2026.07.24 MiZ株式会社・順天堂大学・理化学研究所 元発表:2026.07.24

MiZ・順天堂・理研、低濃度水素吸入がヒト腸内細菌叢を改善するRCTを報告(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「低濃度水素吸入がヒト腸内細菌叢を改善──潰瘍性大腸炎 RCT|順天堂・理研・MiZ」

順天堂大学大学院医学研究科および理化学研究所は、低濃度水素ガスの吸入が、活動期潰瘍性大腸炎患者の腸内細菌叢(マイクロバイオーム)を治療に有利な方向へ変化させることを、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)で示したとMiZ株式会社が発表しました。研究成果は国際学術誌『Biomedicines』2025年8月号に掲載されました(Maruyama et al., 2025)。本研究は順天堂大学大学院医学研究科・理化学研究所・MiZ株式会社の共同研究として実施され、MiZ株式会社は2018年以降、大阪大学医学部・慶應義塾大学・順天堂大学・理化学研究所と連携しながら水素と腸内細菌に関する研究を継続してきたとしています。プレスリリースではあわせて、装置出力濃度が67~100体積%に達する高濃度水素吸入器で消費者庁事故情報データバンクに人体内爆発を含む重大事故が複数報告されている現状に触れ、装置出力濃度を吸入環境実証値10体積%以下に保つ低濃度水素吸入への転換の必要性を提言しています。

出典:MiZ株式会社 プレスリリース(2026年7月24日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000047753.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

ヒトの腸管内には、数百〜千種類・数十兆個の細菌が生息しており、この集合体は腸内細菌叢(マイクロバイオーム)と呼ばれます。腸内細菌は栄養代謝や免疫制御などに関わり、そのバランスが崩れた状態(ディスバイオーシス)は、潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative Colitis)をはじめとする慢性炎症性腸疾患との関連が報告されています。UCは大腸に慢性の炎症が続く難病で、患者数は国内で20万人を超えるとされます。

UC治療の一つとして注目されているのが、健康なドナー由来の腸内細菌叢を患者に移植する腸内細菌叢移植療法(FMT)です。順天堂大学とメタジェンセラピューティクス社が実施した先進医療Bの多施設共同臨床研究では、抗菌薬併用FMTで寛解導入率45.9%を達成し、2025年8月に研究が終了したと報告されています。腸内細菌をどう整えるかを軸に、様々な角度からのアプローチが進められている領域です。

①RCTの内容と結果

今回のMaruyama et al. (2025)は、Lichtiger clinical activity indexが3〜10かつMayo endoscopic subscore ≥1の活動期UC患者10名を対象に、水素ガス吸入群と空気吸入群にランダムに割り付け、いずれの群も1日4時間・計8週間の吸入を行った二重盲検プラセボ対照試験です。試験前後の便検体をメタゲノム解析することで、腸内細菌叢の構成変化・治療効果・安全性が評価されました。プレスリリースでは、水素吸入群において腸内細菌叢の構成が「治療に有利な方向」へ変化したこと、著者らがこの変化が症状改善への寄与や、将来的にはFMTの効果を高める補助療法となる可能性を提示したことが報告されています。論文は『Biomedicines』誌に掲載(DOI: 10.3390/biomedicines13081799)されており、査読を経た知見として位置づけられます。

②低濃度水素吸入と安全性の論点

水素はエネルギー用途でも注目される可燃性ガスであり、吸入用途では装置設計と濃度管理が安全性の要となります。プレスリリースでMiZ社は、装置出力濃度が67~100体積%に達する高濃度水素吸入器について、消費者庁事故情報データバンクに人体内部での爆発を含む重大事故が複数報告されていると指摘し、装置出力濃度を「吸入環境実証値10体積%以下」に保つ設計指針を提示しています。理想的条件下で定義される古典的爆発下限界(LFL)4体積%は、閉鎖された垂直管内・予混合・静止気体の理論最小値であり、常圧・開放空間・流動気体としての吸入環境の実用閾値とは物理条件が異なる別指標である、と同社は説明しています。有効性の臨床エビデンスとあわせ、機器選定時の判断材料として整理された内容です。

編集部からひとこと

本研究は活動期UC患者10名を対象とした小規模RCTであり、腸内細菌叢の構成変化を主要な指標としています。今後は症例数を拡大した検証や、症状スコア・寛解導入率など臨床エンドポイントでの効果確認、FMTなど既存療法との併用効果、長期の安全性データの蓄積が焦点になりそうです。水素吸入は消費者向け機器としても普及が進む一方、装置出力濃度による安全性の違いが十分に周知されているとは言えない状況もあります。臨床エビデンスの積み上げと、機器側の設計指針の整備が両輪で進むことが望まれます。詳細はMiZ株式会社のプレスリリースおよび原著論文をご参照ください。

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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