ズームスケープ「動画像変位計測」を開発

株式会社ズームスケープ

ズームスケープ「動画像変位計測」を開発|研究領域=カメラの動画で・橋の動きを測る/強み=離れた位置から・撮影だけで計測/将来性=橋や斜面の変位・監視へ製品を展開

企業紹介|株式会社ズームスケープとは?

橋の桁のたわみを、離れた場所から撮影だけで測る技術である「動画像変位計測」。株式会社ズームスケープは、その技術を製品として提供する、京都大学発の画像計測系ディープテック企業です。動画像変位計測システム「Zoom300」を、橋の点検や調査の現場へ提供しています。

キーワード「動画像変位計測」

「動画像変位計測」は、カメラで撮影した動画を解析し、対象の位置の変化(変位)を測る方法です。特徴は、計測機器や目印を対象に取り付けず、離れた位置から撮影して測れる点にあります。精度は、計測対象のコントラストや撮影距離、気象条件などで変わるのが注意点です。橋の点検の現場で、桁(路面を支える水平の部材)のたわみや、支承(桁を橋脚の上で支える部品)の動きを、近づかずに調べられます。

市場課題|橋の変位計測に残る、設置の手間

現状の橋の変位計測の課題|現状は、高所と目印の設置で計測に手間がかかる|高所の支承や桁は・近づきにくい/非接触でも事前に・目印の設置が必要

高所の支承や桁は近づきにくい

橋の桁と支承は、高い位置にあって近づきにくい部位です。計測機器を取り付ける従来の方法では、高所での作業の準備が必要です。準備に手間がかかるほど、計測の機会を増やしにくくなります。

非接触でも事前の目印設置が要る

離れた位置から測る非接触(対象に触れない)の計測でも、事前にターゲット(計測点の目印)を対象へ設置する手法があります。目印を付けるには対象へ近づく必要があり、橋の高所ではその作業が負担です。目印を付けていない箇所は、後から計測点を増やしにくくなります。

他にも、高所作業の安全確保、計測の準備にかかる時間、計測点を追加する手間、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 支承橋の桁を橋脚の上で支える部品である。桁の荷重を橋脚へ伝えるとともに、温度による桁の伸び縮みや、たわみによる桁端部の回転を受け止める。

ズームスケープの強み|Zoom300を提供

ズームスケープが「動画像変位計測」を開発|現在は、離れた位置の撮影で変位計測を提供|離れた位置から・動画で橋を撮影/目印なしで・計測点を後から追加

離れた位置から撮影だけで測る

従来の変位計測は、計測機器を橋へ取り付けて測るため、高所では取り付け作業の準備が課題でした。

Zoom300とは、望遠レンズ付きのカメラで橋を動画撮影し、解析ソフトで鉛直(上下)と水平の変位を求める計測システムです。計測機器を橋に取り付けない非接触の方式で、撮影は対象から50m以内が好ましいとされています。大型車両の通行が多い道路であれば、撮影は5分程度、三脚など機材の設置は1か所あたり1時間程度というのが、国土交通省の点検支援技術性能カタログ(点検に使える技術をまとめた資料)の記載です。近づきにくい支承や桁でも、取り付け作業が要らなくなり、動きを調べられます。

目印なしで計測点を後から追加

非接触の計測手法でも、事前に計測点の目印を設置するものが多く、計測点を後から増やしにくい点が課題でした。

Zoom300は、目印を設置せず、コントラスト(明暗の差)と模様の縁(エッジ)のある領域を計測点にできる点が特徴です。撮影距離20m程度の良好な条件下では、桁のたわみの誤差は0.1mm以内と、接触式変位計との比較でカタログに記載があります。精度は、コントラストなどの条件で変わります。公式サイトによると、計測点は撮影後に追加でき、同じ動画での再解析も可能です。そのため、見たい箇所が増えても、現場で取り付け直さずに調べられるようになります。

FrontJournalの解説
  • エッジ画像の中で、明るさが急に変わる境目の部分である。物体の輪郭や模様の縁にあたる。画像計測では、この部分を手がかりに計測点の動きを追跡する。

動画像変位計測の未来|橋から広がる応用

画像で測る変位計測が変える未来|橋の点検から広がる画像計測の応用|橋のたわみや・支承の計測に活用/斜面や地表面の・監視へ製品を展開/研究成果の・社会への活用を目指す

