市場課題|金型の表面に付けた硬い膜は、強い力がかかると剥がれやすい

膜の下に軟らかい層ができる
近畿経済産業局の「ものづくり要素技術PRシート」(企業の技術を紹介する資料)によると、TD処理(溶融塩に浸して炭化物の膜を形成する処理)では、膜の下に軟らかい層ができます。膜の材料になる炭素を金型の素材(母材)から取り込むため、膜との境目は母材の炭素が不足した状態です。炭素が不足した部分は軟らかく、強い力がかかると膜が剥がれる原因になります。
膜の厚さは10μmが限界
TD処理で付ける炭化バナジウムの膜は、同PRシートによると通常10μm(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)が厚さの限界とされています。膜が薄いと、長時間の面圧(接触面にかかる圧力)がかかる部品では、膜の摩耗が進みやすい点が課題です。炭素の少ない鋼は、母材の炭素が少ないため、通常の炭素鋼並みの膜を形成しにくいとされています。
他にも、処理の熱による金型のひずみ(寸法のずれ)、複雑な形の金型への均一な処理、膜の密着の確保、といった課題があるといわれています。
- 炭化物炭素と金属が結び付いた化合物。非常に硬く、金型の表面を守る膜に使われるほか、工具の刃先などにも用いられる。


