株式会社プラズマアプリケーションズ|マイクロ波の反射電力を監視して調整する自動整合器を開発する静岡大学発のディープテック

株式会社プラズマアプリケーションズ

プラズマアプリケーションズ「自動整合器」を開発|マイクロ波の電力を自動で調整/反射電力を見てスラグを動かす/大学や民間企業へ納入

企業紹介|プラズマアプリケーションズとは?

マイクロ波の電力を、装置へ無駄なく届けるために欠かせない部品「自動整合器」。その調整を機械に任せる製品を、静岡大学発のプラズマアプリケーションズが開発しています。跳ね返る電力を監視し、調整用の部品を自動で動かす仕組みで、産業技術総合研究所や複数の大学、民間企業に納入しています。

キーワード「自動整合器」

自動整合器は、マイクロ波の発生源と加熱・プラズマ装置の間に付け、跳ね返ってくる電力を減らす調整を自動で行う部品です。オートチューナーとも呼ばれ、人が手で合わせていた作業を機械に置き換えます。マイクロ波の装置は、状態が変わるたびに調整が必要になるため、この自動化が役立ちます。

市場課題|マイクロ波は装置の状態で電力が跳ね返る

現状のマイクロ波装置の課題|現状は、状態が変わるたび調整が必要/負荷が変わると電力が跳ね返る/調整のやり直しに手間がかかる

負荷が変わると電力が跳ね返る

装置側の状態(負荷)が変わると、発生源から送った電力の一部が戻り、電力の効率が下がるといわれています。加熱やプラズマの装置は、マグネトロン(マイクロ波を発生させる真空管)などの発生源から送られたマイクロ波の電力を受け取って動作します。この戻ってくる電力が、反射電力です。

調整のやり直しに手間がかかる

手動で調整する場合は、装置の状態が変わるたびに調整部品を動かし直すため、手間と時間がかかるといわれています。特にプラズマは電力の受け取りやすさが一定でなく、調整した状態からずれやすい性質があります。そのため、運転中も人が装置のそばで調整を続ける状態です。

他にも、反射電力を見ながらの調整作業、状態が変わるたびの再調整、運転中の立ち会いといった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 反射電力マイクロ波の発生源から送った電力のうち、装置に受け取られず発生源側へ戻ってくる電力を指す。大きいほど電力の効率が下がる。

プラズマアプリケーションズの強み|「自動整合器」を開発

プラズマアプリケーションズが「自動整合器」を開発|今後は、調整を機械に任せることが可能に/反射電力を見て自動で調整する/調整位置を記憶して省人化する

反射電力を見て自動で調整する

手動の整合器では、反射電力の増減を見ながら、人が調整部品を動かす必要があります。

同社の自動整合器「ADS」シリーズは、反射電力を監視し、ステッピングモータ(回転角を細かく制御できるモータ)でスラグ(位置を動かして電力の跳ね返りを調整する部品)を動かす方式です。装置側の状態が変わっても、あらかじめ設定した反射電力の値に近づけるようにスラグが自動で動くため、運転中に人が調整部品を動かし続ける必要が減ります。標準品には915MHz帯と2450MHz帯(使うマイクロ波の周波数の区分)の型番があり、最大200Wの運転に対応する仕様です。

調整位置を記憶して省人化する

手動型の整合器では、二つのスラグを左右に動かし、反射電力が最小になる位置を人が探します。

同社は、スラグをステッピングモータで駆動し、内蔵プログラムで設定した反射電力の値になるよう、調整を自動で行えるようにしました。スラグを動かした位置は、メモリ10個に記憶でき、次回はその位置から調整を始められるため、調整にかかる時間を短縮できます。シーケンサ(機器を決めた順に動かす制御装置)と連携させれば、調整を運転の流れに組み込めるため、人が装置のそばで調整を続ける必要が減り、省力省人化が可能になります。

