市場課題|脳に効かせる薬は、血液脳関門を越えなければ届かない

細胞株では到達を見誤る恐れ
試験管内で脳への届きやすさを調べる際、細胞株(培養を続けられるようにした細胞)だけの評価では、結果を見誤る恐れがあります。腎臓や小腸に由来する細胞株は血液脳関門に特有の性質を持たず、脳の血管に由来するものも細胞株にするとバリア機能(物質の通過を制限する働き)を失いやすいためです。このままでは、脳に届かない物質の開発を進める恐れがあります。
生体に近い細胞は準備に手間
初代培養(生体から取り出した細胞を育てる方法)は、生体内の機能を保ちやすい一方、準備に手間がかかります。関門の働きには血管を取り巻く細胞も関わるため、生体に近いモデルではそれらも脳から取り出して育て、内皮細胞と組み合わせることになります。この負担のため、評価の開始までに時間がかかる点が課題です。
他にも、ヒト脳細胞の入手、幹細胞からの内皮細胞作製、多数の物質の自動評価、といった課題があるといわれています。
- 血液脳関門脳の毛細血管にある、血液中の物質が脳へ入るのを制限する仕組みである。血管の内側を覆う内皮細胞が隙間なく結合し、血管を取り巻く細胞がその働きを支えている。脳を守る一方、多くの薬の脳への移行も妨げる。


