パンクセラピー「膵臓がん幹細胞」を研究

パンクセラピー株式会社

パンクセラピー「膵臓がん幹細胞」を研究|研究領域=がんを生み出す・細胞を標的にする/強み=幹細胞に・結合する抗体/将来性=早期診断と・治療薬を目指す

企業紹介|パンクセラピー株式会社とは?

膵臓がんの再発や転移の元と考えられる細胞を狙う研究として、注目を集める「膵臓がん幹細胞」。パンクセラピー株式会社は、その研究の社会実装を目指す、大阪公立大学発の創薬系ディープテック企業です。膵臓がん幹細胞を標的とするモノクローナル抗体(特定の相手だけに結合する抗体)の、治療薬と診断薬を開発しています。

キーワード「膵臓がん幹細胞」

「膵臓がん幹細胞」は、膵臓がんの細胞を生み出すもとになる細胞です。特徴は、根治にはこの細胞の制圧が欠かせない一方、従来の化学療法(抗がん剤などの薬による治療)では難しいとされる点にあります。同社は、この細胞を標的に、早期診断と転移の抑制が期待できる抗体医薬(抗体を有効成分とする薬)を研究しています。

市場課題|膵臓がんの診断と治療に残る壁

現状の膵臓がんの課題|現状は、早期発見も根治も難しい病気|自覚症状が乏しく・発見が遅れる/幹細胞は化学療法で・制圧しにくい

自覚症状が乏しく発見が遅れる

膵臓がんは、自覚症状がほとんどなく、早期の発見と治療が非常に難しい病気です。同社は、有効な診断方法がないことが、その背景にあるとしています。国立がん研究センターの集計では、2012〜2015年に診断された膵臓がんの5年純生存率(がん以外の死亡を除いた、診断から5年後の生存率)は、男性10.7%、女性10.2%にとどまります。

幹細胞は化学療法で制圧しにくい

根治に欠かせないがん幹細胞の制圧は、従来の化学療法では難しいのが現状です。膵臓がんでは、がん細胞を生み出すがん幹細胞が、再発や転移の元になると考えられています。そのため、がん幹細胞を標的にして攻撃する新しい手法が、求められています。

さらに、ほかのがんの治療技術が進むなか、膵臓がんの治療だけが取り残されていること、患者とその家族に大きな負担がかかっていること、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • がん幹細胞がん細胞を生み出す元になる細胞を指す。増殖を続けるがん細胞の塊は均一ではなく、その中にこの細胞が存在することが、近年の研究で明らかになった。

パンクセラピーの強み|「膵臓がん幹細胞」を研究

パンクセラピーが「膵臓がん幹細胞」を研究|これまでに、複数の抗体の作製を実現|幹細胞に・結合する抗体/診断と治療の・開発に生かす

幹細胞を標的にする抗体

従来の化学療法では、がん細胞を生み出すがん幹細胞を制圧することが難しいという課題がありました。

同社が研究するモノクローナル抗体は、バイオテクノロジーの技術によって、特定の細胞にだけ作用するよう設計して作製した抗体です。大腸がんや白血病などの治療では、すでに抗体医薬として実用化されています。同社は、膵臓がん幹細胞を標的とする複数のモノクローナル抗体の作製に、すでに成功した段階です。一般に抗体医薬は、標的に絞って作用するため、副作用を抑えやすい点が利点とされます。この利点は、患者の負担を減らす治療につながると考えられます。

診断と転移抑制を狙う抗体

従来は、膵臓がんの有効な診断方法がなく、早期発見が難しいという課題がありました。

抗体の特徴は、特定の標的にだけ結合する性質です。同社は、この性質を生かし、膵臓がん幹細胞を標的にした抗体の開発を、診断と治療の両面で進めています。標的に結合する性質は、膵臓がん幹細胞を見分ける診断薬と、膵臓がん幹細胞を狙う治療薬のどちらの開発にも生かせる点が強みです。これらの抗体には、膵臓がんの早期診断と、転移の抑制への期待があります。患者にとっては、早い段階で見つけ、転移を抑える選択肢が広がることが期待されます。

FrontJournalの解説
  • 抗体医薬特定の標的にだけ結合する抗体を、有効成分とする薬を指す。標的の細胞に絞って作用させやすく、副作用を抑えやすい点が利点とされる。

