AIハヤブサ「AI外観検査」を開発

株式会社AIハヤブサ(エーアイハヤブサ)

AIハヤブサ「AI外観検査」を開発

企業紹介|AIハヤブサとは?

熟練者の目で行ってきた検査を、画像から自動で行う技術として注目される「AI外観検査」。株式会社AIハヤブサは、その社会実装を目指す、公立はこだて未来大学発のAI系ディープテック企業です。傷や異物を見つける検査システムを提供し、曲面や鏡面を撮影する検査ロボットの開発を進めています。

キーワード「AI外観検査」

「AI外観検査」は、カメラで撮った製品の画像をAIが調べ、傷や汚れなどの不良を見つける方式です。特徴は、人の目で行う検査に比べて、判断の基準をそろえやすい点にあります。食品の異物や金属部品の傷を、検査員の経験を学習したAIで見分けられます。

市場課題|外観検査が人の目と経験に左右される

現状の外観検査の課題

熟練者の目で決まる検査

外観検査は、製品の傷や汚れ、異物を目で見つけて判定する工程で、検査員の経験が欠かせない場面が多くあります。判断の基準が人によって違うと、検査の結果にばらつきが出て、同じ製品でも合否が分かれる場合があります。このままでは、熟練者が減るほど検査の品質を保ちにくくなりかねません。

曲面と鏡面は撮影が難しい

光を反射する曲面や鏡面の部品は、照明の当たり方で傷が見えにくくなったり、映り込みが誤った判定につながったりして、画像での検査が難しい面があります。塗装やメッキの色むらのように人の感覚で判断する検査は、数値の基準にもしにくい課題です。この状況が続くと、自動化できない検査が人の作業として残りやすくなります。

他にも、検査の基準を数値で決める難しさ、カメラや照明の選定の手間、不良品のサンプルの集めにくさ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 外観検査製品の表面にある傷、汚れ、異物、色むらなどの不良を見つける検査である。目で見て行う目視検査と、カメラの画像をAIなどで調べる自動検査がある。

AIハヤブサの強み|「AI外観検査」を開発

AIハヤブサが「AI外観検査」を開発

検査員の判断をAIが学習

従来の外観検査は、基準が検査員の経験に左右され、判断がそろいにくい面があります。

同社は、深層学習(人の脳を模した計算で、画像の特徴を学ぶAI技術)を中心にした機械学習で、不良を見つける検査システム「AIハヤブサ」を開発しています。検査対象ごとに専用のAIを開発し、熟練した検査員が判定した良品と不良品の画像をAIに学習させます。学習済みのAIが、新しい画像に写る製品の良否を自動で判定する方式です。木片、石、金属、髪の毛、糸、ビニールといった異物の検出も対象としています。熟練した検査員の基準で良品と不良品の判定をそろえるほど、検査員ごとの判断差を抑えられるようになります。

曲面と鏡面を撮る検査ロボット

曲面や鏡面の部品は、光の反射で傷が見えにくく、画像での検査が難しい面があります。

同社は、多関節ロボットが検査対象の部品(ワーク)の曲面に合わせてカメラヘッドを動かし、曲面や鏡面向けの光学系で細かな不良を撮影するAI外観検査ロボットを開発しています。AIが画像から不良を抽出して解析し、複数の角度から検査する仕組みです。多関節ロボットを使う方式は開発中です。既存の製造ラインへの後付けを想定し、携帯電話の小さな部品から車のドアまでの形状を対象とします。塗装やメッキの色むらのように、感覚で行ってきた検査も、実用化すれば、ラインの中で自動化できるようになります。

FrontJournalの解説
  • 深層学習人の脳の神経回路を模した計算で、大量のデータから特徴を自分で学ぶ機械学習の方法である。画像の中の傷や異物のような、見分けにくい違いを判別するのに使われる。

AI外観検査の未来|一次産業への広がりと連携

画像解析が変える未来

一次産業へ画像解析を広げる

同社は、工場の検査だけでなく、一次産業向けのAI画像解析も開発しています。農業ではトマトの熟度や病害虫の診断、水産ではウニの数やサケの雌雄の判別、林業ではシイタケの等級判定、畜産では鶏の活動の解析などの開発事例を公開しています。いずれも、これまで人の目で行ってきた選別や観察を、カメラの画像から行う用途です。人手で行う作業を、自動で行える範囲が広がります。

鶏の健康をAIで見守る

養鶏向けの支援AIは、鶏の画像を1羽ずつ解析し、健康状態や成長、体重、産卵数を、継続して把握する取り組みです。同社はリリースを目標に開発を進めています。実用化すれば、養鶏場での見回りや記録の負担を減らせます。

下水道管路の点検でも連携

専門誌「配管技術」の2026年3月増刊号には、他の3社と共同で、IoT機器とAI画像解析を使った下水道管路管理のDX(デジタル技術による業務の見直し)について寄稿しています。老朽化と人手不足を背景に、管路の撮影と判定を省人化できるかを検証した実証実験の紹介です。AI画像解析を、工場の外にある設備点検に使う例です。連携は海外にもあり、同社は2024年5月に台湾の研究機関である金属工業研究発展中心と、AI開発に関する覚書を結びました。

会社概要|AIハヤブサの事業内容・設立背景

2017年に設立

株式会社AIハヤブサは、2017年3月に設立されました。本社は、北海道函館市の函館工房内です。同社は、AI研究者の松原仁氏と共同で設立した、公立はこだて未来大学発のベンチャー企業です。2025年11月には、養鶏支援のAI画像解析システムが日本テレビの情報番組で紹介されました。

代表取締役は村松洋明氏で、ミラック光学の代表取締役も務めています。取締役の松原氏は、京都橘大学の教授です。事業は、AIを活用したソフトウェアと装置の開発・販売です。

選定と連携の体制

同社は、経済産業省の「地域未来牽引企業」に選定されています。この制度は、地域経済への波及効果が期待される企業を、国が選ぶものです。公立はこだて未来大学とMIRUC(ミラック光学)をスペシャルパートナーに掲げ、光学系やカメラ、照明の選定から装置の開発までを、パートナー企業と進めています。AIの開発だけでなく、検査に必要な装置まで一体で提案する体制です。

簡易検証サービス

同社の簡易検証サービスは、良品と不良品のサンプルデータやワークを預かり、AIを導入できるかを判断する初期検証です。守秘義務契約にも対応可能です。補助金の活用では、助言や専門家・支援機関の紹介による支援もあります。導入を検討する事業者は、本格的な導入の前に、自社の製品で検査が成り立つかを確認できます。

会社情報

会社名株式会社AIハヤブサ
所在地北海道函館市桔梗町379番地13 函館工房内
設立2017年3月
代表代表取締役 村松洋明
資本金1,000万円
事業AIを活用したソフトウェアと装置の開発・販売
技術領域AI画像解析、AI外観検査、検査ロボット
連携公立はこだて未来大学、MIRUC(ミラック光学)、台湾の金属工業研究発展中心(2024年に覚書)
URLhttps://aihayabusa.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

外観検査は、製造業で欠かせない工程です。一方で、検査員の経験に左右される面が残ってきました。AIハヤブサは、熟練者の判断をAIに学習させ、曲面や鏡面のような難しい対象にも画像で挑む姿勢が特徴です。工場から農業、水産、養鶏まで対象を広げている点に、画像解析の可能性が表れています。

熟練者が減る現場で、検査の基準をそろえる役割を担う技術です。今後の展開を見守りたい企業です。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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