2026.08.27 大阪大学 元発表:2026.08.25

大阪大学、量子技術に使う発光欠陥を高速で予測する手法を確立

ニュース紹介

次世代量子技術につながる新理論 無数の候補から有望な「光る欠陥」を高速探索」

大阪大学大学院工学研究科の岩本蒼典氏(博士後期課程)、原征大助教、渡部平司教授、小林拓真准教授らの研究グループは、材料を選ばない、高輝度な色中心の高速・高精度予測手法を確立しました。

量子センサーや量子暗号通信などの次世代量子技術の開発において、色中心は室温で動作し集積もできる有望なシステムです。しかし、数ある材料候補の中から優れた発光特性を持つ色中心を効率的に見つけ出す手法は確立されておらず、実用化への大きなボトルネックとなっていました。特にこれまでの理論予測では、結晶の格子振動(フォノン)による複雑な光損失の評価に膨大な計算時間を要し、多くの材料を網羅的に探索することが実質的に困難でした。

今回、研究グループは、フォノンによる複雑な光損失をシンプルな理論式で記述するとともに、効果的な近似を導入することで、従来の計算時間の壁を打ち破る高速な理論予測手法を確立しました。本研究成果は、2026年8月25日付で英国科学誌『npj Computational Materials』に掲載されました。

出典:科学技術振興機構JST) 2026年8月25日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260825-2/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

結晶の中に生じた欠陥のうち、特有の光を放つものを色中心と呼びます。色中心は室温で動作し、集積もできるため、量子センサー量子暗号通信といった次世代量子技術で有望な仕組みとされています。

ただし、材料の候補は無数にあります。その中から発光特性の優れた色中心を効率よく見つけ出す手法は確立されておらず、実用化のボトルネックになっていました。研究者が目指しているのは、実際に作る前に有望な候補を絞り込むことです。

①計算に時間がかかり網羅できなかった

これまでの理論予測では、結晶の格子振動であるフォノンによる複雑な光の損失を評価する必要がありました。

この評価に膨大な計算時間を要するため、多くの材料を網羅的に探索することは実質的に困難でした。候補の数に対して計算が追いつかず、絞り込みが進みにくい状態です。

②式を簡潔にし、計算時間の壁を破った

研究グループは、フォノンによる複雑な光損失を簡潔な理論式で記述し、あわせて効果的な近似を導入しました。これにより、従来の計算時間の壁を破る高速な予測手法を確立しています。

材料の種類を選ばない手法であり、紫外から可視、さらに通信波長帯まで網羅する広い範囲で、色中心を高速に探索できるようになりました。

編集部からひとこと

量子技術の話題は装置そのものに集まりがちですが、動作を担う材料をどう見つけるかも同じだけ重要です。作って測る前に計算で絞り込めれば、試作の回数を減らせます。通信波長帯まで探索範囲に入る点は、既存の光ファイバー網とつなぐ用途を考えるうえで意味を持ちます。

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら