7Gaa株式会社は狭い電波暗室でもRCSを測れる計測システムを研究する企業

7Gaa株式会社(セブンジーツーエー)

7Gaa「RCS計測」を研究|研究領域=電波の反射の・強さを測る技術/強み=平面波を作り・狭い空間で測定/将来性=通信・衛星・防衛・の評価へ広がる

企業紹介|7Gaa株式会社とは?

航空機のステルス性能(レーダーに映りにくい性質)や、5G(第5世代移動通信)向けの、電波の反射方向を制御する反射板の評価に使われる「RCS(レーダー反射断面積)計測」。7Gaa株式会社は、その社会実装を目指す、電磁波計測のディープテック企業です。独自の平面波合成(波面のそろった電波を作る技術)で、狭い電波暗室でも測定できるRCS測定システムを開発しています。

キーワード「RCS計測」

「RCS計測」は、物体に電波を当てて、どれだけ反射して返ってくるかを測る技術で、反射の大きさは物体の形や材質、電波を当てる向きによって変わります。従来は、遠方と同じ条件を得るために大型の電波暗室(電波を遮り反射も抑える部屋)が使われてきました。同社は、平面波合成によって、狭い空間でも同じ測定を行う方式を研究しています。

市場課題|RCS計測は大型の電波暗室を要し、測れる場所が限られる

現状のRCS計測の課題|現状は、暗室の規模で測れる場所が限られる|大型の電波暗室・が必要になる/大型の測定物は・測りにくい

大型暗室が必要で場所が限られる

RCS計測は、航空機のような大きな測定物を収められる大型の電波暗室を必要とします。従来は、コンパクトレンジ(反射鏡などで平面波を発生させる方式)が使われ、設備の建設に大規模な費用がかかるといわれています。暗室の規模に測定の可否が左右されるため、計測の機会が限られやすい状況です。

大型の測定物は測りにくい

測定物が大きくなるほど、従来方式では必要な暗室も大きくなります。5G通信エリアの拡大手段として検討されるメタサーフェス反射板(電波の反射方向を人工的に制御する板)も、評価にRCSが使われます。評価のたびに大型の暗室を確保する必要があり、開発側の負担が重くなりかねません。

他にも、測定にかかる時間、平面波の均一さの確保、測定環境の調整、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • コンパクトレンジ反射鏡などで、波面がそろって進む電波である平面波を発生させ、限られた距離で遠方と同じ条件を得る測定設備を指す。測定物を収める暗室と反射鏡の大きさが、測定できる物体の大きさを左右する。

7Gaaの強み|「RCS計測」を研究

7Gaaが「RCS計測」を研究|今後は、平面波で狭い空間の測定が可能に|アンテナ1台で・平面波を生成/大型の測定物も・狭い暗室で測定

アンテナ1台で平面波を生成

RCSを直接測るには、長い距離か専用の設備が必要です。RCSは遠方界(測定物から十分に離れ、電波が平面とみなせる領域)で定義されるためです。

同社の平面波合成は、送信アンテナ1台で、水平面上の設定した半径の円内に平面波を作る方式です。測定物から返る散乱波(物体に当たって広がる電波)を受信し、近傍界遠方界変換(近くで測った電磁界の分布から、遠方での値を計算で求める手法)で、遠方でのRCSを求めます。遠方まで離れる必要がないため、狭い電波暗室でも測定でき、大きな建屋を用意する負担が小さくなる点が利点です。モノスタティック(送受信を同じ位置で行う)とバイスタティック(送受信の位置が異なる)の両方のRCSを求められるとされています。

大型の測定物にも対応

測定物が大きくなるほど、平面波を当てる範囲を広げる必要があり、設備は大きくなりがちです。

同社のRCS測定システムは、公式サイトで部屋や測定物のサイズで制限されないとされ、大型の測定物も狭い電波暗室で測定できるとしています。測定物の大きさごとに専用の設備を用意する負担を、減らせる見込みです。メタサーフェス反射板のような大型のサンプルも測定の対象です。求める精度に応じて測定速度を選べるため、精度を抑えれば測定を短時間で済ませることもできます。設備を組み替える手間も減り、反射板の試作と測定を、開発の段階に合わせて何度も繰り返しやすくなります。

FrontJournalの解説
  • 近傍界遠方界変換アンテナや散乱体の近くで測った電磁界の分布から、遠方での電磁界を計算で求める手法を指す。遠方まで離れて測る代わりに、狭い空間で遠方に相当する値を得られる。

