味香り戦略研究所「味の見える化」を研究

株式会社味香り戦略研究所

味香り戦略研究所「味の見える化」を研究

企業紹介|株式会社味香り戦略研究所とは?

食品や飲料の味を、数値で比べられる形にする技術である「味の見える化」。株式会社味香り戦略研究所は、その取り組みを事業として提供する、研究に基づく測定技術を軸にしたフードテック(食に技術を生かす分野)のディープテック企業です。味覚センサなどで測った味のデータを蓄積した「味覚データベース」を、食品・飲料メーカーの分析や商品開発の用途で提供しています。

キーワード「味の見える化」

「味の見える化」は、人の感覚で語られてきた味を、センサ測定値や調査データとして数値で比べられる形にすることです。特徴は、舌を模した味覚センサで測る味に、においや食感の分析、人の好みの調査を重ねて、味を多面的に捉える点にあります。食品・飲料メーカーの開発者が、測定値を狙った味への調整や他商品との違いの確認に使う想定です。

市場課題|食品・飲料の味は、数値で比べて共有しにくい

現状の味づくりの課題

味の評価が感覚に左右される

食品や飲料の味の評価は、評価者の感覚に左右されやすい面があります。長く官能評価(訓練した評価者が味や香りを判定する方法)で行われてきたため、評価者の経験や体調、その日の環境によって結果が変わり、数値として残して比べにくい状況です。そのため、開発の過程で狙った味に近づいたかを、担当者の間で共有しにくくなります。

好みの傾向を捉えにくい

商品の味が消費者に好まれるかどうかは、発売してから分かる場合が少なくありません。味の特徴と好みの関係を示すデータが乏しいと、味づくりは経験と勘で進めがちです。その結果、開発のやり直しや、売り場で選ばれない商品が生じる恐れがあります。

他にも、同社の案内には、感性頼みで開発の方向性を共有しにくいこと、自社商品の市場での立ち位置を測りにくいこと、売り場で組み合わせの根拠を示しにくいこと、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 官能評価訓練した評価者が、味や香り、食感を自らの感覚で判定する方法である。人の感じ方を直接捉えられる一方、評価者や条件で結果がばらつきやすい。

味香り戦略研究所の強み|「味の見える化」を研究

味香り戦略研究所が「味の見える化」を研究

味を数値で共有できる

従来の官能評価は、評価者の感じ方に結果が左右され、味の違いを数値で残しにくい手法です。

同社は、味覚センサで旨味、苦味、塩味、酸味、甘味、渋味を測り、先味と後味の違いまで数値で示す分析を、依頼を受けて提供しています。さらに、においの分析や食感の分析、人の感覚による官能評価も組み合わせた、味を多面的に捉える設計です。測定値は蓄積されるため、過去に測定した複数の商品の結果とも並べて比べられます。このため、担当者どうしが共通の数値を見ながら調整を進められ、狙った味への近づき方を確認できます。

好みの傾向を事前に知る

従来は、味の特徴と消費者の好みの関係を示す資料が少なく、味づくりは経験をもとに進めることが多い状況でした。

同社が持つのは、延べ1万件の食品分析の実績と、12万件を超えるデータベースです。「嗜好性診断」では、7,500人を超える調査データから、味の好みの平均的な傾向を算出し、好みを味の組み合わせで嗜好タイプに分類します。嗜好性診断プログラム「コレスキ」は、スマートフォンで15の質問に答えるだけで、嗜好タイプが分かるサービスです。診断結果は6類型に分け、さらに22の嗜好タイプに細分します。同社の分析では、商品の味と消費者の好みの傾向を並べて見られるため、開発者は開発の方向を発売前の段階で検討できます。

FrontJournalの解説
  • 嗜好性診断個人や集団が好む味の傾向を、質問への回答や調査データから分類して示す手法である。味の測定値と組み合わせると、商品の味と好みの関係を比べられる。

