を開発

燃焼合成が「燃焼合成法」を開発|現在は、生成熱を使った粉末を提供|外部熱源なしで・短時間に合成/量産して・製品化に成功

外部熱源なしで短時間に合成

従来の製法では、反応を進めるために外部熱源が要り、加熱の設備と時間がかかります。

燃焼合成法は、反応で出る生成熱だけで材料を合成する方法です。最初にわずかなエネルギーを加えると、反応が自己伝播して熱が次々に伝わり、合成が進みます。そのため、合成中の外部加熱が不要で、短時間での合成に向く方法です。同社は、この方法を窒化アルミニウム、窒化ケイ素、サイアロン(ケイ素、アルミニウム、酸素、窒素からなるセラミックス)の粉末の製造に応用しています。加熱に使う設備とエネルギーを減らせるとされ、粉末づくりの負担を抑えられるようになります。

量産して製品化に成功

従来の窒化物セラミックスの粉末づくりでは、外から熱を加え続ける設備とエネルギーが必要とされてきました。

同社は、燃焼合成法でのファインセラミックス(成分と粒子を整えた、工業用の高機能なセラミックス)の量産と製品化に成功しました。窒化アルミニウム粉末はフィラー(樹脂に混ぜて性質を変える充填材)用、窒化ケイ素粉末とサイアロン粉末は焼結(粉末を固めて焼き締める工程)用です。いずれも一貫して自社で生産し、粒径の異なる品を取り揃えており、サイアロン粉末には結晶構造の違うα型とβ型があります。そのため、用途に合う粒径と型を選べる品揃えです。材料を使う側は、用途に合う粉末を品揃えから選んで使えるようになります。

FrontJournalの解説
  • 焼結粉末を型に入れて高温で加熱し、粒子どうしを結合させて固める工程を指す。ファインセラミックスは、この工程で緻密な固体の部品になる。

燃焼合成法の未来|樹脂製品から構造材料への応用

セラミックス粉末が変える未来|樹脂製品から構造材料まで広がる応用|樹脂製品の・熱伝導を高める/高温や摩耗に強い・構造材料へ/実用化で社会への・貢献を目指す

樹脂製品の熱伝導を高める

窒化アルミニウム粉末の用途の一つは、樹脂製品に混ぜて、熱の伝わりやすさを高めることです。同社の粉末はフィラー用で、樹脂製品の特性向上に使われる粉末です。粒径(粉の粒の大きさ)は各種そろっており、混ぜる用途に合わせて選べます。樹脂は熱を伝えにくく、熱がこもりやすい製品の特性を、材料の側から改善する選択肢です。

高温や摩耗に強い構造材料へ

窒化ケイ素とサイアロンの粉末は、高温や摩耗にさらされる構造材料の原料です。窒化ケイ素の用途には、自動車エンジン部品、金属溶湯(溶かした金属)用治具、ベアリングボールがあります。サイアロンは結晶構造の違いでα型とβ型に分かれ、カルシウム系のα型は、レアアース(希少な金属資源)を使わず、すき間の少ない焼結体を作れるとされています。β型サイアロンは、1600℃と比較的低い温度でもすき間の少ない状態に焼き固められ、溶湯部材などの過酷な環境向けの材料です。

実用化で社会への貢献を目指す

同社の目的は、研究を実用化して社会に貢献することです。燃焼合成法では、ファインセラミックス以外でも、電池電極材料、誘電体、熱電変換材、金属水素化物、触媒の分野で材料合成に成功しています。合成例は500種類を超え、幅広い用途が期待されています。高融点材料やナノ粒子も、合成の対象です。

会社概要|燃焼合成の事業内容・設立背景

北海道大学との共同研究から誕生

株式会社燃焼合成は、2011年11月11日に設立されました。北海道大学大学院工学研究院の秋山研究室との共同研究から誕生した企業で、共同研究は同年7月に始まっています。2019年6月には、北海道大学発ベンチャー企業の称号を受けました。代表取締役社長は鏡好晴です。資本金は、2020年10月現在で9,500万円です。

量産開発の歩みと品質認証

2012年7月に、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業、国の研究開発補助事業)に採択されました。2013年1月に札幌工場を開設し、大型燃焼合成炉によるサイアロン粉の合成を始めています。窒化ケイ素粉の量産開発は2013年8月、窒化アルミニウム粉の量産開発は2014年1月に始まりました。2019年6月には、品質マネジメントの国際規格であるISO9001:2015の認証を登録しています。

セラミックス粉末を販売

同社は、独自の製法で製造したセラミックス粉末を販売しています。製品は、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末、サイアロン粉末です。本社と札幌工場は札幌市東区に、札幌R&Dセンターは北海道大学北キャンパス内の「コラボほっかいどう」にあります。

会社情報

会社名株式会社燃焼合成
所在地北海道札幌市東区東苗穂3条3丁目2番86号(本社・札幌工場)。札幌R&Dセンター:北海道札幌市北区北21条西12丁目 コラボほっかいどう3階Aルーム(北海道大学北キャンパス)
設立2011年11月11日
代表代表取締役社長 鏡 好晴
資本金9,500万円(2020年10月現在)
事業燃焼合成法によるセラミックス粉末の製造・販売。窒化アルミニウム粉末(フィラー用途)。窒化ケイ素粉末(焼結用途)。サイアロン粉末(焼結用途)
技術領域燃焼合成法。ファインセラミックス。窒化アルミニウム、窒化ケイ素、サイアロン
連携北海道大学大学院工学研究院 秋山研究室との共同研究(2011年7月〜)
採択経済産業省 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)採択(2012年7月)/北海道大学発ベンチャー企業の称号(2019年6月)/ISO9001:2015認証登録(2019年6月)
URLhttps://c-syn.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

セラミックス粉末は、完成した製品の中では目に見えにくい材料です。それでも、熱の伝わり方や高温での強さを決める素材として、多くの部品を支えています。製造のために外から熱を加え続ける負担を、物質自身が出す熱で置き換える発想が新鮮に映ります。

株式会社燃焼合成は、燃焼合成法を、量産と製品化まで進めた企業です。窒化アルミニウム、窒化ケイ素、サイアロンを一貫して自社で生産し、粒径の異なる品を揃えています。用途に合わせて材料を選ぶ現場にとって、手がかりになる品ぞろえです。

北海道大学の共同研究から生まれた技術が、樹脂製品から高温の構造材料まで、素材の側から産業を支えていく可能性があります。同社のこれからの歩みに期待が集まります。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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