RCS計測の未来|通信・衛星・防衛の評価へ広げる

RCS計測が変える未来|狭い空間で測定でき、応用が広がる|5G反射板の・測定に活用/小型衛星の・アンテナ計測へ/高精度な・RCS評価を目指す

5G反射板の測定に活用

5G通信向けのメタサーフェス反射板の評価が、同社のRCS測定システムの用途の1つです。反射板は、通信エリアを広げる手段として検討されています。反射板が電波をどの方向へどれだけ返すかはRCSで評価でき、同社のシステムは狭い電波暗室で測定できるのが特長です。通信機器の開発側は、試作した反射板を手元の設備で評価しやすくなります。

小型衛星のアンテナ計測へ

同社は、小型衛星に載せるアンテナ計測の事業化に取り組んでいます。その柱は、高速近傍界計測(アンテナの近くで電磁界を測り、性能を計算で求める方法)です。すでに2023年には、300GHz帯(1秒間に3,000億回振動する電波)のアンテナ近傍界計測の実演に成功しています。計測を短時間で行えれば、打ち上げ前の性能確認にかかる期間を縮められます。

高精度なRCS評価を目指す

同社は、モノスタティックRCSを高精度に評価する計測手法の確立を目指しています。平面波合成方式のRCS計測技術の検討では、技術的課題の明確化、基本アルゴリズムの構築と検証、測定の仕組みの検討が柱です。この手法が確立すれば、航空機などのステルス性能の評価を、狭い空間で行えると期待されます。評価に使える施設の選択肢も広がります。

会社概要|産総研の計測技術を事業化した、つくば市の企業

産総研の事業から法人化

同社の事業は、2018年4月産総研(産業技術総合研究所)で始まりました。2019年10月に法人として設立され、2020年3月には産総研認定ベンチャーとなりました。本社は茨城県つくば市のつくば創業プラザで、東京都中央区に東京オフィスがあります。代表取締役は廣瀬 雅信氏(2025年10月1日就任)です。社名の7Gaaは、7th Generation in automation & antenna measurementsに由来します。

採択・連携

2024年3月に、電子情報技術産業協会の「JEITAベンチャー賞」を受賞しました。2026年5月には、防衛装備庁 新装備研究所が公募した「平面波合成方式によるRCS計測技術に関する検討作業」で、研究実施者に採択されています。同社の発表では、平面波合成技術と近傍界遠方界変換技術が評価されたとのことです。2026年7月には、茨城県の「令和8年度 いばらき宇宙ビジネス支援事業補助金」の事業者にも採択されました。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースでは、北海道大学を関連大学とする共同研究ベンチャーに分類されています。

資金調達と事業

2021年10月に、株式会社三誠ホールディングスから合計2億円の出資を受けました。資金の使途は、主に事業拡大に向けた運転資金等とされています。同社が対象とするのは、5GからBeyond 5G(5Gの次の世代)や6Gまでのミリ波帯(周波数の高い電波)です。この領域で、計測と通信の技術を開発・販売し、コンサルティングも行います。

会社情報

会社名7Gaa株式会社(7Gaa Co., Ltd./法人番号 3010001204430)
所在地本社:茨城県つくば市千現2丁目1番6号 つくば創業プラザ216。東京オフィス:東京都中央区新川1-6-12 M&Sビル3階
設立2019年10月1日
代表代表取締役 廣瀬 雅信(2025年10月1日就任)
資本金1億9,200万円(資本準備金を含む)
従業員9名(公式サイトの会社概要)
調達2億円(2021年10月)。出資者は株式会社三誠ホールディングス
事業5G/Beyond 5G/6G(主にミリ波帯)の計測および通信。RCS測定システム、ミリ波レーダ測定システムなどの開発・販売、コンサルティング
技術領域電磁波計測。独自の平面波合成、近傍界遠方界変換、アンテナ近傍界計測
連携北海道大学(経済産業省 大学発ベンチャーデータベース上の分類=関連大学・共同研究ベンチャー)
採択防衛装備庁 新装備研究所「平面波合成方式によるRCS計測技術に関する検討作業」(2026年)。令和8年度 いばらき宇宙ビジネス支援事業補助金(2026年)。JEITAベンチャー賞(2024年)。産総研ベンチャー技術移転促進措置の対象
URLhttps://7gaa.co.jp

編集後記|FrontJournal編集部より

電波の反射を測る作業は、これまで大きな設備を持つ機関の仕事とされてきました。測定物より大きな暗室を用意しなければならず、参加できる開発者が限られていたためです。設備の制約をどう小さくするかが、この分野の課題でした。

注目したいのは、同社が暗室を大きくするのではなく、平面波の作り方そのものに解決の糸口を求めた点です。産総研で積み重ねたアンテナ測定の知見が、設備の制約を減らす方式へつながっています。狭い暗室で測れることは、反射板の試作と評価を身近にします。

産総研で培われた計測技術が、通信、衛星、防衛の評価現場へ広がっていくことを期待しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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