レボーン「においセンサー」を開発|携帯型のにおいセンサーと16種類の感応膜、数値の棒グラフを描いたイラスト

株式会社レボーン

レボーン「においセンサー」を開発|研究領域=においを数値で・捉えるセンサー/強み=感応膜とAIで・においを判定/将来性=香りを記録し・離れた場所で再生へ

企業紹介|株式会社レボーンとは?

食品や化粧品のにおいを数値で捉え、品質管理に生かす技術「においセンサー」。株式会社レボーンは、その社会実装を目指す、長崎大学発のAI系ディープテック企業です。においセンシングデバイス「OBRE」とクラウド「iinioi cloud」を、食品・飲料や化粧品、医療、自動車の分野の企業へ提供しています。

キーワード「においセンサー」

「においセンサー」は、空気中のにおい成分を捉え、電気信号に変えて出力する装置です。特徴は、人が嗅いで下していたにおいの判断を、数値のデータとして残せる点にあります。食品工場の品質検査や商品開発の現場で、属人的で主観的になりやすかったにおいの評価を、客観的なデータにできます。

市場課題|においの品質評価は人の感覚に左右される

現状のにおいの品質評価の課題|現状は、人の嗅覚による評価で判定がぶれやすい|においの評価が・人でぶれる/賞味期限を・延ばす根拠が不足

においの評価が人でぶれる

においの品質評価は、評価する人によって結果がぶれやすいことが課題です。食品や化粧品、洗剤の現場では、人が嗅いで判断する官能評価(人の五感で製品の品質を評価する方法)を使う場面があります。ある洗剤メーカーの導入事例では、担当者自身が判断に自信を持ちにくく、他部門との合意形成に時間がかかっていました。

賞味期限を延ばす根拠が不足

食品の賞味期限を延ばすには、品質が保たれていることを示すデータが欠かせません。食品ロス削減の要請を受けて各社は保存条件や処方を見直していますが、期限の設定には主に官能評価や微生物学的試験が使われてきました。香りや風味の小さな変化を数値で示せなければ、期限を延ばす判断の根拠が弱くなります。

他にも、クレーム再発防止策の立案、食品の安全性の担保、開発効率の向上、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 官能評価人の視覚・嗅覚・味覚などの感覚を使って、製品の品質や特徴を評価する方法を指す。食品や化粧品の開発・検査で広く使われるが、評価者の体調や経験によって結果にばらつきが出やすい。

レボーンの強み|「においセンサー」を開発

レボーンが「においセンサー」を開発|現在は、センサーとAIでにおい判定を提供|16種の膜で・においを数値化/AIが正常との・差を見分ける

16種の膜でにおいを数値化

人の嗅覚による判定は評価者ごとの差が出やすく、統計的な裏付けを持たせにくい方法です。

同社の「OBRE」は、QCM(水晶の振動数の変化から、表面に付いた物質を測る方式)を用いたにおいセンシングデバイスです。センサーの水晶振動子の表面には、におい成分を捉える16種類の感応膜(特定の成分を吸着しやすい薄い膜)が塗られています。におい成分が膜に吸脱着(吸着したり離れたり)すると振動の周波数が変わり、16種類の変化を並べたパターンがにおいの特徴となる仕組みです。属人的・主観的になりやすかった嗅覚評価を客観化・データ化し、品質管理の判断を迅速・安定・再現可能にできます。

AIが正常との差を見分ける

微生物学的試験や理化学試験だけでは、香りや風味の小さな変化を捉えきれないことがあります。

同社は、OBREで測ったにおいのデータをクラウド「iinioi cloud」に蓄積し、複数のAIで解析しています。「異常検知AI」は正常品のにおいのパターンを学習し、製品の香りが正常範囲から外れていないかを判定するAIです。「官能評価AI」は、未知のにおいのデータから、人が嗅いだときの感じ方を予測するAIです。香りの経時変化をデータで追えるため、食品メーカーは期限の設定や品質の確認を、再現できるデータを判断材料に加えることができます。

FrontJournalの解説
  • 水晶振動子水晶の薄い板に電圧をかけ、決まった周波数で振動させる電子部品を指す。表面に物質が付くと重さが増えて周波数が下がるため、その変化から付着した物質の量を測ることができる。

