2026.11.05 │ 東京科学大学・横浜国立大学・産総研 │ 元発表:2026.10.26

東京科学大学ら、小型シリコン光変調器で200Gb/sを実証

ニュース紹介

「光電融合に向けた高性能シリコン光変調器を開発」

東京科学大学(Science Tokyo)工学院電気電子系の川原啓輔助教、西山伸彦教授、横浜国立大学大学院工学研究院の馬場俊彦教授らの研究グループは、産業技術総合研究所の前神有里子研究チーム長らと共同で、小型のシリコン光変調器で毎秒200ギガビット(200 Gb/s)の高速光変調を低消費電力で実証しました。

光をゆっくり伝える「スローライト」を生じさせるフォトニック結晶導波路を導入して小型化と省電力化を両立し、従来は外部の電子回路が担っていた波形整形を、「電気光学イコライザ」の組み込みによってチップ上で実現しました。1ビットあたりの駆動エネルギーは最小26フェムトジュールで、従来の標準値のおよそ100分の1に相当します。成果は2026年10月22日に国際学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

出典:産業技術総合研究所 2026年10月26日 プレスリリース/掲載誌:Nature Communications
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2026/pr20261026_2/pr20261026_2.html

FrontJournalの解説

AIデータセンターと光通信の高速化

今回の研究は、データセンターの光通信に使う「光変調器」(電気信号に応じて光の強弱や位相を変える素子)を、小型で省電力にしたものです。「産総研」の発表によると、生成AIの普及で、データセンターでは多数の計算機を連携させて大量のデータを処理する必要が増えています。

そのため、これを支える高速光通信では、素子の高速化・小型化・省電力化が求められています。

①スローライトで小型化と省電力化を両立

研究グループは、光をゆっくり伝える「スローライト」を生じさせるフォトニック結晶導波路(周期的な微細構造で光の進み方を制御する光の通り道)を、シリコン光変調器に導入しました。これにより、素子の小型化と省電力化を両立したとしています。

②波形整形をチップ上で行い、駆動エネルギーを約100分の1に

従来は外部の電子回路が担っていた波形整形を、電気光学イコライザ(電気信号の波形の乱れを、光デバイス内部で補正する仕組み)の組み込みによってチップ上で実現しました。デジタル信号処理(DSP)への依存を抑えられます。

この素子は、200 Gb/sの光変調で、1ビットあたりの駆動エネルギーが最小26フェムトジュールです。従来の標準値のおよそ100分の1に相当します。発表では、AIデータセンター向けの光接続技術として注目されるコパッケージド・オプティクス(CPO、光部品を演算チップなどと同じパッケージに実装する技術)への応用が期待されるとしています。

FrontJournalからのひとこと

光の速度を落とす構造と、波形整形をチップ上で行う仕組みを組み合わせ、駆動エネルギーを従来の約100分の1に抑えた点が今回の特徴です。CPOへの応用がどこまで進むのか、注目しています。

FrontJournal編集部

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