C-HASプラス「線虫の健康寿命評価」を研究|線虫を撮影する装置とモニターを描いたイラスト

株式会社C-HASプラス(シーハスプラス)

C-HASプラス「線虫の健康寿命評価」を研究|研究領域=素材の健康効果を・線虫で評価/強み=寿命の短い線虫で・素材を数週間で比較/将来性=食品や化粧品の・素材探索に活用

企業紹介|株式会社C-HASプラスとは?

食品や化粧品の素材の健康効果を、線虫の一生から数値で確かめる技術として、注目を集める「線虫の健康寿命評価」。株式会社C-HASプラスは、その社会実装を目指す、熊本大学発のバイオ系ディープテック企業です。評価システム「C-HAS」を使った素材の評価と探索を、食品・化粧品・医薬品を開発する企業へ提供しています。

キーワード「線虫の健康寿命評価」

「線虫の健康寿命評価」は、体長約1mmの線虫の一生を撮影し、活発に動ける期間を測る評価手法です。特徴は、寿命が約20日と短い線虫を使い、素材を与えたときの健康寿命の変化を短い期間で数値にできる点にあります。健康食品や化粧品を開発する企業は、多くの候補素材から効果の見込めるものを早い段階で選び出せます。

市場課題|素材の健康効果を確かめる試験に時間と手間がかかる

現状の動物試験と手作業観察の課題|現状は、時間と手間のかかる試験で素材を比べにくい|マウスの試験は・長期で高コスト/線虫の手作業観察は・比較に不向き

マウスの試験は長期で高コスト

健康食品や化粧品の素材が健康寿命に与える影響を、マウスで確かめる試験には長い期間を要します。マウスの寿命は約3年あり、一生を追って比べるには年単位の時間と飼育の費用がかかります。欧米を中心に動物実験代替法を求める動きも広がり、マウスの試験を増やして素材の健康効果の根拠を集めることは容易ではありません。

線虫の手作業観察は比較に不向き

寿命の短い線虫を使う研究でも、測定は研究者の手作業が中心となっています。研究者が毎日、針で線虫に触れて生死を確かめる従来の方法では、結果が実験者の手技に左右されがちです。一度に扱える検体も少ないため、多くの素材を同じ条件で比べる用途には不向きです。

他にも、どの素材から開発を始めるかを決める候補選びの難しさや、健康への影響を一つの数値で示す共通の指標の不足、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 動物実験代替法マウスなどの動物を使う試験を、細胞や小さな生物、計算による予測などに置き換える方法の総称である。動物の負担を減らす倫理面の要請に加え、試験の期間と費用を抑える手段としても研究が進んでいる。

C-HASプラスの強み|「線虫の健康寿命評価」を研究

C-HASプラスが「線虫の健康寿命評価」を研究|現在は、「C-HAS」で素材の評価を提供|線虫の一生で・健康寿命を測定/画像で健康状態を・自動判定

線虫の一生で健康寿命を測定

寿命を一生にわたって追う従来の試験は期間が長く、多くの素材を同じ条件で並べて比べることが困難でした。

「C-HAS」は、線虫(C. elegans)を使って健康寿命を測る評価システムです。線虫は体長約1mmながら神経・消化管・筋肉をもつ多細胞生物で、遺伝子の数は約2万個とマウスとほぼ同じで、寿命を決める仕組みにもヒトとの類似点が多いとされます。寿命が約20日と短いため、素材を与えた線虫と与えない線虫の一生を、数週間で比べられます。同社が「健康寿命」として数値にするのは、線虫が活発に動ける期間です。開発企業は候補の素材を早い段階で絞り込め、マウスの試験に進める候補の数を減らせます。

画像で健康状態を自動判定

針で触れて生死を確かめる従来の方法は、刺激が線虫の状態に影響する恐れがあるうえ、毎日の測定に人手を要します。

「C-HAS」は、線虫を一定の間隔で撮影し、前後の画像を重ね合わせて状態を判定する仕組みです。位置が変わる線虫は活発に動いている状態、一部だけ重なる線虫は生きていても活発には動けない状態、完全に重なる線虫は死亡と見分けます。線虫に触れずに自動で測るため、実験者による結果のばらつきを抑えられます。個々の線虫の不健康期間(生きていても活発に動けない期間)も算出でき、集団を健康長寿の群などに分けた解析も可能です。多くの素材を同じ条件で比べられ、効果の見込める素材を客観的な数値で選べます。

FrontJournalの解説
  • C. elegans体長約1mmの線虫の一種である。体が透明で飼育しやすく、寿命が約20日と短いうえ、ヒトと共通する遺伝子も多いことから、老化や寿命の研究に広く使われるモデル生物である。

