地球科学可視化技術研究所|地形の立体模型に地質図の映像を重ねて見せる筑波大学発ディープテック

地球科学可視化技術研究所株式会社

地球科学可視化技術研究所「プロジェクションマッピング模型」を開発|研究領域=地形の立体模型に映像を重ねて投影/強み=等高線を目印に投影のずれを補正/将来性=展示からXRへ広がり防災も目指す

企業紹介|地球科学可視化技術研究所とは?

地球科学可視化技術研究所株式会社は、地形の立体模型に地質図などの映像を重ねて見せる「プロジェクションマッピング模型」を開発する筑波大学発の企業です。レーザー航空測量などで得た地形データから、模型を精密に削り出して製作しています。立体地質図として、博物館や自治体、教育機関などへ提供しています。

キーワード「プロジェクションマッピング模型」

プロジェクションマッピング模型は、立体模型の表面にプロジェクターで映像を重ねて見せる方式です。映像の内容を差し替えるだけで、同じ模型に地質図や衛星画像、災害の想定図などを切り替えて映せます。博物館の展示や学校の授業、防災の話し合いの場で、全員が同じ地形を見ながら説明できます。

市場課題|平面の地図は地形の立体感が伝わりにくい

現状の地形図と模型の課題|現状は、平面の図と投影のずれで伝わりにくい/平面の地図は立体を想像しにくい/模型への投影はずれやすい

平面の地図は立体を想像しにくい

平面の地図は、立体的な地形を思い描くのに慣れが要る資料です。地形図や地質図は、等高線(標高が同じ地点を結んだ線)や色分けで地形や地層を表すため、高低差や斜面の向きを頭の中で組み立てる作業が必要になります。そのため、地質や防災の説明では、同じ図を見ていても参加者ごとに理解がずれやすくなります。

模型への投影はずれやすい

立体模型に映像を重ねる方式は、地形の凹凸を実物のように見せられる一方、位置合わせが難所です。投影した画像が模型の表面でゆがむと、投影の精度が下がります。ずれた画像では地質の境界線が実際の地形と合わず、説明に使える展示になりにくくなります。

他にも、模型の製作の手間、映像の準備、展示内容の更新、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 等高線標高が同じ地点を結んだ線を指す。線の間隔が狭いほど斜面が急であることを示し、地形図で高低差を表す基本の記号になる。

地球科学可視化技術研究所の強み|「プロジェクションマッピング模型」を開発

地球科学可視化技術研究所が「プロジェクションマッピング模型」を開発|現在は、立体模型への投影で地質図を提供/精密な立体模型で地形を把握/等高線を目印に投影のずれを補正

精密な立体模型で地形を把握

従来の立体地質図の展示は、地質情報に特化した模型だったため、地質と社会生活の関係を表現しにくいものでした。

同社が用いるのは、レーザー航空測量(航空機から地表の高さを測る方法)や無人航空機(UAV)の写真測量(複数の写真から地形の形や高さを測る方法)で得た地形データを、NC切削加工(コンピューター制御で材料を削る加工)で精密に成形した立体模型です。模型の表面には、微細な等高線を造型します。この模型に地質図などの画像を重ねて投影する流れです。地形の高低と地質の分布が1つの模型の上で重なるため、参加者全員が同じ立体を見ながら、山や谷の形と地層の広がりをその場で確認できるようになります。

等高線で投影のずれを補正

従来の投影法は、プロジェクターのレンズ収差(レンズの曲がりによる像のゆがみ)や光軸(レンズの中心を通る軸)の傾きで、投影の精度が下がる課題がありました。

同社の補正は、模型の表面に造型した微細な等高線を、投影の位置を合わせる基準点にする方式です。具体的には、模型と同じデータから作った等高線の画像を模型へ投影し、模型表面の等高線とのずれを照合して、画像の傾きやゆがみを検出し補正します。投影の位置ずれを、模型の側の目印で直せることが利点です。補正の結果、地質の境界線が実際の地形に沿って見えます。見る人は、地質情報をより直感的に理解できるようになります。