味の見える化の未来|食品・飲料開発への応用

味の見える化が変える未来

飲料の味づくりへの応用

味の数値化は、飲料の味づくりに生かせる分野です。同社の味覚分析は、飲料の先味と後味の違いを測定値で示す分析です。狙う味との距離を測定値で確かめられるため、試作のたびに調整の成果を見比べながら、狙った味に近づけられます。分析結果は、解釈コメントを付けた報告書にまとめられます。

料理と飲料の相性診断

同社は、各食品の味のデータを基に、食品どうしの組み合わせを、味の同調や補完といった観点で解析する「フードペアリング」を手がけています。たとえば同社は、焼酎ハイボールと食品の組み合わせをフードペアリングで分析した事例があります。相性の根拠を示せれば、飲食店や小売の売り場で、商品の薦め方を説明しやすくなる点が利点です。ペアリングの結果は、食材との親和性を知って商品開発に生かす材料にもなります。

商品企画のデータ分析

同社は、2020年7月に伊藤忠商事、ウィングアーク1stと業務提携し、食の商品企画・開発領域のデータ分析サービス「FOODATA」の提供を始めました。対象は、味などの商品データと、ID-POS(顧客ごとの購買履歴を記録した販売データ)や製品評価といった消費者データです。同社は、別々に管理されていたこれらのデータを集約し、一つの流れで分析できるとしています。商品と消費者の両面を並べて見られるため、商品企画の判断に生かせます。

会社概要|味のデータを事業にする味香り戦略研究所

2004年に設立

株式会社味香り戦略研究所は、2004年9月に設立された企業です。設立の翌月に、味覚データの収集と味覚データベースの構築を始めました。2005年4月には、味覚データベースサービスを開始しています。2011年11月には、東京都中央区の茅場町へ本社を移しました。島根県浜田市には、西日本支店を置いています。

九州大学との関わり

代表取締役の小柳道啓氏は、九州大学五感応用デバイス研究開発センターの味覚センサ部門で、客員教授を務めています。また同社は、科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業の研究開発課題「味覚・嗅覚・食感イノベーションによる食サービスの創出」(代表:都甲潔氏、九州大学)に、共同研究機関として参画しました。同社の社外取締役には、味覚センサを提供するインテリジェントセンサーテクノロジーの代表が就いています。

事業の広がり

2010年8月には、総合商研株式会社の連結子会社になりました。2020年7月には、伊藤忠商事、ウィングアーク1stと業務提携し、食の商品企画・開発領域のデータ分析サービス「FOODATA」の提供を始めています。2023年7月には、嗜好性診断プログラム「コレスキ」の提供を始め、味の好みを診断する仕組みを加えました。

会社情報

会社名株式会社味香り戦略研究所
所在地東京都中央区新川1丁目17-24 NMF茅場町ビル8F
設立2004年9月
代表代表取締役 小柳道啓
資本金5,000万円
事業味覚データベースの提供。味やにおい、食感の分析、官能評価、嗜好性診断、フードペアリング
技術領域味覚センサによる味の測定。におい分析。食感分析。嗜好性の調査
連携伊藤忠商事、ウィングアーク1st(業務提携)。総合商研(同社が総合商研の連結子会社)。九州大学(代表が客員教授)
URLhttps://mikaku.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

味は、食品や飲料の価値を左右する一方で、言葉や感覚で語られることの多い領域です。味香り戦略研究所の取り組みは、その味を測定値と調査データに置き換える試みです。開発や販売の現場で共有できる形にすることで、味の議論を数値で進められるようになります。

測定の機器そのものより、測ったデータを蓄積して使い道を広げる点に注目しました。味の数値と人の好みを結び付ける仕組みが、事業の価値の核心だと考えます。味の違いを数値で説明できる日が来れば、商品づくりの試行錯誤が減り、消費者は好みに合う食品や飲料を選びやすくなる可能性があります。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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