2026.10.07 │ サクサ株式会社(株式会社ソアー) │ 元発表:2026.10.06

ソアーとOPERA Solutions、ペロブスカイト太陽電池用バリア膜を試作

ニュース紹介

「ソアー、OPERA Solutions社とペロブスカイト太陽電池などの共同試作を実施」

サクサグループで有機ELデバイスの開発・製造受託サービスを提供する株式会社ソアーは、有機エレクトロニクス分野の知見を持つOPERA Solutions株式会社と共同で、高性能バリア膜技術の実用化に向け、フレキシブル有機ELおよびペロブスカイト太陽電池の試作を行いました。ソアーの独自の膜封止技術とOPERA Solutions社の知見を組み合わせて高性能バリア膜を形成し、フレキシブルOLED向けとペロブスカイト太陽電池向けの試作品を製作しています。

形成したバリア膜をCa腐食法で測定した結果、水蒸気透過率(WVTR)10のマイナス5乗g/m2/dayレベルを確認したとしています。両社は2025年4月に締結したコンサルティング業務委託契約を契機に共同検討を進めてきました。試作品は、OPERA Solutions社と共同研究している山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)フレキシブルエレクトロニクス部門のブースで、CEATEC 2026(2026年10月13日〜16日・幕張メッセ)に展示される予定です。

出典:サクサ株式会社 2026年10月6日 プレスリリース(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000029473.html

FrontJournalの解説

ペロブスカイト太陽電池と封止の課題

ペロブスカイト太陽電池(ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造の材料を発電層に使う太陽電池)は、薄く軽く、曲げられるフィルム型にできることから、従来のシリコン系では設置が難しかった壁面や屋根などへの活用が期待されています。一方で発電層が水分に弱く、水分の侵入による劣化が寿命を縮める主な要因とされています。そのため、外部の水蒸気や酸素を遮る封止(素子を膜やフィルムで覆って保護すること)の性能が実用化の鍵の一つになっています。

①水蒸気透過率という指標

バリア膜の性能は、1平方メートルあたり1日に何グラムの水蒸気が通り抜けるかを示す水蒸気透過率(WVTR)で比べられます。数値が小さいほど水分を通しにくいことを意味します。測定方法の一つであるCa腐食法(カルシウム試験)は、水分と反応して変化する金属カルシウムの状態から透過した水分量を見積もる手法で、フィルム業界でもバリア性能の評価に使われています。今回の発表では、この方法で10のマイナス5乗g/m2/dayレベルの値が示されました。

②屈曲性との両立が課題

フィルム型のデバイスでは、耐湿性に加えて曲げても性能が落ちない屈曲性が求められます。ガラスで挟む従来型の封止は水分を通しにくい反面、重く曲げられません。そこで樹脂フィルム上に薄いバリア層を重ねる方式が各社で開発されており、国内でもバリアフィルムメーカーがペロブスカイト太陽電池向けの製品や評価結果を相次いで発表しています。有機ELとペロブスカイト太陽電池はどちらも水分に弱いため、同じ封止技術を両方に展開できるかどうかが注目点になります。

編集部からひとこと

今回の発表は試作品の製作と膜単体の性能測定の段階で、デバイスとしての耐久時間や量産時期への言及はありません。有機ELの製造受託で培った膜封止技術を太陽電池へ広げる試みとして、CEATEC 2026での展示内容と、今後の耐久性データの公表に注目したいところです。

FrontJournal編集部

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