2026.09.17 東京農工大学 元発表:2026.09.16

東京農工大学、合成が難しいナノポア形成ペプチドを無細胞合成

ニュース紹介

「合成が難しいナノポア形成ベータシートペプチドを無細胞たんぱく質合成系によって簡便に合成することに成功」

東京農工大学大学院工学研究院生命工学部門の藤田祥子助教、川野竜司教授、同大学院工学府の佐藤茉奈大学院生らの研究グループは、科学技術振興機構(JST)との共同発表として、凝集性が高く化学合成が難しいナノポア形成ベータシートペプチドを、無細胞たんぱく質合成系によって簡便に合成することに成功したと発表しました。

研究グループは、リポソームを添加した再構成型無細胞合成系を用い、リポソームの脂質組成と測定条件を最適化しました。これにより、無細胞合成したペプチドから機能的なナノポアを形成させています。

さらに、無細胞合成したペプチドナノポアを用いて、ポリペプチドなどの分子検出にも成功しました。研究グループは、1分子をラベルフリーに検出できるバイオセンシング技術であるナノポアセンシングへの応用を挙げています。本成果は国際学術誌『ACS Nano』に米国東部時間2026年9月15日に掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST)・東京農工大学 2026年9月16日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260916/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

ナノポアセンシング(小さな穴を通る分子を1個ずつ電流変化で捉える計測法)は、目印を付けずに分子を数えられる方法として研究が進んでいます。穴を通るときの電流の乱れ方が分子ごとに違うため、その違いから何が通ったかを見分けます。

この穴は、たんぱく質やペプチドを膜に埋め込んで作ります。中でもベータシート構造をとるペプチドは、安定した穴を作れる一方で、作ること自体が難しいという事情がありました。

①凝集しやすく合成が難しい

ナノポアを作るベータシートペプチドは凝集性が高く、化学合成が難しい分子でした。作れる量や純度が上がらなければ、測定に使う穴も安定して用意できません。

センサーとして使うには、必要なときに必要な量を、簡便に作れる方法が求められていました。

②リポソームを加えて膜の上で作る

研究グループは、リポソーム(脂質でできた小さな袋)を加えた再構成型無細胞合成系を使いました。細胞を使わず、必要な部品だけを試験管の中に集めてペプチドを作る方法です。

リポソームの脂質組成と測定条件を最適化した結果、合成したペプチドから機能する穴が形成されました。この穴を使って、ポリペプチドなどの分子を検出することにも成功しています。

編集部からひとこと

作りにくい分子は、作り方を変えると一気に扱いやすくなることがあります。今回は、脂質の袋を先に用意して、その膜の上でペプチドを組み立てるという順序の工夫が要点です。1分子を目印なしで読む計測は、診断品質検査の裾野を広げる技術として、実用の形が見えてくる段階にあるといえます。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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