パイフォトニクス「光パターン形成」を研究

パイフォトニクス株式会社

パイフォトニクス「光パターン形成」を研究

企業紹介|パイフォトニクス株式会社とは?

LEDの光の広がりを抑えて遠くへ届け、床や壁に点や直線、矢印などの形をくっきり描く技術である「光パターン形成」。パイフォトニクス株式会社は、その技術を照明「ホロライト」として製造販売する、光産業創成大学院大学発の光技術のディープテック企業です。工場の危険ゾーンの表示や建築物の照明、鳥害対策などの用途に提供しています。

キーワード「光パターン形成」

「光パターン形成」は、LED光源と大型の光学素子(光の向きや形を整える部品)を組み合わせ、空間に決まった形の光を描くことです。特徴は、広がりにくい擬似平行光(ほぼ平行に進む光)を使い、離れた場所でも輪郭のはっきりした形を保てる点にあります。同社は、点・直線・円環・十字・矢印などの形を製品として提供しています。

市場課題|離れた場所へ、光で形や範囲を示しにくい

現状の照明の課題

危険ゾーンを示しにくい

工場や倉庫では、危険ゾーンの範囲を作業者が一目で分かる形で示すことが難しい面があります。「フォークリフトの周囲3m以内は立入禁止」といった職場のルールは、定められていても目には見えず、騒音のある現場では音や声による注意喚起も届きにくい状況です。このままでは、車両や吊荷の接近に気づくのが遅れ、接触事故の恐れが残ります。

遠方を狙って照らしにくい

一般的なスポットライトは、離れた場所の狭い範囲だけを明るくすることが難しい照明です。光が距離とともに広がるため、遠くを照らすほど範囲が大きくなり、周囲にも光が漏れます。その結果、遠方の対象を照らす場面で、必要な範囲以外にも光が広がり、光害(不要な場所へ漏れる光による影響)が生じる恐れがあります。

他にも、金属やガラスの微細な傷の見つけにくさ、ムクドリなど鳥類による被害、建物からの光の漏れ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 光害照明の光が、必要のない方向や場所へ漏れることで生じる影響である。同社は、狙った範囲だけを照らすことで、光害を低減した照明として案内している。

パイフォトニクスの強み|「光パターン形成」を研究

パイフォトニクスが「光パターン形成」を研究

危険ゾーンを光で示せる

一般的な照明は、光が広がりながら進むため、離れた床や壁に輪郭のはっきりした形を描きにくい手法です。

同社のホロライトは、LED光源と大型光学素子を組み合わせ、点・直線・円環・十字・矢印といった形の光を、離れた場所へ描く照明です。クレーンの吊荷の下には直線状の光で立入禁止ゾーンを示し、光はクレーンの動きに追随します。フォークリフトの前方には矢印状の光を形成し、死角にいる作業者も車体より先に光をとらえられる配置です。「周囲3mには立ち入らない」といった職場のルールを光の形で共有できるため、作業者は車両の接近をいち早く知って退避でき、接触事故の未然防止に役立ちます。

遠方を狙って照らせる

一般的なスポットライトは、距離が離れるほど光が広がり、遠方の狭い範囲だけを明るくすることが難しい手法です。

ホロライトは、光の拡がり角度が1度で、50m離れた場所でも約1mの範囲をスポットで照らせる照明です。光の拡がりが小さいため、必要な場所に必要な量の光を届けられます。建物の壁面に沿って照らすと、10m以上の長い直線光を描ける点も特徴です。高層ビルでは、壁面だけを照らし、窓から屋内への漏れ光を抑えた直線照明の例もあります。このため、周囲への光の漏れを抑えながら、遠く離れた場所にある狙った範囲を照らせます。

