Uromics「尿検査システム」を研究|尿の検査を描いたイラスト

株式会社Uromics(ユーロミクス)

Uromics「尿検査システム」を研究|研究領域=尿の成分から・体の状態を測る/強み=自宅で採尿し・精密に分析/将来性=病気の目印を・大学や企業と探す

企業紹介|株式会社Uromicsとは?

自宅で採った少量の尿の成分を、精密に分析する仕組みとして開発が進む「尿検査システム」。株式会社Uromicsは、その社会実装を目指す、熊本大学発のヘルスケア系ディープテック企業です。尿に含まれる成分を質量分析で測り、結果をスマートフォンのアプリで知らせる検査サービスの開発を進めています。

キーワード「尿検査システム」

同社の「尿検査システム」は、利用者が自宅で採った尿を返送し、分析結果を通知で受け取る一連の仕組みを指します。医療機関に出向かずに検査を受けられる点が特徴です。通院の負担を減らし、日々の体調の変化に早く気づくことを支える手段として開発されています。

市場課題|地域医療の負担が増し、体調の変化に気づきにくい

現状の地域医療の課題|現状は、通院の負担と地方の孤立で体調の変化を見逃す|検査は通院と・採血が前提/地方で体調の・変化を見逃す

検査は通院と採血が前提

体の状態を詳しく調べる検査の多くは、医療機関に出向き、採血を受けて行うものです。通院には時間と移動の負担がかかり、採血には痛みを伴います。このままでは、通院が難しい人ほど検査を受ける機会が減る恐れがあります。

地方で体調の変化を見逃す

地方では高齢者が物理的にも社会的にも孤立しやすく、健康状態の変化に気づかないまま手遅れになる例も少なくないとされています。少子高齢化と物価の上昇で医療費の増大と医療現場の人手不足が深刻になり、とくに地方でその影響が顕著です。このままでは、病気の発見が遅れる高齢者が増える恐れがあり、早期発見の体制の整備が課題です。

他にも、検査に付き添う介助者の負担や、国民皆保険制度を今後も維持できるかという懸念、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 地域医療その地域に住む人の健康を、地域の病院や診療所が連携して支える医療を指す。医療従事者の不足や医療機関の減少が進むと、住む場所によって受けられる医療に差が生じる。

Uromicsの強み|「尿検査システム」を研究

Uromicsが「尿検査システム」を研究|今後は、自宅の採尿で体調の見守りが可能に|尿の成分を・精密に測る/結果をアプリで・通知し見守る

尿の成分を精密に測る

血液の成分を精密に調べるには、医療機関に出向いて採血を受ける必要があります。

同社が指標にするのは、尿に含まれる修飾ヌクレオシド(RNAが分解されてできる物質)です。この物質は細胞の中のRNAに由来し、血液だけでなく尿にも含まれるため、尿を検体にして測定できます。同社は「LC-MS」(液体クロマトグラフィー質量分析法。成分を分離してから質量で見分ける分析法)でこの物質を精密に測り、分かりやすい指標にして返します。利用者は自宅で少量の尿を採って返送するだけで検査を受けられ、採血の痛みや通院の負担を減らせるようになります。

結果をアプリで通知し見守る

年に1回の健康診断には、次の検査までの間に起きた体の変化をとらえにくいという弱点があります。

同社は、採尿から返送、LC-MSによる分析、結果の通知までを一連の流れで行う仕組みを開発しています。分析が終わるとスマートフォンに通知が届き、アプリを開くと尿から得た指標を分かりやすい形で確認できる設計です。アプリには見守りの機能を持たせ、検査キットも利用者や介助者の負担を減らす形で開発を進めています。家族や地域が利用者の体調を見守りやすくなり、次の健康診断を待たずに日々の変化に早く気づけるようになります。

FrontJournalの解説
  • 修飾ヌクレオシドRNAの材料であるヌクレオシド(塩基と糖が結合した分子)に、メチル化などの化学修飾が加わった分子を指す。RNAが分解されると生じ、血液や尿に含まれる。

尿検査システムの未来|感染症の判定研究から、病気の目印の探索へ広がる

自宅で使える尿検査システムが変える未来|研究の成果から実証、病気の目印の探索へ|大学の研究で・感染症を判定/尿回収キットを・地域で実証/病気の目印の・探索を目指す

大学の研究で感染症を判定

修飾ヌクレオシドで新型コロナウイルスの感染を判定できることは、熊本大学の研究で確かめられています。2021年、熊本大学の富澤一仁教授と、当時大学院生だった永芳友氏らは、血液と尿の修飾ヌクレオシドを測って感染を判定する技術を開発しました。感染患者約200名分の血液と尿を解析した診断精度は、感度(陽性の人を正しく陽性と判定する割合)99.3%、特異度(陰性の人を正しく陰性と判定する割合)93.33%です。また、修飾ヌクレオシドの値の上昇は、重症度やその後の重症化とも関連していました。

