オーピーバイオファクトリー「海洋生物資源ライブラリー」を研究|沖縄の海から集めた生物資源で素材を探す様子を描いたイラスト

オーピーバイオファクトリー株式会社

オーピーバイオファクトリー「海洋生物資源ライブラリー」を研究|研究領域=海の生物から・成分を探す受託/強み=沖縄の海から集めた・2万以上の抽出物/将来性=化粧品や機能性食品・藻類の用途を拡大

企業紹介|オーピーバイオファクトリー株式会社とは?

未利用の海の生物から新しい成分を探す基盤として、注目を集める「海洋生物資源ライブラリー」。オーピーバイオファクトリー株式会社は、その構築と産業利用に取り組む、バイオ系ディープテック企業です。沖縄の海から集めた抽出物ライブラリーと、有効成分を選び出すスクリーニング(ふるい分け試験)の受託を、製薬・食品・化粧品の研究開発の現場へ提供しています。

キーワード「海洋生物資源ライブラリー」

「海洋生物資源ライブラリー」は、海の生物から分離した菌や藻類と、その抽出物をまとめて保管し、いつでも試験に使えるようにした資源の集まりです。特徴は、海水を含む環境でしか育たない微生物まで生きたまま保てる点にあります。化粧品や機能性食品の開発の現場で、目的の働きを持つ成分を探す試験にそのまま使えます。

市場課題|素材探索は陸上の資源に偏り、成分の特定にも手間がかかる

現状の素材探索の課題|現状は、陸上の資源に偏り成分の特定にも手間がかかる|陸上の資源では・新規発見が減少/活性成分の特定に・時間がかかる

陸上の資源は新規発見が減少

新しい成分を探す素材として、陸上の生物資源からの新規発見は減っているといわれています。医薬品や化粧品の原料探索は、長く土壌の放線菌や陸上の植物が対象でした。同じ資源を繰り返し調べるほど、すでに報告された成分に当たる回数が増え、探索の効率が落ちかねません。

活性成分の特定に時間を要する

試験で働きが確かめられても、成分の特定までに時間がかかります。抽出物から目的の成分だけを取り出し、精製してNMR(核磁気共鳴=分子の構造を調べる測定)で構造を決める工程が必要だからです。判明した成分が報告済みだと、そこまでの手間が成果に結びつきにくくなります。

他にも、海で採った微生物を陸上の培地で育てる難しさがあります。目的の成分を必要な量だけ作り直す再供給の負担、深い海や海底洞窟のように採集そのものが難しい場所の多さ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 放線菌土や海の泥に広く生息する細菌の一群である。多くの種が抗生物質などの化合物を作るため、土壌から分離した放線菌は長年にわたり医薬品の元として調べられてきた。

オーピーバイオファクトリーの強み|「海洋生物資源ライブラリー」を研究

オーピーバイオファクトリーが「海洋生物資源ライブラリー」を研究|今後は、海の資源で探索の期間短縮が可能に|海の未利用資源から・成分を探索/海水培地でのみ・生じる成分を特定

海の未利用資源から成分を探索

土壌や陸上の植物を対象にした探索では、すでに調べられた菌や植物を再び培養することが多く、得られる抽出物の組成が似通っています。

同社が使うのは、沖縄県の沿岸域を中心に集めた海洋生物資源のライブラリーです。放線菌6,916株糸状菌(カビの仲間)4,612株、乳酸菌436株、酵母329株、微細藻類1,000株の生きた株に加え、それらを加工した抽出物を20,000サンプル以上保有しています。水深のある海域や洞窟内から採った試料や、陸上の土壌では分離しにくい海洋特有の菌も、ライブラリーの一部です。陸上の資源では出会いにくい成分から試験を始められるため、既知の成分に当たる回数を減らせます。

海水培地でのみ生じる成分を特定

活性を示した抽出物には、すでに報告された化合物が混じっていることが多く、新しい成分を見分けるのに手間がかかります。

同社は、報告済みの成分を早くふるい分けるため、抽出物の成分を外部の天然物データベースと照合します。また、試料から菌を取り出す前処理と、海水を含む培地での培養法を開発し、陸上の培地で作られない成分も取り出せるようにしました。奄美群島の加計呂麻島の海底泥から分離した新種の放線菌から見つけたのが、抗真菌活性を示す「カケロマイシン」です。「カケロマイシン」は、抗真菌の分野では数十年ぶりの新しい母核構造(化合物の骨格の中心)を持つとされます。目的の成分に至る試験回数が減り、素材探しの期間短縮に直結します。

FrontJournalの解説
  • カケロマイシン奄美地方の加計呂麻島周辺の海底泥から分離した放線菌が作る、抗真菌活性を示す化合物である。海水を含む培地でのみ生産され、抗真菌の分野では数十年ぶりとなる新しい母核構造を備えるとされる。

海洋生物資源ライブラリーの未来|化粧品・機能性食品・藻類の利活用へ

海洋生物資源ライブラリーが変える未来|化粧品や機能性食品から藻類の利活用へ|微細藻類パブロバを・化粧品素材へ活用/受託探索を・製薬や食品へ拡大/海の資源の・事業化を目指す

