deltafiber.jp「光ファイバ加工」を開発

株式会社deltafiber.jp(デルタファイバー)

deltafiber.jp「光ファイバ加工」を開発

企業紹介|deltafiber.jpとは?

熱を加えたり表面を削ったりして光ファイバの形や性質を変え、光を損失少なくつなぐ「光ファイバ加工」。株式会社deltafiber.jpは、その社会実装を目指す、電気通信大学発のエレクトロニクス系ディープテック企業です。光の広がり(MFD)を熱で広げる「TECファイバ」や、外径を細くするクラッドエッチングファイバなどを提供しています。

キーワード「光ファイバ加工」

「光ファイバ加工」は、光ファイバに熱や削る加工を施して、つなぎやすさや外径を調整する技術です。同社は、コア(光が通る中心部)まわりの光の広がりを熱で広げる加工、クラッド(コアを囲む外側の層)を削る加工、熱して引き伸ばす加工、センサー用の格子を描く加工を手がけています。特徴は、市販の光ファイバに加工して使えることです。

市場課題|光ファイバの接続と実装に制約が残る

現状の光ファイバの課題

コア径の差で損失が生じる

光の広がりを表すモードフィールド径(MFD)が違う光ファイバ同士をつなぐと、光の一部が失われます。コア径の異なるファイバを直接つなぐ場面では、MFDの差に応じたミスマッチ損失(径の不一致による光の損失)が生じる状況です。損失が残ったままでは、つないだ先へ届く光が弱まり、機器の性能を引き出しにくくなります。

標準外径が小型化の制約

最も普及した光通信用ファイバは、クラッド径が125μmです。複数のファイバをまとめて接続する多芯化では、ファイバの間隔がこの外径で制限されます。小型の機器に多くのファイバを収めたい場面では、標準の外径が制約になりかねません。

他にも、電磁ノイズの影響を受けやすい場所での計測、高温や放射線といった特殊な環境での計測、高速で回転する部品の歪みや温度の測定、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • モードフィールド径光ファイバの中で、光が広がって伝わる範囲の直径である。この値が異なるファイバ同士をつなぐと、ミスマッチ損失と呼ばれる光の損失が生じる。

deltafiber.jpの強み|「光ファイバ加工」を開発

deltafiber.jpが「光ファイバ加工」を開発

光の幅を熱で広げ損失低減

MFDの異なるファイバを融着接続(熱で溶かして接合する方法)しても、MFDの差による損失は残ります。

同社の「TECファイバ」は、ファイバの一部を熱で加工して、光の広がり(MFD)を2倍から3倍に広げた光ファイバです。MFDが広がると開口数(光を受け入れる角度の範囲を表す値)が小さくなり、軸のずれや隙間への許容範囲が広がって、接続損失を抑えやすくなります。クラッド径はほとんど変わらないため、フェルール(ファイバを保持する部品)に挿入してコネクタ化が可能です。この熱拡散を応用した「MFD変換ファイバ」により、コア径の異なるファイバ同士を低損失でつなげるようになります。

外径を細くし高密度化

クラッド径が125μmの標準ファイバでは、多数のファイバを並べるときに、間隔を詰めるのに限界があります。

同社の「クラッドエッチングファイバ」は、クラッドのみをサブミクロン精度でエッチング(表面を削る加工)して、外径を細くしたファイバです。ファイバの間隔(ピッチ)を0.25mm以下にして使えるため、複数のファイバを小さな機器に収めやすくなります。反対に、太いファイバをエッチングして外径を整え、一般的なφ125μmの穴のフェルールに挿入する使い方も可能です。エッチングの対象はクラッドのみのため、光を通すコアには手を加えません。

FrontJournalの解説
  • 開口数光ファイバが光を取り込める角度の範囲を表す値である。値が大きいほど広い角度の光を取り込めるため、光源との結合や接続の設計で重要な指標になる。