橋のたわみや支承の計測に活用

Zoom300は、橋の桁のたわみや、支承の動きの計測に使われる計測システムです。公式サイトは用途の例に、たわみ計測や健全性診断(構造物の状態を調べて評価すること)、看板の挙動解析を挙げています。株式会社レックス(Zoom300のレンタルを担う企業)の発表では、JR(旅客鉄道会社グループ)の在来線と新幹線の橋梁のたわみ計測や、阪神高速道路と国道での計測が実績に挙げられています。京都府南山城村の橋梁点検も、同じ発表の実績です。同じ発表には、大型遊具や工場プラントの振動計測も用途として挙げられています。

斜面や地表面の監視へ製品を展開

ズームスケープには、橋以外の変位監視向けの製品もあります。斜面の変位を監視する「地すべり50」と、画像の変位をリアルタイムで監視する「Zoom RT-01」が、公式サイトに掲載されています。地表面の沈下を画像で監視する移動式の「Zoom Mobile」も、同じ製品群です。

研究成果の社会への活用を目指す

ズームスケープは、画像計測の技術を、社会の現場で役立てることを目指す企業です。事業は、画像計測システムの販売と、写真計測に関する研究受託・共同研究・コンサルティングです。製品には、Zoom300のほか、斜面監視用の「地すべり50」があります。

会社概要|ズームスケープの事業内容・設立背景

京都大学発の画像計測を事業化

ズームスケープは、2008年4月に設立されました。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースには、京都大学発の企業として掲載されています。代表取締役は小野徹です。資本金は、2011年1月の増資で600万円から1,800万円になりました。事業は、画像計測に関する技術開発、画像計測システムの販売、写真計測に関する研究受託・共同研究・コンサルティングなどです。

公的カタログ掲載とレンタル連携

国土交通省の点検支援技術性能カタログには、Zoom300が技術番号BR030004として掲載されています。Zoom300は、NETIS(国土交通省の新技術情報提供システム)にも登録番号KK-240033-Aで登録されています。レンタルは株式会社レックスが担い、カタログによると、現有台数は11台、拠点は兵庫県西宮市です。公式サイトには、主な取引先として、JR西日本、関西電力、国土交通省、京都大学などが記載されています。

購入とレンタルで提供

Zoom300は、ズームスケープからの購入と、レックスからのレンタルのどちらかで利用できます。カタログに記載されたレンタル費用の例は、基本整備費(機材の整備にかかる費用)37万円と、使用期間5日の場合のシステム損料(システムの使用にかかる費用)1日1万6,000円です。ズームスケープが計測作業を請け負う場合は、2名分の人件費と旅費が加わる見積りになります。

会社情報

会社名株式会社ズームスケープ
所在地滋賀県大津市長等2丁目1-10 朝日プラザ浜大津212号(本社事業所)。登記上の本店は滋賀県守山市播磨田町3016-3
設立2008年4月
代表代表取締役 小野 徹
資本金1,800万円
事業画像計測に関する技術開発。画像計測システムの販売。写真計測に関する研究受託・共同研究・コンサルティング
技術領域動画像変位計測。橋梁のたわみ・支承の変位計測
連携株式会社レックス(Zoom300のレンタル)
採択国土交通省 点検支援技術性能カタログ掲載(技術番号BR030004)。NETIS登録(KK-240033-A)
URLhttps://www.zoomscape.net/

編集後記|FrontJournal編集部より

橋の点検では、桁や支承のわずかな動きを、安全に、短い時間で確かめることが課題になります。国の点検の制度でも、点検に使える技術がカタログとしてまとめられています。Zoom300は、離れた位置からの動画撮影で、その確認に取り組む計測システムです。

ズームスケープの特徴は、計測点に目印を付けず、撮影後に計測点を追加できる点にあります。Zoom300は、国土交通省の点検支援技術性能カタログに掲載されています。公開されている精度や費用の情報が具体的な点も、現場が導入を検討する際の手がかりです。

インフラの計測では、深度カメラとドローンの写真測量で路面や構造物を測る新潟大学発のインフラ・ディープサーベイなど、画像を使う企業があります。京都大学発の画像計測が、橋の点検の現場でどう使われていくのか、今後も注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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