微細藻類パブロバを化粧品素材へ

沖縄の汽水域(海水と淡水が混じる水域)で採れた微細藻類「パブロバ」は、すでに素材として使われています。フコキサンチン(褐色の藻類が持つ色素)やオメガ3脂肪酸を多く作り、乾燥した藻体のまま原料として供給できます。2022年には、ロート製薬およびロート・F・沖縄と、うるま市の研究所内に共同研究拠点「AMU LABORATORY」(アム ラボラトリー)を設けました。商品化の例は、頭皮用のスクラブ、サプリメント、ドレッシング、パスタです。

受託探索を製薬や食品へ拡大

シーズ探索(製品の種になる成分を探す仕事)の受託は、医薬・食品・化粧品・化成品・環境の各領域へ広がっています。同社は顧客の目的に合わせて評価系(働きを調べる試験の仕組み)を組み立て、候補を絞り込みます。供給の形は、分離株・培養物・抽出物分画物(抽出物を成分ごとに分けたもの)・乾燥藻体です。ベンチスケール(小規模な試験設備)での受託生産にも対応し、商業規模の生産はアライアンス先と分担します。

海の資源の事業化を目指す

同社は、海洋生物資源を探索から事業化までつなぐ体制の確立を目指しています。カーボンニュートラルに向けた微細藻類の利活用を柱の一つに掲げ、光合成で二酸化炭素を取り込みながら育つ藻類の用途を広げます。2019年には、培養の規模を上げるガラスチューブ型のフォトバイオリアクター(光を当てて藻類を育てる装置)を導入しました。この装置は英国Varicon Aqua社製で、日本国内の販売代理店も務めています。

会社概要|オーピーバイオファクトリー株式会社の事業内容・設立背景

海洋調査の経験から創業

オーピーバイオファクトリー株式会社は、2006年2月23日に設立されました。代表取締役の金本昭彦氏は、鹿児島大学大学院でクラゲやサンゴの生態を研究しました。その後は海洋調査会社で、環境アセスメント(開発が環境へ与える影響の評価)の業務に携わった経歴があります。自ら海に潜って生物を採集した経験が、海洋生物資源を事業にする発想の出発点です。同じ2006年に石垣研究所、2010年にうるま研究所を開き、2013年には本社をうるま市へ移しています。

大学連携と資本業務提携

同社は、大学との共同研究事業会社との資本業務提携を重ねてきました。2017年には北里大学と共同で、MAC症(結核菌以外の菌が起こす、治りにくい肺の感染症)や結核の治療薬候補となる新規化合物を見つけています。この化合物の研究は、AMED(日本医療研究開発機構)の創薬ブースター(有望な化合物の実用化を支援する制度)に採択されました。2018年に一丸ファルコスと不二精工、2022年に日本たばこ産業と資本業務提携を結んでいます。第9回「バイオビジネスコンペJAPAN」の優秀賞、第8回「日本バイオベンチャー大賞」ではバイオインダストリー協会会長賞を受賞しています。

ロートグループへの参画

同社は2025年9月にロート製薬と資本業務提携契約を締結し、2026年5月にはロート製薬のグループ会社となりました。ロート製薬は、この参画を、自然由来の資源の可能性を科学で解き明かす「フィトサイエンス構想」の一環と位置づけています。受託研究事業は、利益相反の防止と秘密情報の保護のため、従来どおり独立した運営体制を保つ方針です。微細藻類を使った新規素材の開発と、国内外への事業展開を進めます。

会社情報

会社名オーピーバイオファクトリー株式会社(OP Bio Factory Co., Ltd.)
所在地〒904-2234 沖縄県うるま市州崎5番8 沖縄ライフサイエンス研究センター107。研究所:同センター102・103・106・108・109
設立2006年2月23日
代表代表取締役:金本 昭彦
資本金2億7,215万円(資本準備金 2億5,405万円/2022年12月時点)
事業ライブラリー構築・販売事業。化合物探索受託事業。物質生産・原料供給事業。微細藻類「パブロバ」関連商品の販売
技術領域海洋生物資源の採集・分離・培養とスクリーニング。放線菌6,916株、糸状菌4,612株、乳酸菌436株、酵母329株、微細藻類1,000株、抽出物20,000サンプル以上のライブラリー
連携一丸ファルコス・不二精工(資本業務提携/2018年)。日本たばこ産業(2022年)。ロート製薬・ロート・F・沖縄(共同拠点「AMU LABORATORY」/2022年)。ロート製薬(資本業務提携/2025年9月。2026年にグループ会社化)。Varicon Aqua(日本国内の販売代理店)
URLhttps://opbio.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

海に潜って生物を採ることから始まった会社が、2万以上の抽出物を保管するまでになりました。研究所の設備よりも先に、採集の技術が資産になっている点が面白いところです。海の中で重ねた経験が、そのまま事業の土台に変わっていったように見えます。

資源そのものを持つ会社だと受け取ると、事業の輪郭がはっきりします。陸上の資源では見つかりにくい化合物にたどり着いた点は、採集から培養までを自社で担う体制があってこその成果です。同じライブラリーが、化粧品の原料から藻類の利活用まで広く使われているのも納得できます。

沖縄の海に眠る資源から、次にどんな成分が出てくるのかを楽しみに待ちたいと思います。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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