2026.10.01 │ 理化学研究所 │ 元発表:2026.10.01

理化学研究所、ながら作業で握力の持続成績が向上する現象を発見

ニュース紹介

「「ながら作業」が身体能力を向上させる-認知負荷に伴う覚醒度の上昇によって起こる筋力増強-」

理化学研究所脳神経科学研究センター人間認知・学習研究チームの柴田和久チームディレクター、渚ソフィア基礎科学特別研究員(研究当時、現客員研究員)、イーサン・オブラク研究員(研究当時)らの国際共同研究チームは、二つの課題を同時に行うマルチタスクにより、最大握力を持続する運動課題の成績が向上する現象を発見しました。実験では、参加者が最大握力を維持する運動課題を行いながら、身近な物や動物の画像が次々と切り替わる動画を見ました。動画をただ見る場合に比べ、画像を覚える認知課題が課された場合に運動課題の成績が向上しました。覚醒度の指標である瞳孔径の計測から、認知課題による瞳孔径の増加と運動課題の成績向上の関係が示されています。研究成果は科学雑誌「iScience」のオンライン版(日本時間10月1日)に掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年10月1日 プレスリリース(掲載誌:iScience/DOI: 10.1016/j.isci.2026.117635)
https://www.riken.jp/press/2026/20261001_1/index.html

FrontJournalの解説

「覚醒度」と「認知負荷」とは

今回の発表で鍵になる2つの言葉について、理研は次のように説明しています。「覚醒度」は、人や動物がどれくらい活動する準備ができているかを示す、神経系の活性状態の度合いです。「認知負荷」は、脳のメモリの消費量にあたり、人間の脳が一度に処理できる情報の容量には限界があるなかで、それをどれだけ使っているかを示す精神的コストです。

一般に、認知課題と運動課題を同時に行う二重課題では、それぞれを単独で行う場合より成績が下がる「二重課題干渉」が知られています。今回の研究は、運動課題の種類によっては、認知課題を加えることで成績が上がる場合があることを示した点が特徴です。

①認知課題の難しさと握力の持続

実験では、24人の参加者が12秒間にわたり握力センサーを握り続けました。同時に、画像をただ見る条件、現在の画像が1つ前と同じかを判断する1-back条件、2つ前と同じかを判断する2-back条件の3条件が設けられました。結果として、認知課題が難しくなるほど、握力を維持する成績が向上したと報告されています。

②瞳孔径と報酬から見る覚醒度との関係

30人の参加者を対象にした瞳孔の計測では、認知課題が難しくなるほど瞳孔が大きく開きました。瞳孔径は覚醒度の指標であり、認知課題による瞳孔径の増加と運動課題の成績向上の関係が示されています。また、金銭報酬を変えた17人の参加者による実験では、大きな報酬が得られる条件で握力の成績が向上しました。

編集部からひとこと

今回の発表は、握力の持続という限られた運動課題での実験結果であり、スポーツや日常動作など他の運動への一般化や、具体的な応用・実用化については、発表内容では言及されていません。認知的な負荷が身体の出力に影響しうることを、瞳孔径という客観的な指標とあわせて示した点は、運動と認知の関係を調べる研究の参考データとなる可能性があります。詳細な実験条件や論文の内容は、理化学研究所の公式ページおよびiScience掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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