もみじAI|「AI-OCR」を研究する熊本大学発のAI企業

株式会社もみじAI(モミジエーアイ)

もみじAI「AI-OCR」を研究|研究領域=業務にAIの機能を組み込む/強み=帳票の突合の自動化を開発/将来性=地方の放送局の業務DXを目指す

企業紹介|もみじAIとは?

紙の帳票に書かれた文字をAIで読み取り、データに変える「AI-OCR」。株式会社もみじAIは、その社会実装を目指す、熊本大学発のAI系ディープテック企業です。企業ごとの課題に合わせてAIシステムを開発しており、放送局のCM進行表と放送運行表の突合を自動化するシステムにも取り組んでいます。

キーワード「AI-OCR」

AI-OCRは、画像の中の文字を読み取ってデータに変えるOCR(光学文字認識)に、AIを組み合わせた技術です。決まった書式の活字を主に読む従来のOCRと違い、データから学習したモデルが文字を判別するため、手書きの文字や書式の異なる帳票も読み取りやすくなります。請求書や伝票など、紙の帳票をデータにする用途で使われます。

市場課題|帳票の突合とAI導入の判断に課題

現状の突合作業とAI導入の課題|現状は、突合の手作業が重く、AI導入の判断も遅れがち/帳票の突合は手作業で高負荷/中小企業の約半数がAI方針未定

帳票の突合は手作業で高負荷

地方局を中心とした放送現場では、広告会社から届く「CM進行表」(放送するCM〈広告放送〉の素材の指示表)と自局で作る「放送運行表」を、手作業で突合しています。熊本放送では、放送ミスを防ぐために欠かせないこの作業を含む関連業務に、月150時間以上の工数がかかっていました。紙の資料を目で見比べる方式のままでは担当者の負担が続き、見落としによる放送事故の恐れも残ります。

中小企業の約半数がAI方針未定

令和7年版情報通信白書の調査では、日本の中小企業で生成AIの活用方針を「明確に定めていない」との回答が約半数を占めました。方針を定めた企業の比率も、日本は米国・ドイツ・中国より低い傾向です。方針が定まらないと、AIを使う業務の検討が進まず、導入の判断が遅れかねません。

他にも、紙の書類を前提にした業務の流れ、AIを扱える人材の不足、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 突合複数の書類やデータを突き合わせ、内容が一致しているかを確かめる作業。帳票の数が多いほど時間がかかり、見落としを防ぐために人の注意力を長く保つ必要がある。

もみじAIの強み|「AI-OCR」を研究

もみじAIが「AI-OCR」を研究|今後は、AI-OCRで帳票の突合が可能に/AI-OCRで突合を自動化/小さなPoCで効果を検証

AI-OCRで突合を自動化

紙の帳票を人が見比べる突合では、帳票の枚数に比例して作業時間が延び、見落としを防げるかは担当者の注意力に左右されます。

同社は、AI-OCR(AIで帳票の文字を読み取る技術)と独自の突合ロジックを活用し、放送局の帳票の突合を自動で行うシステムを開発しています。まずAI-OCRで帳票の文字を読み取ってデータに変え、そのデータどうしを突合ロジックで照らし合わせる仕組みです。CM進行表は、素材の指定状況をまとめたリストと照らして契約内容との整合を、放送運行表と照らして実際の放送内容との一致を確かめます。突合の結果が自動で抽出されるため、担当者は抽出された結果の確認と精査に作業を絞れ、帳票を見比べる負担を減らせます。

小さなPoCで効果を検証

AIの導入は、実際の業務データで試すまで効果を把握しにくく、本格的な開発に先に費用をかける判断は困難です。

同社は、技術の有効性を小規模に検証するAI PoC(概念検証=本格導入の前に技術を試す工程)を提供しています。事例は、文字を読み取る画像認識(OCR)や、物体検出モデル、流体解析(CFD)です。検証では、先行研究やAI技術の調査をもとに有効性を見極め、モデルを使った試作品を素早く作ります。「AIで何ができるか分からない」段階の企業でも、投資判断に必要な材料を短期間で得られ、開発に進むかどうかを判断できます。

FrontJournalの解説
  • AI PoCAIを本格的に導入する前に、実際の課題やデータで技術が役に立つかを小さな規模で試す工程。効果の有無を早い段階で確かめ、開発に進むかどうかを判断する材料にする。

