PaMeLa|脳波データをAIで解析し痛みを客観的に数値化する大阪大学発ディープテック

PaMeLa株式会社(パメラ)

PaMeLa「痛みの脳波測定」を研究|研究領域=脳波による痛み測定/強み=装着のまま連続測定/将来性=医療機器としての承認

企業紹介|PaMeLaとは?

患者に聞かずに、痛みの強さを数値化する技術「痛みの脳波測定」。PaMeLaは、その社会実装を目指す大阪大学発の企業です。額に装着するウェアラブル脳波計で得たデータをAIで解析し、独自の指標で痛みの強さをリアルタイムに表示します。

キーワード「痛みの脳波測定」

「痛みの脳波測定」とは、脳から出る微弱な電気信号である脳波を手がかりに、痛みの強さを客観的な数値に変換する技術です。従来の疼痛評価(痛みの程度を判断すること)は患者の自己申告が基本で、症状を伝えにくい患者では見逃しの恐れがありました。PaMeLaは、誰もが同じ基準で比較できる指標の確立を目指しています。

市場課題|痛みの評価は自己申告で行ってきた

現状の疼痛評価の課題|自己申告のため客観指標がない/痛みの申告で評価する医療現場/客観的な指標がなく投薬に差

痛みの申告で評価する医療現場

医療の現場で使われてきた痛みの評価は、患者自身の申告が基本でした。医師や看護師は、表情や「10段階でどのくらい痛いか」といった問診をもとに、投薬の量やタイミングを判断します。しかし本人が症状をうまく伝えられない場合、必要な処置が遅れる恐れがあります。

客観的な指標がなく投薬に差

自己申告による評価は、痛みの感じ方や表現の個人差に左右されやすいという弱点があります。特に高齢者や小児、意識の低下した患者では、正確な申告が難しくなります。痛みを見誤れば、必要な鎮痛薬が届かなかったり、逆に過剰投与につながったりする恐れがあるでしょう。

他にも、鎮痛薬の効果を把握しにくいこと、痛みを我慢して申告を控える患者がいるため本来対応が必要な患者を見逃しやすいこと、慢性的な痛みの管理が難しいこと、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 疼痛評価患者が感じる痛みの強さや種類を、医療現場で把握するための評価。現在は問診や表情の観察など、主観的な方法が中心となっている。

PaMeLaの強み|「痛みの脳波測定」を研究

PaMeLaが「痛みの脳波測定」を研究|脳波AI解析で数値化が可能に/脳波を使い本人に聞かず測定/装着のまま連続的に測定

脳波を使い本人に聞かず測定

痛みの評価に使われてきた申告方式は、患者の表現力や意識の状態に左右され、数値として扱いにくいという課題があります。

PaMeLaが開発するのは、額に装着するウェアラブル脳波計で脳波を測定し、痛みに関連する成分をAIで解析する技術です。取得した脳波データはクラウド上で処理され、痛みの強さを0から100までの独自指標「Pain Score」としてリアルタイムに表示します。2021年に実施した探索的な臨床試験では、鎮痛薬の投与前後でPain Scoreが有意に低下することを確認しました。意識が低下した患者や小児など、自分で症状を伝えにくい人でも、痛みの変化を客観的に把握できるようになると期待されています。

装着のまま連続的に測定

従来の脳波計測は、多数の電極や専用の設備を要し、限られた時間や場所でしか測定できないことが一般的でした。

PaMeLaのシステムは、額に装着する8個の電極を備えたウェアラブル脳波計でデータを取得し、クラウド上でAI解析します。専用の設備を持ち込まなくても、装着したまま日常的な姿勢で測定を続けられる点が特徴です。手術後の病室や外来といった様々な場面でも扱いやすく、患者への問診を挟まずに痛みの変化を追跡できるようになります。従来のように測定のたびに患者を専用の場所へ移す必要がなく、日常のケアを止めずに済む点も、医療現場の負担を減らすと考えられます。

FrontJournalの解説
  • Pain ScorePaMeLaが独自に定義する、痛みの強さを表す0から100までの数値指標。脳波データをAIで解析して算出される。

