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株式会社ジェイサーバイオ

ジェイサーバイオ「二量体IgA抗体」を研究

企業紹介|株式会社ジェイサーバイオとは?

2本の抗体がJ鎖(抗体どうしをつなぐタンパク質)でつながった、粘膜に多く存在する抗体「二量体IgA抗体」。株式会社ジェイサーバイオは、その作製を受託する、福島県立医科大学発のバイオ・ヘルスケア系ディープテック企業です。同社は、研究者から受け取った抗体の遺伝子配列をもとに、J鎖とともに細胞で発現させ、精製までを請け負っています。

キーワード「二量体IgA抗体」

「二量体IgA抗体」は、免疫グロブリン(抗体の分子としての分類名)の一種であるIgAが、J鎖で2分子つながった形の抗体です。IgAはヒトで最も多く作られる抗体の型で、主に粘膜の表面を守るとされています。同社は、この形の抗体を研究者が使える状態で作ることを、事業のひとつとしています。

市場課題|二量体のIgA抗体は作る手順が多い

現状の二量体IgA抗体の課題

二量体は作り方が複雑

二量体のIgAは、抗体の遺伝子に加えJ鎖も必要です。IgAは粘膜に分泌される際、安定な二量体の形をとり、局所の感染防御に働くとされています。J鎖は、IgAやIgMで抗体どうしをつなぐ部品で、同社の社名の由来にもなっています。

作製後の分離が必要

二量体のIgAは、作った後に単量体と分ける工程が必要です。2015年の方法論文では、293-F細胞(ヒト由来の培養細胞)への一過性の遺伝子導入でIgAの単量体(抗体1本分)と二量体を作り、精製後にサイズ排除FPLC(分子の大きさで分ける分離法)で分けています。研究室が自前で整えるには、手間が大きい工程です。

他にも、導入するJ鎖遺伝子の比率の調整、多量体(複数の抗体がつながった形)の確認、エンドトキシン(細菌由来の毒素)の除去、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • J鎖IgAやIgMの分子をつなぎ合わせ、多量体にするタンパク質である。名称はjoining chain(連結鎖)に由来し、IgAでは2分子をつなぐ。

ジェイサーバイオの強み|「二量体IgA抗体」を研究

ジェイサーバイオが「二量体IgA抗体」を研究

J鎖と同時に発現させる

マウスの細胞を使った1973年の研究では、J鎖の量が不足すると、IgAは単量体として分泌されると報告されています。

同社は、依頼者から受け取った抗体の遺伝子配列をもとに、H鎖・L鎖(抗体を構成する2種類の鎖)とJ鎖の遺伝子を、293細胞(ヒト由来の培養細胞)やCHO細胞(ハムスターの卵巣由来の培養細胞)に入れて発現させます。工程の中心は、コドン最適化(細胞で作りやすい配列への調整)と、J鎖遺伝子と抗体遺伝子の導入比率の検討です。この工程をまとめて任せられるため、依頼者は、発現系(細胞に抗体を作らせる仕組み)を自前の設備で整えなくても、配列情報を渡すだけで二量体の作製を依頼できるようになります。

多量体の形成を確認

細胞に遺伝子を入れても、すべてが二量体になるとは限りません。

同社は、精製後の抗体を非還元PAGE(タンパク質を大きさで分ける電気泳動)で調べ、多量体になっていることを確認します。ELISA(抗体と抗原の結合を調べる方法)またはフローサイトメトリー(細胞への結合を調べる方法)による抗原結合性の試験も、依頼に応じて可能です。対応できる規模は、研究用の少量からGMP準拠(医薬品の製造管理基準に沿った)の生産までです。依頼者は、受け取った抗体を次の実験にそのまま使えるかを、事前に判断できるようになります。

FrontJournalの解説
  • CHO細胞チャイニーズハムスターの卵巣に由来する培養細胞である。同社は、この細胞での安定発現株(遺伝子を組み込み、継続して作らせる細胞)の作製にも対応する。

二量体IgA抗体の未来|研究支援の広がり

二量体IgA抗体が変える未来

取引先は23社など

2025年8月1日の時点で、民間企業23社や大学、財団法人などとの取引実績があります。二量体IgA抗体の作製は、同社の受託サービスの一つです。作製では、293細胞またはCHO細胞を用い、一過性発現や安定発現株の作製に対応するとしています。

感染症研究への応用

二量体のIgAを研究用に入手しやすくなれば、粘膜での感染防御に関する研究を進める基盤になり得ます。IgAは、口や鼻腔、腸などの粘膜に大量に存在し、外部からの異物の侵入を防ぐ抗体です。分泌型IgAは、初乳にも多いとされています。

研究成果の最大化を目指す

同社は、研究成果を最大化し、人類の健康増進に貢献することを使命に掲げています。ビジョンは、研究成果や研究者をつなぐJoin、実用化のために調整するadJust、産業へ発展させるJumpの3つのJです。作製は、293細胞での発現と精製を行うマイルストーン1と、180 mlの培養を行うマイルストーン2の2段階で案内されています。マイルストーン2では、精製後の抗体を、還元条件と非還元条件の両方のPAGEで確認します。

会社概要|ジェイサーバイオの事業内容・設立背景

IgA抗体の研究から事業化

創業者の高木基樹氏が、2023年1月11日に神奈川県横浜市で株式会社ジェイサーバイオを設立しました。高木氏は、IgA抗体を薬にする研究開発を行ってきました。社名のジェイサーは、IgAとIgM(別の型の抗体)に共通するJ鎖(joining chain)に由来し、研究成果と研究者をつなぐ意味が込められています。高木氏は現在も代表取締役を務めています。

大学発ベンチャーの称号

同社は、設立の約2か月後の2023年3月1日に、福島県立医科大学発ベンチャーの称号を付与されました。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースでは、関連大学を福島県立医科大学、大学との関係を関連ベンチャーとして掲載しています。本社は、横浜市西区北幸の水信ビル7階にあります。

受託サービスの事業

事業は、研究成果の実用化を支える受託サービスです。二量体IgA抗体の作製のほか、AI創薬の受託解析サービスも案内しています。取引先は、民間企業のほか大学や財団法人などです。経済産業省の同データベースの2024年度調査では、資本金は300万円、正社員は2名で、事業ステージは製品・サービスの提供開始後とされています。

会社情報

会社名株式会社ジェイサーバイオ(JeiserBio Inc.)
所在地神奈川県横浜市西区北幸1-11-1 水信ビル7階
設立2023年1月11日
代表代表取締役 高木基樹
資本金300万円(大学発ベンチャーデータベース・2024年度調査)
従業員正社員2名(大学発ベンチャーデータベース・2024年度調査)
事業二量体IgA抗体の作製の受託。AI創薬の受託解析
技術領域抗体の発現と精製(二量体IgA抗体)
連携福島県立医科大学
採択福島県立医科大学発ベンチャーの称号付与(2023年3月)
URLhttps://jeiserbio.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

IgAは粘膜で二量体の形で働くとされており、その形を指定して作れるかが、研究の出発点になります。J鎖の量をそろえ、作った後に多量体かを確かめる工程は、研究者が自前で整えると手間のかかる部分です。その工程を受託する取り組みは、研究者の負担を減らす役割を持つといえます。

とくに注目したのは、J鎖遺伝子の導入比率の検討から多量体の確認までを、受託の範囲に含める点です。取引先の広がりとあわせて、今後の動向を見守りたい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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