尿回収キットを地域で実証

同社は、自宅で使う尿回収キットの開発と、地域での実証を進めています。熊本市の「新製品・新技術研究開発助成事業」には、同社の「修飾ヌクレオシド測定用尿回収キット作成事業」が採択されました。熊本市の協業支援プログラム「HIGO LINK」では、市と共同で、尿中代謝物(体内で分解されてできる物質)の測定技術を使った実証実験を進めます。2025年11月には、実証実験やキット開発の協業先を募集しました。

病気の目印の探索を目指す

同社が目指すのは、生活習慣病や感染症の新しいバイオマーカー(病気や体の状態を示す目印となる物質)を見つけることです。探索は、大学や企業と協力して進めます。公開できる成果は順次発信し、根拠を説明できる製品だけを提供する方針です。自宅で採った尿から病気の兆しをつかめるようになれば、通院が難しい高齢者も、住み慣れた地域で健康状態を把握しやすくなります。

会社概要|熊本大学の修飾ヌクレオシド研究から生まれたUromics

熊本大学の研究者が創業

株式会社Uromicsは、2025年4月に熊本市で設立された、熊本大学発のスタートアップです。代表取締役の永芳友氏は、熊本大学大学院生命科学研究部の特任講師で、修飾ヌクレオシドの研究を続けてきました。創業者らは医療従事者として地域医療の疲弊を目の当たりにし、診療と並行して進めた研究の成果を社会に役立てるために会社を設立しました。

事業には、検体検査技術の研究開発と受託分析に加え、栄養補助食品の研究開発と製造、販売も掲げています。検査事業では、LC-MSを使う精密な検査として、筋肉量の測定と「肉質調査」を掲げています。大学発ベンチャーとして、熊本大学熊本創生推進機構の正式な支援を受けている点も特徴です。

補助金の採択と優秀賞

同社は2025年8月、熊本県の「くまもと未来づくりスタートアップ補助金」に採択されました。同じ月には、特許庁が進める「熊本市知財経営支援モデル地域創出事業」の支援企業にも選ばれています。2025年10月には、九州・山口の各県が推薦した18社が競う「九州山口ベンチャーマーケット2025」で優秀賞を受賞しました。2026年1月の「JAPAN STARTUP SELECTION」にも、熊本市の推薦により出展と登壇が決まりました。

肥銀系ファンドから資金調達

同社は2026年1月、肥銀大学発ベンチャーシード投資事業有限責任組合から資金調達を実施しました。このファンドは、肥銀キャピタル株式会社が運営するシードファンド(創業初期の企業に出資するファンド)です。調達後も、修飾ヌクレオシドの解析技術を生かした検査サービスの開発を進めています。

会社情報

会社名株式会社Uromics(Uromics Co., Ltd.)
所在地熊本県熊本市中央区黒髪2丁目39番1号
設立2025年4月21日
代表代表取締役:永芳 友
調達2026年1月に肥銀大学発ベンチャーシード投資事業有限責任組合(運営:肥銀キャピタル株式会社)から資金調達
事業バイオマーカー、検体検査技術の研究開発及び受託分析。栄養補助食品の研究、開発、製造、販売
技術領域尿や血液に含まれる修飾ヌクレオシドのLC-MSによる測定。簡易尿検査キットと検査結果通知アプリの開発
連携熊本大学(熊本大学発ベンチャー)。熊本市「HIGO LINK 熊本市オープンイノベーションプログラム」採択(2025年10月)
採択熊本市 新製品・新技術研究開発助成事業(2025年8月)。くまもと未来づくりスタートアップ補助金(2025年8月)。熊本市知財経営支援モデル地域創出事業の支援企業(2025年8月)。九州山口ベンチャーマーケット2025 優秀賞(2025年10月)
URLhttps://uromics.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

尿は、痛みもなく誰でも毎日採れる検体です。その尿に、細胞の中のRNAに由来する物質が出てくるという話を聞くと、体の内側の情報がこれほど身近な所に届いているのかと驚かされます。とりわけ印象に残ったのは、測る技術と届ける仕組みを1つの流れとして設計している点です。精密な分析を家庭の採尿とつなぎ、結果をアプリで家族や地域の見守りにまで広げようとしています。尿を使う検査では、尿中のマイクロRNAを調べるCraifのような企業も現れており、この分野の広がりを感じます。

研究の現場から生まれた検査が、熊本の地域医療を支える仕組みへ育っていく過程を見届けたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月29日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

この企業について、
もっと深く知りたい方へ

パートナーシップ・お問い合わせはこちらから。