光ファイバ加工の未来|センシングと特殊環境への広がり

光ファイバ加工が変える未来

FBGで歪みを計測

同社は、短パルスレーザーで光ファイバに直接FBG(光ファイバの中に刻んだ格子で、歪みや温度の変化を検知するセンサーに使う)を描く加工を提供しています。電磁ノイズの影響を受けにくい点が特長です。実施例として、小型クレーンの梁で歪みから吊り荷の重さを推定する例や、水配管で圧力上昇による歪みを計測する例を挙げています。ロボットハンドの指先で掴んだ位置と物体の重量を推定する例や、ボルト内部の軸力(ボルトの軸方向にかかる力)の変化から配管内の圧力上昇を推定する例もあります。

回転体向けジョイントを開発中

シングルモード光ファイバ用のロータリージョイント(回転する部分と固定された部分の間で光をつなぐ部品)を、同社は開発しています。30,000rpm(1分間に3万回転)に対応する仕様で、2025年5月に開発中であることを公表しました。FBGセンサーと組み合わせる想定です。実現すれば、高速で回転する部品の歪みや温度を、電磁ノイズの影響なく計測できるとしています。

特殊環境への応用に期待

FBGによる計測は、放射線環境下の高温配管や核融合関連といった特殊な環境への応用も期待される分野です。ナノ光ファイバ(極めて細い光ファイバ)をセンシングに応用する研究は大学や研究機関で進行中です。同社は溶融延伸(熱して引き伸ばす加工)により、ほとんど損失なくナノ光ファイバに加工できるとしています。FBGは電磁ノイズや環境変化に強く、高温や放射線の特殊環境にも使えるとしています。

会社概要|deltafiber.jpの事業内容・設立背景

2017年に設立

株式会社deltafiber.jpは、2017年9月13日に設立され、登記上の本社所在地は長野県上田市です。代表は石原信之氏です。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースでは、関連大学として電気通信大学が掲載されています。

事業としては、光ファイバ関連製品の開発、製造、販売、受託研究に取り組んでいます。資本金は1,000万円です。公式サイトの会社概要に掲載された所在地は、長野県東御市です。

採択・連携

同社は、2020年3月に電気通信大学発ベンチャーの認定を受けています。製品の一部は、電気通信大学フォトニックイノベーション研究センターと石原産業が、JST(科学技術振興機構)の戦略的イノベーション創出推進プログラム「ポリマーナノ光ファイバーによる量子フォトニクス情報通信技術の開発」の助成を受けて開発し、製品化しました。受託研究開発や共同研究開発にも取り組んでいます。

FBGを光ファイバ内に組み込む技術は、日本原子力研究開発機構と株式会社熊谷組からライセンス供与を受けています。FBGは、日本原子力研究開発機構の研究成果を元に開発されました。現在も各種の実験が進行中です。

北米輸出と展示会出展

同社は、2018年9月に北米向けの輸出を始めました。2023年4月にはOPIE'23(光学・フォトニクス分野の展示会)に出展しています。2023年8月と2024年8月には、日本保全学会の企業展示にも出展しました。

会社情報

会社名株式会社deltafiber.jp
所在地長野県上田市長瀬1053番地7(登記情報)/公式サイト掲載は長野県東御市八重原3533-154
設立2017年9月13日
代表石原信之
資本金1,000万円
事業光ファイバ関連製品の開発、製造、販売、受託研究
技術領域光ファイバの熱拡散加工、クラッドエッチング、溶融延伸によるテーパー加工(熱して引き伸ばし先細りにする加工)、FBG描画
連携日本原子力研究開発機構、株式会社熊谷組(FBG組込み技術のライセンス元)
採択JST助成(電気通信大学の研究センターと石原産業が受け、製品の一部を開発)
URLhttps://deltafiber.jp

編集後記|FrontJournal編集部より

光ファイバは、つなぐ、束ねる、測るという場面ごとに、求められる性質が異なります。deltafiber.jpは、市販の光ファイバに熱や削る加工を施して、接続損失の低減や高密度化、センシングへの対応に取り組んでいます。標準品のままでは対応しにくい場面に、加工で応えようとする企業です。

石原産業が電気通信大学の研究センターと開発した製品も扱っている点が特徴です。ロータリージョイントの開発が進めば、高速で回転する部品の計測という用途が広がる可能性があり、今後の展開を見守りたい取り組みです。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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