未来|痛みを共有できる技術へ広がる

痛みを共有できる技術が変える未来|ドコモと痛み共有技術を発表/リハビリやエンタメへ応用検討/医療機器の承認取得を目指す

ドコモと痛み共有技術を発表

PaMeLaは2025年10月、NTTドコモ(通信大手)と共同で、痛みの感じ方を他者と共有する技術を発表しました。同社が脳波から痛みを測定する技術と、ドコモの「人間拡張基盤」(個人の感覚の違いを推定し伝える基盤)を組み合わせた仕組みです。ある人が感じた痛みの強さを、受け手の感じ方に合わせて調整して伝えられる点が特徴で、両社は「世界初」の取り組みとしています。この技術は、2025年10月開催のCEATEC 2025(国内最大級のIT・エレクトロニクス展示会)で展示されました。

リハビリやエンタメへ応用検討

この痛み共有の技術は、医療分野を超えた応用が見込まれます。想定される用途は、リハビリテーションでの症状共有や、没入感のある体験を提供するエンターテインメント(XRやゲームなど)です。カスタマーハラスメントや誹謗中傷といった、目に見えにくい心理的な苦痛の可視化にも、応用が検討されています。医療現場での診断支援としての活用も、今後の検討課題です。

医療機器の承認取得を目指す

PaMeLaは、脳波による痛みの測定技術を医療機器として提供することを目指しています。実現すれば、患者への問診に頼らずに痛みの状態を把握できる手段となります。痛みを誰もが同じ基準で比較できるようになれば、投薬の判断や治療方針の検討に役立つでしょう。同社は今後も、大阪大学との研究基盤を生かしながら技術の実用化を進めるとしています。

会社情報

会社名PaMeLa株式会社(パメラ)
所在地大阪府大阪市北区角田町8-47 阪急グランドビル26階
設立2016年2月
代表後藤 宏明(代表取締役)
技術領域痛みの脳波測定、AI解析、疼痛評価、医療機器、ヘルステック
連携NTTドコモ(2025年10月、「人間拡張基盤」との連携技術を発表。CEATEC 2025で展示)
URLhttps://pain-ml.com/

会社概要|PaMeLa株式会社

大阪大学の研究から起業

PaMeLaは、2016年2月に設立された大阪大学発の企業です。代表取締役は後藤宏明氏、取締役CSOは中江文氏が務めています。中江氏は大阪大学大学院生命機能研究科の特任教授で、麻酔科医として痛みのメカニズムを研究してきました。脳波と機械学習を組み合わせて痛みを客観的に測定するアルゴリズムの研究成果をもとに、事業化が進められました。

臨床試験を重ね投資家の支援も

同社は、脳波データをもとに痛みを数値化する技術について、探索的な臨床試験を重ねてきました。2021年末には少人数の患者を対象とした探索的臨床試験が終了し、鎮痛薬の投与前後でPain Scoreが有意に低下することを確認しています。こうした技術の社会的な意義が評価され、複数の投資家から資金を調達してきました。

NTTドコモなど企業との連携

PaMeLaは、研究機関だけでなく企業とも連携を広げています。2025年10月には、NTTドコモとの協業で、脳波から測定した痛みを他者に伝える技術を発表しました。この技術は、NTTドコモの「人間拡張基盤」を使った展示の一部として、「CEATEC AWARD 2025」でのNTTドコモの経済産業大臣賞受賞に寄与したとされています。今後も、医療機関や企業との連携を通じて、痛みの客観的な測定技術の実用化を目指すとしています。

編集後記|FrontJournal編集部より

痛みは、本人にしか分からないものだと考えられてきました。しかし言葉にしにくい痛みを抱える患者は少なくなく、そのしわ寄せは医療現場の判断の難しさとなって表れます。脳波という、本人の意思が入り込みにくい情報に着目した発想が興味深く映ります。

PaMeLaが目指すのは、痛みという主観的な感覚を、誰もが同じものさしで語れる指標に変えることです。NTTドコモとの協業では、痛みの数値化にとどまらず、その感覚を他者に伝える取り組みにまで踏み出しました。医療にとどまらず、人と人が理解し合う手段としての広がりを感じさせます。

脳から取り出した小さな信号が、医療の当たり前を変えていくのか。今後の実用化に注目したい取り組みです。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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