ロックガレッジ|「ドローン捜索」を研究するディープテック企業

株式会社ロックガレッジ

ロックガレッジ「ドローン捜索」を研究|研究領域=上空から人を探すドローン捜索/強み=AIが人影を検出位置を隊員に共有/将来性=国産機とも連携を広げる

企業紹介|ロックガレッジとは?

山岳や海で行方が分からなくなった人を、上空からの映像で探す「ドローン捜索」。株式会社ロックガレッジは、その社会実装を目指す、ロボット系ディープテック企業です。ドローン映像からAIが人影を見つけ、その位置を指揮本部のタブレットと隊員のスマートグラス(視界に情報を重ねて表示する眼鏡型の端末)へ届けるシステム「3rd-EYE」を開発しました。

キーワード「ドローン捜索」

ドローン捜索は、ドローンで上空から現場を撮影し、行方不明者や要救助者を探す方法です。人が歩いて入りにくい山林や海上でも広い範囲を見渡せるため、消防の捜索活動への活用が模索されています。一方で、映像から人を見つけ出す作業と、見つけた位置を捜索隊へ正確に伝える作業には、多くの手間がかかります。

市場課題|広い範囲の捜索と位置の伝達に課題

現状の捜索活動の課題|現状は、捜索範囲の広さと口頭の伝達で救助が遅れる恐れ/広範囲の捜索で見落としの恐れ/位置の口頭伝達に限界

広範囲の捜索で見落としの恐れ

山林や海で遭難した人を探すときは捜索範囲が広く、遭難者を見落とす恐れがあります。2024年の山岳遭難は2,946件、遭難者は3,357人に上りました。上空から撮影した映像でも、目視では判別しづらい海面の人影などは見逃す可能性があり、見落としが続けば救助が遅れる恐れがあります。

位置の口頭伝達に限界

従来の捜索では、見つけた位置や進む方向を口頭で伝えるため、指揮本部と隊員の間で情報を正確に共有しにくいことが課題です。消防の捜索でもドローンの活用が模索されていますが、ドローンで集めた情報の活用と伝達は十分とはいえないとされています。情報が正確に伝わらなければ、同じ場所を二度捜索するなど、救助までの時間が延びかねません。

他にも、ドローンの操縦に高度な技術が要ること、自治体が機体を調達する際のセキュリティ要件、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 指揮本部災害や事故の現場で、出動した複数の隊をまとめて指示を出す拠点。集まった情報をもとに、どの隊をどこへ向かわせるかを判断する。

ロックガレッジの強み|「ドローン捜索」を研究

ロックガレッジが「ドローン捜索」を研究|現在は、AIとグラスで捜索支援を提供/AIが映像から人影を検出/スマートグラスで位置を共有

AIが映像から人影を検出

人の目でドローン映像を確認する方法では、撮影する範囲が広いほど見る映像が増え、小さな人影を見落としやすくなります。

同社の「3rd-EYE」では、あらかじめ設定した経路を自動で飛行するドローンの映像をAIがリアルタイムで解析し、映像に映った人影を自動で検出します。検出した人影の位置はすぐにデジタル地図へ反映され、指揮本部のタブレットで画像とあわせて確認できる仕組みです。指揮本部や隊員が映像を見続けなくても人影の候補を把握できるため、広い山林や海面でも捜索を効率よく進められます。目視では判別しづらい海面の人影を見逃す可能性も低減でき、要救助者の早期発見につながります。

スマートグラスで位置を共有

口頭の連絡では、要救助者の位置や進む方向を言葉だけで伝えるため、聞き違いや伝達の漏れが起こりやすくなります。

同社が開発したのは、隊員が装着するスマートグラスに、要救助者や他の隊員、目的地の位置を表示する仕組みです。表示はスマートグラスの現在位置と方位に連動するため、隊員は今見ている景色のどこに要救助者がいるかを直感的に把握できます。指揮本部が地図上に置く「ピン」で目的地を示し、隊員の現在位置と移動した軌跡も地図上で確認できる設計です。指揮本部は目的地を地図で示して隊員を誘導できるようになり、同じ場所を繰り返し捜索する無駄も減らせます。

FrontJournalの解説
  • デジタル地図位置情報をコンピューター上で扱える地図。人やドローンの現在地、検出した対象の位置を重ねて表示でき、離れた場所にいる複数の人が同じ地図を同時に見られる。

