2026.11.05 │ 産業技術総合研究所(産総研)・デンソーウェーブほか │ 元発表:2026.11.05

産総研ら、全固体電池材料の合成実験を自動化

ニュース紹介

「全固体電池材料の探索を支えるロボット実験システムを開発-一度の指令で最大10試料を連続処理できるメカノケミカル合成実験の自動システム-」

産業技術総合研究所(産総研)マルチマテリアル研究部門 カーボンニュートラル材料研究グループの山口祐貴上級主任研究員らは、株式会社デンソーウェーブ、愛知工業大学、あいち産業科学技術総合センターと共同で、全固体電池材料の探索に用いるメカノケミカル合成実験について、粉体やビーズの秤量、容器の蓋の開閉、遊星ボールミル処理、試料の保管までを一貫して自動化する人協働型実験システムを開発しました。

本システムは、遊星ボールミル1回の処理で2試料を取り扱い、これを5回連続して実行可能なので、一度の指令で最大10試料を自動処理できます。それぞれの実験では、試薬量、ビーズの大きさと量、遊星ボールミルの回転数、処理時間、処理のステップ数などを変更できます。

出典:産業技術総合研究所 2026年11月5日 プレスリリース
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20261105/pr20261105.html

FrontJournalの解説

全固体電池と材料探索の手間

今回の研究は、全固体電池の材料を探す実験を、ロボットで自動化したものです。産総研の発表によると、全固体電池は、電解質に固体材料を用いる次世代の蓄電池で、高い安全性や高エネルギー密度が期待されています。

性能を左右する固体電解質や電極材料の探索では、材料の組成だけでなく合成条件も変えながら、多くの実験を繰り返す必要があります。特に、外気の影響を避けるグローブボックス内での粉体の取り扱いは煩雑で、研究者の手作業にかかる時間と負担が課題でした。

①小型ロボットと専用モジュールで、箱の中を自動化

研究チームは、限られた空間での粉体実験を行う小型の人協働ロボットと、蓋の開閉や重量物の取り扱いなどを補助するオリジナルのモジュールを組み合わせました。これにより、水分や酸素の影響を受けやすい全固体電池材料を、グローブボックス内で、秤量からボールミルによる処理、試料の保管まで、連続して自動実行できるようになります。

②最大10試料を、条件を変えて系統的に処理

本システムは、一度の指令で最大10試料を自動処理でき、試薬量やビーズ、回転数、処理時間などの条件を変えられます。材料の組成だけでなく、メカノケミカル合成(粉砕や混合の機械的エネルギーで化学反応を進める手法)の条件も含めて、多様な組み合わせを系統的に調べられます。

今後は、合成した試料の導電率や構造を評価し、得られたデータをAI解析と連結します。AIの解析結果を反映した次の実験計画を自動で提案する機能を開発し、実験・評価・解析・条件提案を自律的に繰り返す材料開発プラットフォームへの展開を目指しています。

FrontJournalからのひとこと

研究者の手作業の負担が大きかったグローブボックス内の粉体実験を、小型ロボットで連続化した点が今回の特徴です。AI解析と連結した自律的な材料開発へ、どこまで進むのか、注目しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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