線虫の健康寿命評価の未来|食品から医薬品まで素材探索を広げる

線虫の健康寿命評価が変える未来|食品から医薬品まで素材探索が広がる|黒酢で線虫の・健康寿命が延長/素材を植物と・微生物から探索/動物試験を減らす・開発を目指す

黒酢で線虫の健康寿命が延長

「C-HAS」は、すでに身近な食品素材の研究に使われています。熊本大学の研究グループは、この評価システムで黒酢の濃縮液を与えた線虫を調べ、寿命と健康寿命が延びることを確認しました。効果が見られたのは、加熱殺菌した大腸菌を餌にした条件です。食品メーカーにとって、素材の健康効果を示す根拠を集める手段の一つになります。

素材を植物と微生物から探索

同社は、評価の前段となる素材探索の手段も備えています。植物データベース「PDIII」(創薬に役立つ植物の情報を集めたデータベース)は、世界の維管束植物(シダ植物と種子植物)約32万種について、伝統的な用途や薬理作用などの情報を収めたものです。天然物エキスバンク「NEB」(植物や微生物から得たエキスの保管庫)には、3万点以上のエキスが収められています。候補の植物を絞り込み、エキスを「C-HAS」で評価するまでを一つの会社で進められる体制です。

動物試験を減らす開発を目指す

同社が目指すのは、「クルエルティフリー」(医薬品や化粧品の開発で動物を用いた試験を行わないこと)の広がりです。線虫は、マウスなどを使う試験を減らすために同社が用いるモデル生物です。米国食品医薬品局(FDA)などの規制当局は、線虫を用いた安全性評価法の開発を進めているといわれています。素材の健康効果を早く確かめられれば、健康寿命の延伸を目指す製品を消費者へ届けるまでの期間の短縮につながります。

会社概要|熊本大学の線虫研究から生まれたC-HASプラス

熊本大学の研究から創業

株式会社C-HASプラスは、2019年4月に株式会社くまもとファーマとして熊本市で設立され、2022年4月に現在の社名へ変更しました。熊本大学・熊本県・文部科学省による産学官連携プロジェクト「UpRod」で確立した植物データベースやエキスバンクを、事業の基盤にしています。評価システム「C-HAS」は、熊本大学の首藤剛准教授らが開発した技術です。代表取締役CEOには菊池正彦氏が就き、首藤氏が取締役社長COO、熊本大学名誉教授の甲斐広文氏が取締役CSOを務めています。

受賞・採択と共同研究

「C-HAS」は2021年に第6回熊本テックプラングランプリで最優秀賞と企業賞を受け、「バイオテックグランプリ2021」でも企業賞を受けました。同社は、令和7年度の熊本県「次世代ベンチャー創出支援事業化可能性調査委託事業」と、令和8年度の熊本市「新製品・新技術研究開発事業助成金」に採択されています。2023年には、EPD株式会社と天然物に含まれる有用物質を探す共同研究を、日本マイクロバイオファーマ株式会社と微生物資源の活用に関する共同研究を始めました。

インパクト投資で資金調達

同社は2025年8月、SIIFICウェルネスファンドを引受先とする第三者割当増資(特定の相手に新しい株式を引き受けてもらう資金調達)で資金を調達しました。同ファンドは、社会課題の解決と収益の両立を目指す企業に出資するインパクト投資のファンドで、SIIFインパクトキャピタルと社会変革推進財団が運営しています。同ファンドは、専門人材や若者、女性、外国人など多様な人材を地域で雇用している点を評価して出資しました。

会社情報

会社名株式会社C-HASプラス(旧 株式会社くまもとファーマ)
所在地熊本県熊本市中央区大江本町5番1号 産業イノベーションラボラトリー内
設立2019年4月1日(2022年4月1日に現社名へ変更)
代表代表取締役CEO:菊池 正彦
資本金2,550万円(公式サイト掲載)
事業線虫の健康寿命評価システム「C-HAS」を用いた素材の評価。植物データベース「PDIII」と天然物エキスバンク「NEB」を活用した、医薬品・機能性食品・化粧品の素材の探索と開発支援
技術領域線虫(C. elegans)の健康寿命の自動測定。天然物の探索
連携熊本大学。EPD株式会社、日本マイクロバイオファーマ株式会社(共同研究)
採択令和7年度 熊本県次世代ベンチャー創出支援事業化可能性調査委託事業。令和8年度 熊本市「新製品・新技術研究開発事業助成金」
URLhttps://c-hasplus.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

健康によいとされる素材は数多くありますが、その効果を一生という時間軸で確かめるのは簡単ではありません。マウスで数年、ヒトならさらに長い時間がかかります。この「時間の壁」が、素材の開発で根拠を集めにくい理由の一つだと感じていました。

C-HASプラスは、寿命が約20日の線虫を使い、その一生を画像で見守るという方法でこの壁に向き合う会社です。長さだけでなく「元気に動ける期間」を数値にする発想は、健康寿命という言葉の意味にまっすぐ沿ったものだと思います。線虫での結果がそのままヒトに当てはまるわけではありませんが、数多くの候補を絞り込む最初のふるいとしての意味は大きいと考えます。

熊本の研究室で生まれた評価手法が、身近な食品や化粧品の選び方を変えていく日を楽しみに待ちたいと思います。関連する熊本の企業は熊本大学発スタートアップ10選でも紹介しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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