2026.11.02 │ 千葉大学・理化学研究所・熊本大学 │ 元発表:2026.10.30

千葉大学・理化学研究所ら、卵子の染色体接着を保つ新因子OMC1を発見

ニュース紹介

「卵子の染色体接着を長期間維持する新因子OMC1を発見-卵子老化に伴う女性の生殖寿命を支える分子機構の解明へ-」

千葉大学大学院医学研究院/次世代in vivo研究探索センター(cNIVR)の石黒啓一郎教授、島田龍輝講師、同大大学院医学薬学府の飯阪早希絵氏、理化学研究所生命機能科学研究センターの北島智也副センター長兼チームディレクター、吉田周平技師らの研究チームは、卵子が長期間にわたり染色体の結合を維持するために必要な新規タンパク質「OMC1」(Oocyte Meiotic Chromosome protein 1)を発見しました。

OMC1は、姉妹染色分体をつなぎとめるREC8コヒーシンとよばれるタンパク質とともに卵子の染色体上に存在し、REC8コヒーシンの減少を防ぐ働きを担います。OMC1を欠損したマウスでは、若い卵子でも加齢卵子に似た染色体接着の低下と染色体分配異常が生じました。今後、卵子老化と女性の生殖寿命を支える分子機構の解明につながることが期待されます(DOI:10.1038/s43587-026-01245-5)。

出典:千葉大学・理化学研究所・熊本大学 2026年10月30日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20261030_1/index.html

FrontJournalの解説

卵子の染色体を束ねるコヒーシン

今回の研究対象は、卵子の中で染色体をつなぎとめる仕組みです。細胞が分裂するとき、複製された姉妹染色分体(同じ染色体の2本のコピー)は、分かれる直前まで「コヒーシン」と呼ばれるタンパク質の輪で束ねられています。卵子や精子をつくる減数分裂では、その一種であるREC8コヒーシンが働きます。

哺乳類の卵子は胎児期に減数分裂を始め、途中で長く休止した後、排卵の前後に分裂を再開します。休止期間中にコヒーシンが減って染色体の結合が弱まり、加齢に伴う染色体の分配異常につながるという仮説が、これまでの研究で示されてきました。

①OMC1はREC8コヒーシンの減少を防ぐ

研究チームが見つけたOMC1は、REC8コヒーシンと一緒に卵子の染色体上にとどまり、その減少を防ぐタンパク質です。名称は英語の「Oocyte Meiotic Chromosome protein 1」に由来し、卵子の減数分裂期の染色体に関わる性質を表しています。

②OMC1を欠いた若いマウスの卵子に加齢卵子の特徴

研究チームがOMC1を欠損させたマウスを調べると、若い卵子でも染色体接着の低下と染色体分配異常が生じていました。いずれも加齢卵子に似た特徴であり、OMC1が染色体の結合を長期間保つ役割を担うことを裏づける結果です。研究チームは、卵子老化と女性の生殖寿命を支える分子機構の解明につながると期待を示しています。

FrontJournalからのひとこと

卵子の老化は、染色体を束ねる仕組みが長い年月を持ちこたえられるかという問題として研究が進んでいます。今回の成果は、その持続性を支えるタンパク質を名指しした点に意味があります。マウスで得られた知見がヒトの生殖寿命の理解にどうつながるのか、今後の研究に注目します。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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