においセンサーの未来|香りを記録し、伝え、再生する

においセンサーが変える未来|品質管理から香りの再生へ広げる|品質管理の・現場で活用/モビリティの・においを測る/香りを伝える・メディアを目指す

品質管理の現場で活用

同社の技術は、食品・飲料や化粧品、医療、自動車の分野で、品質管理や研究開発に導入されてきました。洗剤メーカーでは、製造ラインや保管環境でにおい成分を測り、時系列のデータベースを構築する取り組みを進めています。ベースフード株式会社とは、市販のパンの香りの傾向を示す「香りマッピング」を作成しました。いずれも、人の感覚による判断を数値のデータで裏付ける使い方です。

モビリティのにおいを測る

「Japan Mobility Show Bizweek 2026」(2026年10月13日から16日)の出展者紹介では、同社が「においを測り、香りでモビリティ体験を進化させる嗅覚AI」として掲載されています。同社は香りを出す装置「Hearom」も開発しており、「Hearom」は、78種類の香料から最大8種類を搭載し、秒単位で噴霧を設定できるディフューザー(香りを空間に広げる装置)です。においを測る技術と香りを出す技術を組み合わせ、香りでモビリティ体験を進化させることを目指しています。

香りを伝えるメディアを目指す

同社が目指すのは、香りを「記録」「伝送」「再生」できる嗅覚メディア(香りを情報として届ける媒体)を社会に広めることです。今後は、より高精度で持ち運びやすいにおいセンサーと、幅広い香りを再生する装置の開発を加速します。その土台は、においを測る技術と、香料を調合して噴霧する装置です。測ったにおいのデータを香料の配合に置き換えられれば、香りを離れた場所の人と共有できるようになります。

会社概要|長崎大学が認定する大学発ベンチャー

長崎大学の大学院生が創業

株式会社レボーンは、においのソリューション提供に特化した企業として、2018年12月に設立されました。代表取締役の松岡広明氏は長崎大学の工学研究科へ進み、ドローンなどを使った災害時のシステムを研究した後、大学院在学中に同社を創業しました。2026年2月時点では、同大学大学院工学研究科の博士後期課程に在籍し、大学院総合生産科学研究科の客員研究員も務めています。同社は、長崎大学が認定する大学発ベンチャーです。

専門家の参画と採択・受賞

取締役の永田富治氏は、日本たばこ産業株式会社(JT)の研究所で副所長を務め、調香師としての技能も持つ人物です。同社は2021年に、北九州市の「スタートアップSDGsイノベーショントライアル事業」と「JR東日本スタートアッププログラム」に採択されました。2023年には週刊東洋経済の「すごいベンチャー100」に選ばれています。2025年には長崎県の「ミライ企業Nagasaki推進事業」スタートアップ部門で、十八親和銀行賞と首都圏チャレンジ賞を受けました。

累計13.5億円を調達

2026年1月、同社は4.3億円の資金調達を発表し、創業以来の累計調達額は13.5億円になりました。引受先は、Brand New Retail Initiative Fund 投資事業有限責任組合、Archetype Ventures、株式会社OKBキャピタル、株式会社チョープロです。調達の目的は、においセンサーと香りの再生装置の開発を加速させることです。拠点は東京本社と北九州事業所に置いています。

会社情報

会社名株式会社レボーン(REVORN Co., Ltd.)
所在地東京都中央区新川1丁目14番5号 金盃第3ビル4階(東京本社)。北九州事業所:福岡県北九州市小倉北区浅野3丁目8番1号 AIMビル6階
設立2018年12月
代表代表取締役:松岡 広明
資本金368,979,000円(資本準備金を含む)
調達累計13.5億円(2026年1月に4.3億円を調達)。補助金:事業再構築補助金(第十回・成長枠等・交付申請等)
技術領域水晶振動子(QCM)を用いたにおいセンシングデバイス「OBRE」と、におい解析クラウド「iinioi cloud」(識別AI・異常検知AI・官能評価AI等)。香りを出すディフューザー「Hearom」
採択北九州市「スタートアップSDGsイノベーショントライアル事業」(2021年度)。「JR東日本スタートアッププログラム」(2021年)
URLhttps://www.revorn.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

においは、映像や音に比べてデータとして扱う方法が整っていない感覚です。そのなかでレボーンは、においを測るセンサーと、判定するAI、香りを出す装置を自社でそろえ、測ることから再生することまでを一つの仕組みにまとめようとしています。印象に残ったのは、官能評価という人の感覚で行ってきた作業を、数値のデータへ置き換えようとしている点です。JTの研究所で副所長を務めた専門家が経営に加わっていることも、センサーの数値を人の感じ方と結び付けるうえで心強い体制だと感じます。

センサーの数値と人の感じ方を結び付ける研究は、食品や化粧品の開発の進め方を変える可能性があります。測った香りを遠くの人と共有できる日が来ることを、期待を込めて見守りたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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