2026.09.25 │ 九州大学・JST │ 元発表:2026.09.18

九州大学、接着剤は固まった後も内部構造が変わり続けると実証

ニュース紹介

「接着剤は固まった後も内部で動いていた−ゲル化後の構造再編成を発見~自動車や航空機の軽量化を支える新規接着技術への応用に期待~」

九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門/次世代接着技術研究センターの田中敬二主幹教授/センター長らの研究グループは、モデルエポキシ樹脂を対象に、体積収縮測定、広角X線散乱測定、全原子分子動力学シミュレーションを組み合わせ、マクロな収縮挙動と分子レベルの構造変化との関係を解析しました。

その結果、材料全体の体積収縮は主にゲル化前に進行し、ゲル化後は著しく抑制される一方で、分子間距離やフリースペースはゲル化後も変化し続けることを明らかにしました。ゲル化を境として「マクロな緻密化」と「構造再編成」が分離することを初めて実証したとしています。

成果は、熱硬化性樹脂の硬化収縮や内部応力の発生機構の理解を深め、異種材料接着剤の分子設計の加速につながることが期待されるとしています。論文は2026年9月18日に「Communications Materials」オンライン版に掲載されました。

出典:九州大学・科学技術振興機構(JST) 2026年9月18日 共同発表
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260918/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

自動車や航空機では、燃費を良くするために構造部材を軽くすることが求められています。そのために、金属と樹脂のような異なる材料を組み合わせ、強く接着する技術が重要になっています。

接着剤や構造材に使われる熱硬化性樹脂(熱などで反応して固まり、元に戻らない樹脂)は、固まるときに分子どうしが結びついて網目状の構造をつくります。このとき体積が縮む硬化収縮が起こり、内部に力(内部応力)がたまったり、接着面がはがれたりする原因になってきました。

①縮むのはゲル化の前まで

ゲル化とは、液体だった樹脂の分子がつながり、流れなくなって固まり始める段階です。研究グループは、体積の測定、X線で分子の並びを調べる測定、コンピューター上で原子の動きを計算するシミュレーションを組み合わせました。

その結果、材料全体が縮む現象はほとんどがゲル化より前に起こり、ゲル化の後は大きく抑えられることが分かりました。

②固まった後も中では分子が動いている

一方で、分子どうしの距離や、分子の間にあるすき間(フリースペース)は、ゲル化の後も変わり続けていました。網目構造に縛られた状態で、局所的に並び方が組み替わっていると考えられます。

これまでは「縮み方が分子構造の変化をそのまま表している」と理解されてきました。今回の結果は、外から見た縮みと中の変化が別々に進むことを示しており、内部応力がどう生まれるかを考え直す手がかりになります。

編集部からひとこと

接着剤が「固まった後」の内部で何が起きているかは、外から測るだけでは分かりにくい部分です。複数の測定と計算を組み合わせてその様子を捉えた点が、今回の研究の要です。はがれにくい接着剤の設計にどう生かされるのか、続報に注目します。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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