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株式会社iDECOM(アイデコム)

iDECOM「微生物発酵飼料」を開発

企業紹介|株式会社iDECOMとは?

家畜の腸内にすむ微生物の状態を整えるため、有用な微生物を配合して発酵させた「微生物発酵飼料」。株式会社iDECOMは、その製造と販売を手がける、バイオ系ディープテック企業です。同社は、肉牛・乳牛用と養豚用の「バイタルバイオ」を、畜産農家に向けて製造・販売しています。

キーワード「微生物発酵飼料」

「微生物発酵飼料」は、酵母や枯草菌(納豆菌の仲間)などの有用な微生物を、食物繊維の多い天然原料で発酵させて製造する飼料です。腸内細菌叢(腸内にすむ細菌の集まり)は、有益な菌が多く有害な菌が少ない状態が健康とされています。同社の飼料は、腸内細菌叢を整え、免疫や生産性の向上につなげることが期待されるといわれています。

市場課題|家畜のふん尿処理は負担が大きい

現状の家畜ふん尿処理の課題

ふん尿の処理に大きな負担

北海道の酪農や畜産では、家畜のふん尿の処理に費用がかかり、農家の負担になっているといわれています。処理が不十分な場合の水質への影響も、懸念点です。腸内環境が乱れた家畜では、ふんの水分が適度でなくなり、発酵しにくくなるといわれています。

未熟な堆肥は作物に影響

堆肥化が不十分で未熟なままだと、臭いが残り、作物の生育不良や病気を招くといわれています。冬の北海道は、ふん尿が凍って堆肥化が進みにくい点も課題です。こうした課題に対し、ふん尿の性状を、家畜の体内にいる段階から整える発想があります。

他にも、腸内環境の乱れによる家畜の不調、畜舎周辺に広がるふん尿の悪臭、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 腸内細菌叢腸内にすむ細菌の集まりである。有益な菌が多く、有害な菌が少ない状態が、家畜の健康に良いとされる。ふん尿の性状にも関わるといわれる。

iDECOMの強み|「微生物発酵飼料」を開発

iDECOMが「微生物発酵飼料」を開発

腸内の微生物を選んで配合

家畜の腸内環境が乱れると、不調やふんの水分過多を招くといわれています。飼料の側から、腸内細菌叢を整える工夫が求められています。

同社は、腸内で働く微生物を分離し、複数の種類を、それぞれ単独で純粋培養(1種類だけを取り出して培養すること)します。それらを共存できる比率で配合し、食物繊維の多い天然原料を使って発酵させます。配合する菌は、腸内での働きをもとにした選定です。プロバイオティクス(生きた微生物を摂る考え方)と、バイオジェニクス(微生物が作る成分を摂る考え方)の両方を活用した飼料です。腸内細菌叢が整えば、免疫や生産性の向上が期待されるといわれています。

ふん尿の性状も整える

ふんの水分が多いと、堆肥化が進みにくくなります。

家畜の腸内環境を整えると、水分が適度なふんになり、発酵しやすくなるといわれています。家畜の状態が良くなれば、そのふん尿を使う堆肥の質も高まるという考え方です。同社は、堆肥の製造に関する助言や、農家ごとの注文に応じた微生物資材の提供も、事業としています。飼料と資材の両面から、ふん尿の処理の負担に関わる点が特徴です。堆肥の質が上がれば、臭いや水質への影響が減り、畜産の現場の負担が軽くなる可能性があります。

FrontJournalの解説
  • プロバイオティクス腸内細菌叢のバランスを整える目的で摂取する、生きた微生物である。乳酸菌や酵母が代表例であり、飼料や食品に配合される。

微生物発酵飼料の未来|畜産農家への普及へ

微生物発酵飼料が変える未来

道内の乳牛約1.1万頭で使用

同社の「バイタルバイオ」は、肉牛・乳牛用に加えて養豚用も展開されています。2024年9月時点で、北海道の乳牛約1万1,000頭に使われているとされています。2019年には、試験利用を含めて40軒以上の農家と取引があるとされていました。道内の酪農の現場で、導入が進んでいる状況です。サンプルを試した農家からの注文が増えたともいわれています。

道外展開と新工場

本州への進出は、北海道内のシェアを広げたうえでの計画とされています。新工場は、2024年9月時点で2025年の完成が予定されていました。新工場は、飼料の製造体制を整える取り組みの1つです。生産体制が整えば、より多くの農家へ供給できるようになる可能性があります。

北海道大学と新製品を目指す

北海道大学の大学院地球環境科学研究院、国際食資源学院と、連携して研究を行っているとされています。テーマは、病原菌の防御方法の確立、新たな「バイタルバイオ」の開発、活用が見込める新たな微生物の探索です。こうした研究を重ねながら、家畜の健康を支える飼料の改良を目指します。

会社概要|iDECOMの事業内容・設立背景

建築関係の会社から創業

株式会社iDECOMは、2018年7月に設立された札幌市の企業です。代表取締役の近藤賀慎氏は、建築関係の会社の環境事業部に勤めたのち、株式会社iDECOMを創業したとされています。製品の原料は、自然界から単離し、純粋培養した微生物の配合です。研究室は、札幌市北区の「北大ビジネス・スプリング」にあります。設立当初から、サンプルを提供して顧客を増やす手法をとってきたとされています。

受賞・連携

2021年度には、札幌商工会議所の「北の起業家表彰」で奨励賞を受けました。腸内環境の改善を目的にした飼料の製造と、家畜のふん尿に着目した農地の改良が、評価されたとされています。協力先は、土壌の微生物の検査が北海道大学大学院の地球環境科学研究院、土壌の改良が株式会社明光です。農家からの評判が良く、繰り返し注文する顧客がいることも、紹介されています。

事業と製品

事業は、微生物資材の製造販売、土壌や水質などの簡易分析検査とコンサルティング、付随する資材や設備機器の販売とメンテナンスです。製品は、肉牛・乳牛用と養豚用の微生物発酵混合飼料「バイタルバイオ」で、酵母や枯草菌、乳酸菌が原料です。畜産農家に向けて販売されています。畜種に合わせて、肉牛・乳牛用と養豚用に分かれています。

会社情報

会社名株式会社iDECOM(アイデコム)
所在地本社 北海道札幌市中央区大通西17丁目1-5 ノワム大通ビル6F。研究室 北海道札幌市北区北21条西12丁目2 北大ビジネス・スプリング109
設立2018年7月18日
代表代表取締役 近藤賀慎
事業微生物資材の製造販売。土壌・水質等の簡易分析検査とコンサルティング。飼料「バイタルバイオ」
技術領域微生物の純粋培養と発酵による家畜用の飼料(微生物発酵飼料)
連携北海道大学大学院 地球環境科学研究院、国際食資源学院。株式会社明光
採択受賞:札幌商工会議所 北の起業家表彰 奨励賞(2021年度)
URLhttps://i-decom.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

家畜のふん尿という畜産現場の悩みに、飼料の側から腸内環境を整えて向き合う発想が、同社の特徴です。建築関係の会社の環境事業部の出身者が、微生物を扱う事業に進んだ点も、特徴的な歩みといえます。ふん尿の悩みから微生物の活用へ進んだ点に、現場の課題意識が起点であることがうかがえます。

とくに注目したのは、2019年に試験利用を含む40軒以上の農家との取引、2024年に乳牛約1万1,000頭への使用が、それぞれ紹介されている点です。取引の広がりは、現場での使い勝手を確かめる土台になり得ます。今後の導入先の広がりに、引き続き注目したい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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