FrontJournalの解説
  • 擬似平行光太陽光線と同程度の、ほぼ平行に進む光である。光が広がりにくく、離れた場所でも形や範囲を保ちやすい性質がある。

光パターン形成の未来|工場の安全・検査・鳥害対策への応用

光パターン形成が変える未来

工場の危険ゾーンの可視化

ホロライトは、工場や倉庫の危険ゾーンを光で示す注意喚起照明として、すでに使われている製品です。クレーンの吊荷の下には、直線状の光で井形を描いて立入禁止ゾーンを示します。フォークリフトの周囲では、アーチ状や矢印状の光で危険ゾーンと進行方向を示し、作業者の退避を促す役割です。同社は、光による注意喚起が、騒音のある現場や、外国人労働者や聴覚障がい者が働く現場にも有効だと案内しています。

鳥害対策への展開

同社は、携帯型の鳥害対策用LED照明「ホロライト・チェッカーズ」を、市街地や工場、農場の鳥害対策に提供しています。市松模様(チェッカーパターン)の光を高速に反転させるため、人の目には全点灯に見えますが、目の応答性が高い鳥には点滅して見える仕組みです。2020年9月から2021年1月の浜松市での実証実験では、ムクドリの退避行動が確認され、継続するとねぐらの移動も確認されました。照明機材と電源を専用リュックにまとめた貸し出しサービスがあるため、すぐに使い始められます。

新たな用途と市場の開拓を目指す

同社が掲げる姿は、顧客と共に新たな用途と市場を開拓し、グローバルに展開する企業です。検査や実験の分野では、金属表面の傷や凹凸、ガラスやフィルムの異物を見つけやすくする用途があります。建築の分野では、窓から屋内への漏れ光を抑えた直線照明など、光害を低減した照明にも使われています。鳥害対策では、生物の多様性を保護しつつ被害を解消する、共存できる未来を目指す、という考えです。

会社概要|光の形を事業にするパイフォトニクス

2006年に設立

パイフォトニクス株式会社は、2006年10月に設立された企業です。2007年10月にホログラム再生用のLED照明「ホロライト」を発明し、2008年4月に高指向性照明として販売を始めました。2014年から2015年にかけて、ライン、リング、アーチ、アローなどの形状を相次いで発売しています。2017年9月には、浜松市にホロライトビルを開設し、翌10月に本社事務所とホロライト工場を移転統合しました。

光産業創成大学院大学との関わり

代表取締役の池田貴裕氏は、浜松ホトニクスの中央研究所で研究員を務めたのち、2006年4月に光産業創成大学院大学の博士後期課程へ進み、同年10月に同社を設立しました。2009年9月には同大学院大学で博士学位(光産業創成)を取得し、2010年12月からは同大学院大学の評議員を務めています。同社の関連機関には、浜松ホトニクスと光産業創成大学院大学が挙げられています。

承認と実証実験

同社は、2009年6月と2014年11月に、静岡県の経営革新計画の承認を受けています。ムクドリ対策では、内閣府の公募型企画「オープンイノベーションチャレンジ」を通じて、浜松市で光による実証実験を実施しました。2024年12月には、資本金を9,340万円に増資しています。

会社情報

会社名パイフォトニクス株式会社
所在地静岡県浜松市中央区天王町673 ホロライトビル1F
設立2006年10月
代表代表取締役 池田貴裕
資本金9,340万円
事業光パターン形成LED照明装置「ホロライト・シリーズ」の製造販売
技術領域LED光源と大型光学素子による光パターン形成。擬似平行光による遠隔照明
連携光産業創成大学院大学(関連機関)。浜松ホトニクス(関連機関)
URLhttps://www.piphotonics.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

照明は、場所を明るくする道具として語られることの多い存在です。パイフォトニクスの取り組みは、その光を点や線、矢印といった形に整え、現場の注意喚起や検査に使える状態にする試みといえます。光による表示は、音や声が届きにくい現場でも伝えられる点が利点です。

照明そのものより、光の形を約束事の表示として使う発想に注目しました。言葉や標識で示してきたルールを光でも見せられれば、作業者が危険に気づきやすくなり、工場や倉庫での接触事故を減らすことにつながる可能性があります。光の形で約束事を共有する仕組みは、他の現場にも広がる余地があります。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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