株式会社マイクロ・エナジー|「廃棄物ガス化システム」を開発

株式会社マイクロ・エナジー

マイクロ・エナジー「廃棄物ガス化システム」を開発|研究領域=廃棄物を資源へ変える技術/強み=炭化の後に合成ガスを製造/将来性=廃プラスチックの循環を目指す

企業紹介|株式会社マイクロ・エナジーとは?

廃棄物を資源へ変える技術の一つ、「廃棄物ガス化」。株式会社マイクロ・エナジーは、その社会実装を目指す、東京科学大学発のエネルギー系ディープテック企業です。廃棄物やバイオマス(生物由来の資源)から発電や液体燃料の製造へつなげる「WTE(廃棄物をエネルギーへ変える方式)システム」を開発し、環境省の技術開発事業(2012〜2014年度)で実証に取り組みました。

キーワード「廃棄物ガス化」

廃棄物ガス化は、廃棄物やバイオマスを高温で加熱し、水素や一酸化炭素を含む合成ガス(燃料や化学品の原料になるガス)へ変える技術です。燃やして熱を得る焼却と違い、ガスの形で取り出し、発電や液体燃料の合成に使える点が特徴です。同社は、合成ガスから液体燃料を作るまでを一つの流れで研究開発しています。

市場課題|廃棄物は性状がそろわず燃料化しにくい

現状の廃棄物の燃料化の課題|現状は、性状がまちまちで燃料化しにくい/原料の性状がそろわない/タールを含まないガスが必要

原料の性状がそろわない

草木や剪定枝、廃棄物系のバイオマスは、種類や由来によって性状(成分や形などの性質)が大きく異なります。中山間地域の草木質バイオマスは、性状や質が多種多様とされています。原料がそろわないままでは、燃料へ変える工程の条件を安定させにくい状態です。

質のよいガスを作りにくい

ガスから液体燃料を作るには、水素と一酸化炭素がおよそ2対1で含まれ、タール(ガス化で生じる油状の副生成物)を含まない合成ガスが求められます。あわせて、ガスを液体燃料へ変える反応では、効率のよい触媒(反応を進める物質)の技術も必要です。原料のばらつきを抑えながら、この条件を満たす合成ガスを作り続けることが、技術の大きな課題です。

他にも、環境省の事業の事後評価は、原料の多様化、運転時間の長期化、触媒性能の安定、コストの低減、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • タールガス化の際に生じる油状の副生成物。液体燃料の合成に使う合成ガスには含まないことが求められ、ガス化の技術課題の一つになる。

マイクロ・エナジーの強み|廃棄物ガス化システムを開発

マイクロ・エナジーが「廃棄物ガス化システム」を開発|これまでに、実証で液体燃料の製造を実現/炭化で原料の性状をそろえる/外熱式炉とFT合成で液体燃料を製造

炭化で原料の性状をそろえる

廃棄物系の原料は種類ごとにガスの組成が変わるため、一定の質の合成ガスを得るには、原料に合わせた条件の調整が要ります。

同社の技術は、炭化(蒸し焼きにして炭へ変えること)とガス化を組み合わせ、性状がまちまちな原料を一定の質のガスへ変える方式です。2012〜2014年度の環境省の事業では、竹やバーク(樹皮)、木質の炭化原料から、水素と一酸化炭素の比がおよそ2対1の合成ガスを作れることを確かめました。両者の合計は、竹の炭化原料で90%超です。累積の運転時間は800時間以上、連続運転は50時間以上に達しました。原料が変わっても合成ガスを得やすくなれば、地域の廃棄物をエネルギーとして使えるようになります。

外熱式炉とFT合成で液体燃料化

液体燃料の合成に使うガスは、タールを含まず水素を多く含むことが求められ、効率のよい触媒の技術も要ります。

同社のBTL(Biomass To Liquid、バイオマスから作る液体燃料)システムは、外熱式(炉の外から加熱する方式)のガス化炉で合成ガスを作り、FT合成(触媒で合成ガスを液体の炭化水素へ変える反応)で液体燃料にします。環境省の事業資料の構成図は、炭化炉、ガス化炉、熱回収、ガス精製、FT合成の順に工程を示し、混焼発電(燃料を混ぜて焚く発電)を自家消費に当てる構成です。液体燃料は、農林業機械やディーゼル車での地産地消が想定され、実現すれば地域の廃棄物が軽油の代替燃料として使えるようになります。

FrontJournalの解説
  • FT合成一酸化炭素と水素を触媒で反応させ、炭化水素の液体燃料を作る方法。考案した2人の研究者の名を冠し、軽油に近い性質の燃料を作れる。