未来|AIが地域企業と放送局の業務を変える

もみじAIのAIシステムが変える未来|地域企業と放送局の現場を支える/教育や採用をAIで支援/熊本放送と突合を自動化/地方の放送局の業務DXを目指す

教育や採用の業務をAIで支援

同社はすでに、教育や採用などの業務で使われるAIシステムを開発しています。事例には、テスト問題の自動作成、公式LINE(企業がLINEで開設する公式アカウント)のAI化、求職者向けのチャットボットがあります。2025年7月の「やまぐち生成AIフォーラム」では、企業と求職者をつなぐ「採用AI」を展示しました。取引先は不動産・放送・医療・教育・運送・印刷・製造・建設の8業界以上に広がっています。

熊本放送と突合を自動化

熊本放送と共同で開発する突合システムは、2025年10月に本格的な開発が始まりました。熊本放送が現場に即した要件を定め、同社が開発を担う体制です。2026年3月には、この放送業務DX(デジタル技術による業務の変革)の取り組みに対し、同社は熊本放送から感謝状を受けています。実運用が始まれば、熊本放送の担当者は帳票を見比べる時間を減らし、放送事故の未然防止に力を注げるようになります。

地方局の業務DXを目指す

両社が目指すのは、地方局の業務DXを進め、放送業界全体の業務革新につなげることです。番組素材や編成データ、送出記録など、放送局内に点在する他の突合作業への応用も視野に入れています。熊本放送での実運用を経て、同様の課題を抱える他局への展開も、両社が見据える次の段階です。実現すれば、地方局でも帳票の突合を機械に任せ、担当者が結果の確認に集中できるようになります。

会社概要|株式会社もみじAI

熊本大学の学生2人で創業

もみじAIは、熊本大学に在学中の学生2人により、2024年11月6日に設立されました。代表取締役の江嶋宏優氏は熊本大学理学部の数学プログラムに、取締役CTOの松岡伸龍氏は熊本大学大学院の情報電気工学専攻に所属していました(2024年12月時点)。登記上の本社は東京都文京区にありますが、活動の拠点は主に熊本です。

大学発の称号と地域での活動

同社は2025年2月に、熊本大学から「熊本大学発ベンチャー」の称号を授与されました。2025年10月には株式会社熊本放送と、CM進行表と放送運行表の突合を自動化するシステムの共同開発に着手しています。代表の江嶋氏は、2026年2月に熊本県産業技術センターで、地域の企業に向けてLLM・AIの実務活用を紹介しました。2025年10月には、九州大学で開かれた「第16回 半導体材料・デバイスフォーラム」に協賛企業として出展しています。

AIのオーダーメイド開発

同社の事業は、AIを用いたオーダーメイド開発で、DXシステム開発、AIシステム開発、AI PoCを手がけます。DXシステム開発では、紙や手作業、属人化した業務の流れをデジタル化し、展示会用のVRアプリや社内業務用のAI Botなどを開発してきました。3つの事業はいずれも、課題の特定と要件定義からPoC・開発、導入、運用後の改善までを一貫して担います。

会社情報

会社名株式会社もみじAI(momiji ai Inc.)
所在地東京都文京区本郷6丁目25番14号(活動拠点は主に熊本)
設立2024年11月6日
代表代表取締役 江嶋宏優
事業DXシステム開発。AIシステム開発。AI PoC(概念検証)
技術領域LLM、機械学習、AI-OCR、画像認識、物体検出
連携熊本大学(2025年2月に熊本大学発ベンチャーの称号を授与)。株式会社熊本放送(2025年10月から突合システムを共同開発)
URLhttps://momiji-ai.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

紙の帳票を見比べる作業は、放送局に限らず多くの業種に残っています。帳票が増えるほど確認の手間も増え、人手だけで支えるには限りがあります。もみじAIは、AI-OCR技術で文字を読み取り、突合ロジックで照らし合わせるシステムを開発し、この負担の大きい作業に取り組んでいる会社です。

興味深いのは、学生のうちに創業した会社が、熊本の放送局の現場に入り込み、要件を聞き取りながら開発を進めている点です。AIを業務に組み込むには、技術だけでなく、現場の手順を理解することが欠かせません。地域の企業の困りごとを一社ずつ解いていく同社の今後の歩みに注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月29日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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