2026.08.27
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信州大学
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元発表:2026.08.26
信州大学ら、正極表面のフッ素化でリチウム電池の寿命を改善
ニュース紹介
「電池材料の表面をフッ素で変え、内部構造と界面反応を同時に安定化」
信州大学アクア・リジェネレーション機構の是津信行教授らと、フランス・モンペリエ大学の研究者らの国際共同研究グループは、高容量リチウムイオン電池の正極材料として期待されるニッケルリッチ層状酸化物(NCM811)について、粒子の表面近傍にフッ素を導入することで、充放電時に起きる結晶構造の変化と電解液との界面反応を同時に安定化できることを明らかにしました。
研究グループは、フッ化キセノンを用いた固体と気体の反応によって、NCM811の層状結晶構造を保ちながら、粒子表面近傍にフッ素が濃くなった領域を作りました。X線回折、X線光電子分光、電気化学測定、オペランド赤外分光に加え、第一原理計算とニューラルネットワークポテンシャルによるシミュレーションを組み合わせ、フッ素化の効果を多階層にわたって解析しています。
その結果、高電圧充電時の結晶格子の収縮が緩和され、電解液の分解と正極界面被膜の過剰な成長が抑えられました。正極の表面改質によって負極側の劣化反応まで抑えられ、フルセルの100サイクル後の容量維持率は77%から93%へ向上しています。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年8月26日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260826-4/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
リチウムイオン電池の性能は、正極に使う材料で大きく決まります。ニッケルを多く含むニッケルリッチ層状酸化物(NCM811)は、たくさんのエネルギーを蓄えられる有望な正極材料です。
一方で、充電が進んだ状態では結晶の格子が大きく縮み、正極の表面で電解液が分解する反応も進みます。これが寿命を縮める要因でした。研究者が目指しているのは、蓄えられる量を保ったまま、長く使える正極を設計することです。
①効果は知られていたが、理由が分からなかった
フッ素を導入すると電池の性能が改善することは、これまでも報告されていました。
ただし、フッ素が結晶内部の構造変化と、電極と電解液の界面で起きる反応をどのように関連づけて制御しているのか、その全体像は十分に理解されていませんでした。設計の指針として使うには根拠が足りない状態です。
②表面のフッ素が負極側の劣化まで抑えた
研究グループはフッ化キセノンを使った固体と気体の反応で、層状構造を保ったまま粒子表面近傍にフッ素が濃い領域を作りました。測定と第一原理計算を組み合わせ、効果を多階層で解析しています。
その結果、高電圧充電時の格子の収縮が緩和され、電解液の分解と被膜の過剰な成長が抑えられました。正極を変えただけで負極側の劣化反応まで抑えられ、100サイクル後の容量維持率は77%から93%へ向上しています。
編集部からひとこと
注目したいのは、正極の表面を変えただけで負極側の劣化まで抑えられた点です。電池は正極・電解液・負極が互いに影響し合うため、片方を良くすると別の場所に影響が出ることがあります。今回は「表面を守る」から「表面で反応を操る」へと考え方を進め、その連鎖を測定と計算の両面から裏づけています。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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