デジタルグリッド「電力取引プラットフォーム」を開発

デジタルグリッド株式会社

デジタルグリッド「電力取引プラットフォーム」を開発|研究領域=発電家と需要家が・直接取引する場/強み=電源も価格も・選んで調達/将来性=蓄電池の運用へ・事業を広げる

企業紹介|デジタルグリッド株式会社とは?

発電設備を持つ発電家と、電気を使う需要家が、電源や価格を選んで直接取引できる仕組み「電力取引プラットフォーム」。デジタルグリッド株式会社は、その社会実装を目指す、東京大学発のエネルギー系ディープテック企業です。電力の取引の場「デジタルグリッドプラットフォーム」を運営し、蓄電池の運用受託にも事業を広げています。

キーワード「電力取引プラットフォーム」

「電力取引プラットフォーム」は、発電家と需要家が、電源や価格を選んで電気を売買できる取引の場です。電力の調達では、電力会社が用意したプランから選ぶことが一般的ですが、この取引の場には決められたプランがありません。需要家は、使う電気の電源を自社で選べるため、調達の方針を電源構成まで反映できます。

市場課題|電力調達の選択肢と買い手探しの負担

現状の電力調達の課題|現状は、電源や価格を需要家が決めにくい|需要家は・プランから選ぶ/発電家は・買い手探しが課題

決められたプランから選ぶ調達

電力の調達では、用意されたプランから選ぶのが一般的です。そのため、電源や価格は、プランの内容に左右されます。再生可能エネルギーを使いたい企業にとって、電源の構成を自社で決めにくい点は、課題といわれています。

発電家の買い手探し

発電家にとっては、発電した電気を買う需要家をみつけることが課題です。同社の「RE Bridge」(発電家と需要家を結ぶマッチングサービス)の案内でも、発電家側の悩みとして「買い手がみつからない」点が挙げられています。売り先を確保できないままでは、発電した電気を取引に生かしにくくなります。

他にも、原価や取引条件の分かりにくさ、需給の予測と調整の手間、取引に必要なライセンスやシステムの整備負担、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 再生可能エネルギー太陽光や風力、水力など、自然界で繰り返し利用できるエネルギー源のこと。化石燃料と異なり、使っても資源が枯渇しにくい。

デジタルグリッドの強み|「電力取引プラットフォーム」を開発

デジタルグリッドが「電力取引プラットフォーム」を開発|現在は、直接取引で電源の選択を提供|電源と価格を・需要家が選択/発電家と需要家を・直接つなぐ

電源と価格を需要家が選択

用意されたプランから選ぶ方法では、電源や価格を自社の希望に合わせて決めにくい面があります。

同社が運営する「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」は、決められたプランがなく、電源や価格を需要家が選べる電力取引の場です。2020年2月から商用運営を行っています。AIによる需給の高精度な予測と最適な運用を備え、取引の全工程をワンストップで提供する構成です。需要家は、ライセンスやシステムを用意せずに参加できます。電源の種類まで自社で選べるため、調達する電気を自社の方針に合わせやすくなる点が利点です。

発電家と需要家を直接接続

発電家が買い手を個別に探す方法では、売り先が決まるまでに時間がかかりやすくなります。

DGPは、発電家と需要家が自由な条件で電力を直接売買できる、オープンな取引の仕組みです。「RE Bridge」は、同社が「日本初のコーポレートPPAのマッチングプラットフォーム」とする仕組みで、発電家と需要家の組み合わせを探す場を提供しています。入会金と年会費は無料で、商談までの支援付きです。発電家は沖縄・離島以外であれば参加でき、買い手探しの手間を減らし、新たな売り先を検討できるようになります。

FrontJournalの解説
  • コーポレートPPA企業が発電事業者と結ぶ、再生可能エネルギーの電気を長期で購入する契約のこと。PPAは電力購入契約の略で、購入先と条件を事前に決められる。