膵臓がん幹細胞の未来|診断薬と治療薬の開発へ

膵臓がん幹細胞が変える未来|早期診断と治療で、克服を目指す|StageⅠでの・早期診断を目指す/治験に向けた・基礎検討を計画/膵臓がんを・治る病気にする挑戦

StageⅠの早期診断を目指す

同社は、膵臓がんをStageⅠ(がんの進行度で早い段階)から早期診断できる診断薬の開発を掲げています。膵臓がんは、自覚症状がほとんどなく、有効な診断方法がないため、早期発見が難しい病気です。膵臓がん幹細胞を標的とする抗体には、この早期診断への期待が寄せられています。診断薬が実用化に至れば、早期発見の遅れを埋める手段になる可能性があります。

治験に向けた基礎検討を計画した

2023年度の大阪府の創薬シーズ研究開発の事業では、膵臓がん幹細胞に結合する抗体治療薬のシーズ(候補)を用いた調査が計画されました。調べる項目は、膵臓がん幹細胞への攻撃能力と攻撃のしくみ、正常細胞を攻撃しないことの確認、膵臓がんの増殖の抑制効果です。基礎検討を加速し、翌年度以降のヒトでの試験(治験)の準備を進めることが想定されていました。同社の事業内容は、診断薬に加えて治療薬の開発です。

治る病気にすることを目指す

同社は、膵臓がんを「治る病気」にするために、世界中の研究者と力を合わせて取り組むとしています。膵臓がんは、2012〜2015年に診断された例の5年純生存率が男性10.7%、女性10.2%にとどまり、診断と治療の両面で課題が残る病気です。同社は、診断では早期発見を、治療ではがん幹細胞の制圧を、同じ標的から目指しています。大阪公立大学発の同社は、研究者との連携を通じて、膵臓がんの克服を目指しています。

会社概要|パンクセラピーの事業内容・設立背景

大阪公立大学の研究から設立

同社は、2022年2月に大阪市で設立されました。代表の立花太郎は、大阪公立大学大学院工学研究科で教授を務めています。同社は、抗がん剤への耐性を持つ膵臓がん幹細胞を治療標的とする、大阪公立大学発の創薬ベンチャーです。同社は、株式会社細胞工学研究所と大阪府の事業で共同事業者の関係にあります。

公的な採択が相次ぐ

2023年8月に、大阪府の「創薬シーズ研究開発費補助金」に採択されました。同年9月には、特許庁の知財支援の事業「IPAS2023」の支援先に選ばれ、三菱UFJ技術育成財団の研究開発助成金にも採択されています。同財団の助成のプロジェクトは、膵臓がん幹細胞を標的とした診断および治療用モノクローナル抗体の開発です。大阪府の事業では、株式会社細胞工学研究所が共同事業者です。

金融機関の賞と展示会への参加

2024年3月に、池田泉州銀行の第20回イノベーション研究開発助成でオープンイノベーション賞に採択されました。プランは「膵臓がんをStageⅠから早期診断ができる診断薬の開発」で、サポート企業は日本生命保険相互会社です。厚生労働省が主催する医療系ベンチャーの展示会JHVSには、2023年と2024年に出展し、2026年の出展も発表しています。

会社情報

会社名パンクセラピー株式会社(PancTherapy, Inc.)
所在地大阪府大阪市淀川区西中島5-12-14 三星ビル
設立2022年2月
代表立花 太郎
事業膵臓がんの治療薬と診断薬の開発
技術領域膵臓がん幹細胞を標的とするモノクローナル抗体
連携株式会社細胞工学研究所(大阪府の創薬シーズ研究開発の事業で共同事業者)
採択2023年8月に大阪府の創薬シーズ研究開発費補助金、同年9月に特許庁のIPAS2023と三菱UFJ技術育成財団の研究開発助成金
URLhttps://www.panctherapy.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

膵臓がんは、見つかりにくく、見つかった後も治療が難しい病気です。診断と治療の2つの壁が、同じ病気に重なっています。どちらも、患者の生存率を左右する課題です。

パンクセラピーの特徴は、再発や転移の元と考えられる膵臓がん幹細胞に、診断と治療の両面から向き合っている点です。診断薬は早く見つける手段を、治療薬は根治に欠かせない細胞を狙う手段を目指す研究です。1つの標的が2つの課題に応える構図は、研究の方向をはっきりさせます。

研究開発は長い道のりですが、大学の基礎研究を土台に、診断薬と治療薬の両面を同時に進めている同社の歩みが、膵臓がんと向き合う患者と家族の選択肢を広げる日を期待します。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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