廃棄物ガス化の未来|廃棄物を資源へ変える

廃棄物ガス化が変える未来|廃棄物から液体燃料を作る取り組み/液体燃料の製造を実証で確認/別法人が技術の事業化を掲げる/廃プラスチックの循環を目指す

液体燃料の製造を実証で確認

同社が環境省の事業で取り組んだのは、バイオマスから液体燃料を作る工程の実証です。累積で500リットル以上のBTLを製造し、炭素ベースで25%のBTLを得られる各工程の技術を確かめています。製造したBTLの軽油代替燃料としての特性と、排出ガス・燃費の特性は、交通安全環境研究所が分析・評価しました。この事業では、徳島県那賀町の協力を得て、地域で原料を集めて燃料を使う普及モデルの構築も計画されていました。

別法人が技術の事業化を掲げる

技術の事業化を掲げる別の法人もあります。エナウムの発表によると、マイクロ・エナジーの技術を基盤とするエナウム株式会社(千葉県木更津市)が、2025年10月に設立されました。エナウムは、この技術を基盤に、都市ごみなどの廃棄物から合成ガスや液体燃料を作る事業を掲げています。マイクロ・エナジーの代表取締役の橋本芳郎氏は、エナウムでも技術責任者を務めるとされています。

廃プラスチックの循環を目指す

同社の提案の一つが、廃プラスチックから新しいプラスチックを作る循環の仕組みです。公式サイトは「Loop Plasticプロジェクト」として、WTE(Waste to Energy、廃棄物からエネルギーを作る)システムの基盤であるBTLシステムを使い、廃プラスチックからバージンプラスチック(新品の樹脂)を作る方法を示しています。焼却に回さず、再び資源として使う選択肢です。公式サイトは、有機性廃棄物から電気や自動車用の石油代替燃料も作れるとしています。

会社概要|株式会社マイクロ・エナジーの事業内容・設立背景

2003年設立の大学発企業

株式会社マイクロ・エナジーは、2003年4月に設立されました。登記上の本社は神奈川県厚木市にあります。代表取締役は橋本芳郎氏です。公式サイトの沿革は、2000〜2005年に東京工業大学と共同でガス化技術の研究開発に取り組んだと記しています。同社は、東京科学大学(旧・東京工業大学)からベンチャー称号(大学が認定するベンチャーの呼称)の授与を受けた企業です。

環境省事業と富山大学との連携

環境省の事業(実施年度は2012〜2014年度)では、同社が技術開発代表者を務めました。共同実施者は交通安全環境研究所で、製造した液体燃料の利用に関する分析と評価を担当しました。公式サイトの記載では、FT合成の触媒について、富山大学との共同研究にも取り組んできたとされています。

WTEシステムを研究開発し販売

公式サイトによると、同社の事業は、廃棄物やバイオマスを原料とするWTEシステムの研究開発・製造・販売です。特徴として、広範な有機物を原料にできること、水素を多く含む混合ガスを作ること、タールを含まないガスを作ることを挙げています。WTEシステムの基盤は、同社のBTLシステムだとされています。石油代替燃料やプラスチック原料の液体合成技術は、実証済みとの記載です。

会社情報

会社名株式会社マイクロ・エナジー
所在地神奈川県厚木市旭町1丁目9番地7号
設立2003年4月
代表代表取締役 橋本 芳郎
資本金9,000万円
技術領域ガス化・FT合成・バイオマスと廃棄物の燃料化
連携東京科学大学(旧・東京工業大学)発ベンチャー称号の授与企業。交通安全環境研究所(環境省事業の共同実施者)。富山大学(FT合成の触媒・公式サイト記載)
採択環境省の事業「草木質・廃棄物系バイオマスの燃料化による汎用利用技術の開発」(2012〜2014年度)
URLhttp://microenergy.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

ごみとして処理されるものを、燃料へ変えられるか。マイクロ・エナジーが2000年代から向き合ってきたのは、この素朴な問いを工学で解く仕事です。原料がまちまちな廃棄物を、一つの流れで燃料へ変える点が、この技術の特徴です。

印象的なのは、原料の炭化から合成ガスの製造、液体燃料の合成までの各工程の技術を、環境省の事業で確かめている点です。2012〜2014年度の事業では、累積800時間以上の運転と500リットル以上の液体燃料の製造を確認しました。各工程の技術を試験運転で確かめたことに意味があります。

今後、実証設備の稼働や導入先が公表されれば、廃棄物を燃料へ変える技術の現在地がより具体的に見えてきます。その動きに期待しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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