電力取引プラットフォームの未来|蓄電池を含む取引へ

電力取引プラットフォームが変える未来|蓄電池も束ね、電力取引の場を広げる|蓄電池の運用は・100拠点超/福島の蓄電所・運用を開始/エネルギーの・民主化を目指す

蓄電池の運用受託サービス

同社は2024年12月に、蓄電池のアグリゲーション(複数の蓄電池を束ねて運用する事業)サービスを始めました。系統用蓄電池(電力網につなぐ蓄電池)を対象に、運用計画の作成、市場への入札、充放電の指示までを担います。2026年9月末時点で、取り扱いは100拠点超となり、200MW(メガワット、電力の単位)を突破しました。2026年10月には、系統用蓄電所の売買を仲介する「Battery Bridge」も始めています。

低圧蓄電所の運用開始

株式会社ふくしまエナジーが施工した低圧系統用蓄電所について、2026年9月8日に受電が始まりました。低圧の蓄電所を運用するのは、同社として初めての取り組みです。今後は、ふくしまエナジーが福島県内で施工する低圧蓄電所100カ所を束ね、需給調整市場(電力の需要と供給のずれを調整する取引市場)などで運用する方針です。蓄電池の充放電を遠隔で監視・制御するEMS(エネルギーマネジメントシステム)を使い、一元的に制御することで、運用にかかる費用を低減しています。

エネルギーの民主化を目指す

同社は、ミッションとして「エネルギーの民主化」を掲げています。社名にもある「デジタルグリッド」は、2008年に東京大学の研究室で生まれた、電力を自由にやりとりする技術の総称です。DGPでは、電源の種類や取引の条件を、取引の当事者が選べます。こうした取引の場を広げ、発電する側と使う側が直接つながる仕組みの普及を目指しています。

会社概要|デジタルグリッドの事業内容・設立背景

東京大学の研究から設立

「デジタルグリッド」は、2008年に東京大学の阿部力也特任教授の研究室で生まれました。2011年6月には、東京大学の総括寄付講座「電力ネットワークイノベーション(デジタルグリッド)」が設立されています。会社は2017年10月に、デジタルグリッドプラットフォーム株式会社として創業し、同年12月に現在の社名へ変更しました。代表取締役社長CEOは豊田祐介で、本社は東京都港区赤坂にあります。

実証事業から受賞まで

2018年4月に、環境省の実証事業でP2P(利用者どうしが直接つながる取引)の電力取引の実証を行いました。2019年11月には、電力取引の運営に必要な許認可を、資源エネルギー庁から取得しています。受賞では、第21回「グリーン購入大賞」の優秀賞、令和6年度「新エネ大賞」の「新エネルギー財団会長賞」、令和7年度「気候変動アクション」の「環境大臣表彰」があります。

上場までの資金調達

2020年に、東芝など5社を引受先とする第三者割当増資を実施しました。2021年12月には、ソニーグループ、東芝、三井化学など7社を引受先に、約18億円の第三者割当増資を行いました。累計調達額は、この時点で42億円を突破しています。2025年4月には、東京証券取引所のグロース市場に上場しました。

会社情報

会社名デジタルグリッド株式会社(DIGITAL GRID Corporation)
所在地東京都港区赤坂1-7-1 赤坂榎坂ビル3階
設立2017年10月
代表豊田 祐介
資本金12億400万円(2026年1月時点)
上場東京証券取引所グロース市場(証券コード 350A)
従業員99名(2026年5月1日時点)
調達累計42億円を突破(2021年12月時点)
事業電力取引プラットフォーム事業、再エネプラットフォーム事業、調整力事業
技術領域電力取引プラットフォーム。コーポレートPPAのマッチング。蓄電池のアグリゲーション
URLhttps://www.digitalgrid.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

企業が使う電気の電源を自社で選べるかどうかは、再生可能エネルギーの調達方針に関わります。電力の調達は、用意されたプランから選ぶ方法が一般的です。電源や価格を需要家が選べる取引の場は、その選択肢を広げる存在です。

デジタルグリッドの特徴は、東京大学の研究室で生まれた考え方を、電力の取引の場として2020年から商用で運営している点です。近年は、取引の場に加えて、蓄電池の運用や売買の仲介へと事業が広がっています。同社は2025年4月に東京証券取引所のグロース市場へ上場しており、事業内容は開示資料からも確認できます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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