2026.10.01 │ 東京大学・科学技術振興機構(JST) │ 元発表:2026.10.01

東京大学、5桁の時間スケールを1回で撮る超高速カメラを開発

ニュース紹介

「「瞬間」から「その後」までを1回で撮る超高速カメラを開発~撮影間隔を自在に変え、5桁にわたる時間スケールをつなぐ~」

東京大学大学院工学系研究科の島田啓太郎特任研究員(研究当時)、中川桂一准教授らの研究チームは、高速な現象の発展に合わせて撮影間隔を変える新しい高速度撮影法「対数的高速度撮影法」を開発しました。現象の始まりでは撮影間隔を細かく、その後は徐々に広げて撮影する光学技術「BRIDGE」により、100フェムト秒のオーダーからピコ秒領域を経て10ナノ秒まで、約5桁にわたる時間スケールの変化を1回の撮影でつないだとしています。

この撮影法を用いて、レーザー照射によって固体表面が瞬間的に除去されるレーザーアブレーションや、水中におけるプラズマと衝撃波の形成過程を11コマで撮影し、初期からの一連の変化として可視化しました。研究チームは、材料・ものづくり、生命科学・医療、エネルギーなどに関わる高速現象を理解し、その挙動を制御するための計測技術として、幅広い活用が期待されるとしています。本研究成果は2026年9月25日(現地時間)付で、科学誌「Optica」に掲載されました。JSTの戦略的創造研究推進事業 ACT-Xの支援を受けています。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年10月1日 プレスリリース(東京大学・科学技術振興機構(JST)/論文:“Logarithmic ultrafast photography with band-resolved individual delay generation”/DOI: 10.1364/OPTICA.610944)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20261001-2/index.html

FrontJournalの解説

超高速撮影とは

超高速撮影は、人の目では追えない速さで進む現象をコマに分けて記録する技術です。1フェムト秒は1000兆分の1秒、1ピコ秒は1兆分の1秒、1ナノ秒は10億分の1秒にあたります。レーザーを固体に当てたときの表面の変化や、水中で生じる衝撃波などは、この時間領域で進みます。

東京大学の研究グループは2014年にも、1兆分の1秒以下の間隔で連写できる「STAMP」を発表しています。ただ、こうした撮影では撮影間隔を細かくするほど記録できる全体の時間が短くなり、現象の「その後」まで一度に追うことは別の課題でした。

①撮影間隔を変えて「瞬間」と「その後」をつなぐ

原文によると、従来の高速度撮影では、撮影間隔を短くすると細かな変化を捉えられる一方、長い時間にわたる変化を記録することが難しくなります。今回の「対数的高速度撮影法」は、撮影間隔を一定にしない点が特徴です。時間軸を対数で見ると、100フェムト秒から10ナノ秒は約5桁(10万倍)の幅になります。この範囲を等間隔で撮ると、始まりの細かな変化か、終わりの長い経過のどちらかを諦めることになります。

②1回の撮影でレーザー照射後の変化を一続きに見る

発表では、レーザーアブレーションと水中のプラズマ・衝撃波の形成過程が11コマで一続きの変化として示されたとされています。これらは同じ条件で繰り返し再現するのが難しい現象で、複数回の撮影を組み合わせる方法では、毎回の揺らぎが重なります。1回の撮影で初期から後の変化までをつなぐことは、再現の難しい現象の解明に向けた手がかりになるというのが研究チームの見方です。

編集部からひとこと

今回の成果は、撮影間隔の設計を変えることで、1回の撮影が扱える時間の幅を広げた計測技術の報告です。発表されたのはレーザーアブレーションなどの観察例であり、材料・生命科学・エネルギー分野への応用は今後の期待として示されています。撮影装置の構成や評価条件は、Optica掲載論文とJSTのプレスリリース資料(PDF)をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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