FrontJournalの解説
  • スラグ整合器の内部で位置を動かし、電力の跳ね返りを調整する部品。同社の自動整合器では、ステッピングモータが動かす。

未来・導入事例|大学・研究機関から民間企業へ

マイクロ波の自動整合器が変える未来|大学や民間企業で使われる/大学や民間企業へ納入/固体発振器も扱う/研究開発の支援も手がける

大学や民間企業へ納入

納入先には、産業技術総合研究所のほか、東北大学、東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学などの大学・高専があります。民間企業は25社以上です。自動整合器は、915MHz帯と2450MHz帯に加えて、5.8GHz帯の版もあります。ハイパワー版には、2450MHz帯で最大1,000Wの型番もあります。

固体発振器も扱う

同社は、出力可変の固体マイクロ波発振器も扱っています。2.4〜2.5GHzで0〜50Wを出力できる製品で、本体の液晶には入射電力(装置へ送り込む電力)と反射電力が表示される仕様です。パワー電子デバイスの性能向上と低価格化が進み、固体発振器は入手しやすい価格になってきたとされています。

研究開発の支援も手がける

同社は、マイクロ波用の装置の製造販売に加え、研究開発支援のコンサルティングも事業に掲げる企業です。整合器と発振器の両方を、同じ会社の製品として選べます。手動型のDSTには400MHz帯や5.8GHz帯の型番もあり、一覧にない周波数も相談できます。

会社概要|株式会社プラズマアプリケーションズ

静岡大学発として設立

プラズマアプリケーションズは、2009年6月18日に静岡大学発のベンチャー企業として設立されました。本社は浜松市中央区富塚町にあり、資本金は100万円です。2025年8月7日付で前代表が辞任し、後任にクラール・マーティン氏が就任しました。事業の中心は、マイクロ波に関わる装置の開発と製造です。

マイクロ波装置の製造販売

事業は、マイクロ波用の各種装置と、マイクロ波放電を利用したプラズマ応用製品の開発・製造・販売です。研究開発を支援するコンサルティングも手がけています。主な製品は、自動整合器のADS、手動のダブルスラグ整合器DST、固体マイクロ波発振器です。ADSは、標準品として915MHz帯と2450MHz帯の最大200Wの型番を中心に仕様が公開されています。DSTは小型軽量の構造で、2.4〜2.5GHz帯と800〜915MHz帯に対応し、最大200Wまで扱えます。

公的事業への参画

同社の沿革には、公的な委託や補助金の事業が並びます。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「新エネルギーベンチャー技術革新事業」では、2012年度に熱電子発電器の技術開発が挙げられています。2021年度には、浜松市の補助金で紫外線殺菌装置の製作に取り組みました。

会社情報

会社名株式会社プラズマアプリケーションズ
所在地静岡県浜松市中央区富塚町
設立2009年6月18日
代表クラール・マーティン(代表取締役)
資本金100万円
事業マイクロ波用各種装置、マイクロ波放電プラズマ応用製品の開発・製造・販売。研究開発支援コンサルティング。自動整合器ADS(反射電力を監視し、スラグを自動で動かして調整)。手動ダブルスラグ整合器DST。固体マイクロ波発振器(2.4〜2.5GHz・0〜50W)。納入先は産業技術総合研究所、東北大学、東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学などの大学・高専、民間企業25社以上(社名非公開)
技術領域マイクロ波、整合器、固体マイクロ波発振器、マイクロ波放電プラズマ
採択NEDO「新エネルギーベンチャー技術革新事業」(2012年度)。浜松市の補助金(2021年度)
URLhttps://plasma-appl.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

整合器の調整しだいで、マイクロ波の装置が受け取れる電力が変わります。整合器は目立つ部品ではありません。しかし調整を人の手でなく機械に任せる発想は、現場の負担を直接軽くする点で興味深く映ります。

同社は、整合器、発振器、研究開発支援のコンサルティングを組み合わせ、マイクロ波を使う研究や開発に向けた事業を展開しています。納入先に大学や研究機関が並ぶ点からも、研究現場で使われている様子が読み取れます。整合器は、その研究現場の装置を支える部品のひとつです。

マイクロ波を使った加熱やプラズマの研究が広がるほど、調整の作業も増えると考えられます。その作業を機械に任せる部品の役割は、広がる可能性があります。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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