未来|捜索の「3rd-EYE」と点検用の水上ドローンが現場を支える

捜索と点検の技術が変える未来|捜索は消防で導入、橋の下は水上ドローン/志摩市の消防で導入済み/水上ドローンで橋の下を点検/国産機との連携拡大を目指す

志摩市の消防で導入済み

「3rd-EYE」は、三重県志摩市の消防本部で本格導入されています。導入は、志摩市とソフトバンク、同社の連携で進められました。2024年12月には英虞湾で、シーカヤックからの落水事故を想定した水難救助の訓練が行われています。訓練では、自動で飛行するドローンの映像をAIが解析し、海面の人影を指揮本部と隊員のスマートグラスへ共有しました。

水上ドローンで橋の下を点検

同社は、捜索用の「3rd-EYE」とは別の製品として、橋の下など水面に近い狭い場所を点検する「ホバークラフト型水上ドローン」を開発しています。水面を全方向に移動でき、一人で持ち運べる大きさで、防水性能と自動航行の機能を備えます。2025年2月には、橋梁の点検を想定した実証試験に成功しました。飛行型ドローンでは難しい橋の下の点検を補う手段として、社会実装を目指しています。

国産機との連携拡大を目指す

同社は、「3rd-EYE」が連携できるドローンを国産機へ広げることを目指しています。2026年8月には、これまで主に連携してきたDJI(中国のドローンメーカー)製に加え、国産の双葉電子工業製ドローンとのリアルタイム連携に対応しました。保有するドローンを改修せずに追加で導入できる構成のため、自治体や消防が機体を買い替えずに捜索の機能を加えられる可能性があります。消防の捜索に加えて自治体の災害対策にも広がれば、遭難者や被災者を早く見つけられる地域が増えることが期待されます。

会社概要|株式会社ロックガレッジ

ドローン制御の研究者が創業

同社は2018年4月、千葉大学大学院の研究室でドローン制御を研究してきた岩倉大輔氏が、副社長の大畑令子氏とともに設立しました。岩倉氏は、その研究を土台に2013年に立ち上がった千葉大学発ベンチャーの自律制御システム研究所(国産ドローンの開発会社)で、技術統括を担当しました。ドローンで現場の困りごとを解決する仕組みを開発するため、ロックガレッジをゼロから立ち上げています。同社は、千葉大学の「千葉大学関連スタートアップ一覧」にも掲載されています。

NEDOと茨城県の事業に採択

創業直後の2018年度には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」で、「AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム」の研究開発に採択されました。この事業を通して開発した遭難者捜索ツール「Harris Hawk」は、消防庁の「2019年度消防防災科学技術賞」を受賞しています。2021年度には「茨城県DXイノベーション推進プロジェクト」に採択され、茨城西南広域消防本部と合同で「3rd-EYE」の実証試験を行いました。水上ドローンは、2022年度に採択された経済産業省の「成長型中小企業等研究開発支援事業」(Go-Tech事業)で開発しました。

ロボット開発の支援も展開

同社は、企業のロボット開発を支援する事業も手がけています。ドローンの制御系やファームウェア(機器を動かす組み込みのプログラム)の開発から、システムの設計までを一貫して引き受けます。2018年7月には、米NVIDIAのスタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception Program」のパートナー企業に認定されたと発表しました。

会社情報

会社名株式会社ロックガレッジ(Rock Garage Co., Ltd.)
所在地茨城県古河市宮前町1-51
設立2018年4月
代表代表取締役 岩倉大輔
事業ドローン関連のソフトウェア・制御系・ハードウェア開発、ロボット開発支援、情報共有システム「3rd-EYE」の開発・サービス提供
技術領域ドローン制御、AIによる映像解析、スマートグラスへの位置表示、ホバークラフト型水上ドローン
連携三重県志摩市・ソフトバンク(「3rd-EYE」の導入)、茨城西南広域消防本部(実証試験)
採択NEDO 次世代人工知能・ロボット中核技術開発(AI/クラウドソーシング・ハイブリッド型広域人命捜索システム、2018〜2019年度)/茨城県DXイノベーション推進プロジェクト(2021年度)/経済産業省 成長型中小企業等研究開発支援事業(2022年度採択)
URLhttps://www.rockgarage.tech/

編集後記|FrontJournal編集部より

ロックガレッジは、ドローンの制御を研究してきた技術者が、ドローンで人の命を守る仕組みを目指して立ち上げた会社です。映像から人影を探す作業をAIに任せ、見つけた位置をスマートグラスで隊員の視界に重ねる発想は、捜索の現場で起きていた「見落とし」と「伝え違い」を同時に減らすものです。ドローンの機体性能だけでなく、現場の指揮の流れを崩さずに情報の伝わり方を変えた点に、この会社の特徴が表れています。

消防での導入に続き、国産ドローンとの連携や水上ドローンによる点検へと活動の場は広がりつつあります。ドローン捜索がどこまで各地の救助の現場に根づき、遭難者の発見までの時間をどれだけ縮めるのか、今後の展開に注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月29日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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