FrontJournalの解説
  • NC切削加工NCは数値制御の略で、コンピューターに入力した数値データのとおりに工具を動かし、材料を削って形をつくる加工方法を指す。

未来・導入事例|展示から体験へ広がる地球科学の見せ方

プロジェクションマッピング模型が変える未来|展示から体験へ広がる地球科学の見せ方/日本列島の立体地質図が展示に/XRで恐竜展示を体験/研究を社会へ届けることを目指す

日本列島の立体地質図が展示に

同社の技術は、産業技術総合研究所の地質標本館にある日本列島の立体地質図に使われています。この展示の模型は、全長約9メートル、縮尺34万分の1で、5台のプロジェクターが映像を重ねます。2018年2月に、産業技術総合研究所が公開を発表しました。地質図、地形図、衛星画像の3種類を切り替えられ、来館者は地質と暮らしの関係を立体で確かめられます。

XRで恐竜展示を体験

メタバース(仮想空間)やXR(現実と仮想を重ねる技術)を使った恐竜展示は、同社が手がけています。3D化した日本列島の上を歩けるバーチャル博物館も、同社の取り組みです。2023年5月に、同社は映像・XR企業のIMAGICA EEX(イマジカ イーイーエックス)と業務提携しました。両社は、大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン(テーマ事業プロデューサーが手がける展示館)の化石・古生物監修などを進めてきました。

研究を社会へ届けることを目指す

同社が目指すのは、地球科学の研究成果が、博物館や教育機関、自治体、放送局で使われることです。立体模型で地形や防災の情報を示せば、地域の人々が同じ地形の上で災害への備えを話し合えるようになります。地球科学が、専門家だけのものから、暮らしの判断を支える知識になることを目指しています。

会社概要|地球科学可視化技術研究所株式会社

筑波大学発で2016年に設立

地球科学可視化技術研究所株式会社は、2016年6月23日に設立されました。代表取締役の芝原暁彦氏は、福井県出身で、筑波大学大学院で古生物学を専攻し、同大学の博士研究員、産業技術総合研究所の特別研究員、地質標本館の学芸員を経て起業した人物で、所長も務めています。同社は、筑波大学発ベンチャーとして2017年2月28日に承認されました。産業技術総合研究所発ベンチャーとしても位置づけられています。

ベンチャー選出と協業

同社は、週刊東洋経済の「すごいベンチャー100」2025年最新版に選出されました。2023年5月には、映像・XR企業のIMAGICA EEXと業務提携しました。2025年10月には、IMAGICA EEXが同社との連携の強化を発表しています。

監修と納入先の広がり

同社は、地形模型の製作に加え、テレビ番組や展示の科学監修も担う企業です。納入先には、NHK・BSプレミアム、地質標本館、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、国立科学博物館などがあります。製品を使った教育支援や技術支援も業務の一部です。代表の芝原氏は、福井県立大学恐竜学研究所の客員教授も務めています。

会社情報

会社名地球科学可視化技術研究所株式会社
所在地茨城県つくば市
設立2016年6月23日
代表芝原 暁彦(代表取締役)
事業地形データを精密に成形した立体模型へ、地質図などの映像を投影するプロジェクションマッピング模型の開発・販売。VR・XR・3Dコンテンツの制作。テレビ番組や展示の科学監修
技術領域プロジェクションマッピング、立体地質図、NC切削加工、地球科学の可視化、XR
連携IMAGICA EEXと業務提携(2023年5月)。連携強化(2025年10月)
採択筑波大学発ベンチャー承認(2017年2月)/週刊東洋経済「すごいベンチャー100」2025年最新版(2025年)
URLhttps://www.revj46.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

地形図や地質図は、読み方を知る人だけが立体を思い描ける資料でした。その壁を、立体模型と映像の組み合わせで下げようとする発想が印象に残ります。同社の特徴は、模型の表面にある等高線を手がかりに、投影のずれを正す点です。

映像の内容を差し替えれば、同じ模型を地質、地形、防災の説明に使い分けられます。恐竜展示のXR体験や万博の監修へ広がる活動は、地球科学を暮らしに近づける試みです。今後の展開が注目されます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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