2026.10.07 │ 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) │ 元発表:2026.10.06

NEDOなど、微生物を100万滴規模で選別するスクリーニング装置を開発

ニュース紹介

「世界初、ドロップレット表現型スクリーニングシステムを開発しました」

NEDOの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」の一環で、長岡技術科学大学、産業技術総合研究所、広島大学、オンチップ・バイオテクノロジーズ、ニコンソリューションズは共同で、未培養・難培養微生物を高効率に可培養化し、有用な機能を持つ微生物が含まれるドロップレット(油中の微小な液滴)を100万ドロップレット規模で探索・取得できる「ミリオンスクリーニング技術」を開発しました。あわせて、一次選別、画像による二次選別および回収を一連の工程として行う「ドロップレット表現型スクリーニングシステム」を開発し、原文はこれを「世界で初めて」と説明しています(オンチップ・バイオテクノロジーズ調べ、2026年8月時点)。

長岡技術科学大学は土壌由来の環境微生物を対象に、約100万個のドロップレットを6時間で解析・分取し、市販の工業用酵素の2.4倍の活性を持つ新規酵素をLysobacter soliから単離しました。処理能力は従来のマイクロプレート法の1000倍とされます。2027年度末にはオンチップ・バイオテクノロジーズがシステムの製品化を予定しています

出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 2026年10月6日 プレスリリース
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101973.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

今回の発表は、微生物の力で化学品や素材をつくる「バイオものづくり(微生物や植物を使った物質生産)」の入り口にあたる、有用な微生物を探す工程の技術です。土や水の中には膨大な種類の微生物がいますが、一般的な培養条件では増やせない「未培養微生物(実験室で培養できていない微生物)」が大半を占め、その割合は99%以上ともいわれます。

そこで研究者が使ってきたのが、油の中に作った直径数十〜100マイクロメートル程度の水滴に微生物を1細胞ずつ入れ、それぞれを小さな培養容器として扱う方法です。1滴ごとに増殖や酵素の働きを測れば、試験管やプレートでは扱いきれない数の候補を一度に調べられます。

①「見る」選別を一つの装置にまとめた

従来のドロップレット選別は、主に蛍光(光る目印)の強さで当たりを判定してきました。今回のシステムは、蛍光による高速な一次選別のあとに、ニコンソリューションズの撮像ユニットで液滴を撮影し、機械学習で形や増殖の様子を判定する二次選別を加えています。選んだ液滴をプレートへ分注・回収するところまで自動で行うため、見つけた微生物をそのまま次の培養や解析に回せる点が実務上の違いです。

②探索にかかる時間を週単位へ

原文によると、有用な酵素や微生物の探索は従来数か月から年単位を要していましたが、今回の技術で数日から週単位に短縮できることを実証したとしています。成果を事業化する受け皿として、2026年3月には長岡技術科学大学発のスタートアップ「ECHIGO MICROBES」が設立され、探索・育種の受託サービスを進めています。装置の製品化(2027年度末予定)と、2027年度から始まる長岡技術科学大学中心の拠点でのテスト運用が、実際に使われる技術になるかの分かれ目になります。

編集部からひとこと

「どの微生物がいるか」はゲノム解析で分かるようになりましたが、「実際に何ができるか」を大量に確かめる工程は手作業に頼る部分が多く残っていました。今回の発表は、その確かめる工程を装置として形にしたものだと受け止めています。10月7日からのBioJapan 2026で一部が紹介されるとのことなので、企業の研究者がどう評価するかに注目したいと思います。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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