2026.10.24 │ 株式会社データクレシス │ 元発表:2026.10.22

データクレシス、量子耐性暗号対応IRM「DataClasys PQC」を12月発売

ニュース紹介

「国産初、量子コンピュータ時代に備えるPQC対応IRM『DataClasys PQC』を12月発売」

株式会社データクレシス(東京都千代田区、代表取締役:曽我 祐二郎)は、2026年10月22日、耐量子データセキュリティソリューション「DataClasys PQC」を2026年12月に発売すると発表しました。ファイル本体をAES-256で暗号化し、暗号鍵の保護にはML-KEM-1024とECDH P-521を組み合わせたハイブリッド方式を採用します。鍵の保護や鍵確立などの暗号技術をPQC(耐量子計算機暗号)対応とし、既存のDataClasysのファイル単位の暗号化と利用権限管理を引き継ぐ構成です。希望小売価格は未公表で、2026年11月6日に公表予定とされています。先着100社限定の「DataClasys PQC Unlimited Program」は5年契約・年額1,200万円(税別)で、事前導入相談は2026年10月26日から受け付けます。

出典:株式会社データクレシス 2026年10月22日 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000044428.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

PQC(Post-Quantum Cryptography)は、将来実現が見込まれる量子計算機の計算能力でも解読が困難と考えられるアルゴリズムで公開鍵暗号を置き換える取り組みです。現在広く使われているRSAや楕円曲線暗号(ECC)は、量子計算機上で動くShorのアルゴリズムによって多項式時間で解けると理論的に示されており、長期の機密性を要する情報を守るうえで移行が課題となっています。

IRM(Information Rights Management)は、ファイル自体に暗号化と権限情報を結びつけ、配布後も閲覧・編集・印刷などの操作を制御できる仕組みです。企業内外のファイル共有で情報の持ち出しを抑えるために使われます。

①ハイブリッド鍵確立による移行期の設計

DataClasys PQCは、ファイル本体の暗号化に広く使われているAES-256を用いる一方、ファイルを開くために必要な暗号鍵の保護・鍵確立の層でPQCを採用しています。採用したのはML-KEM-1024と、従来の楕円曲線暗号であるECDH P-521を組み合わせたハイブリッド方式です。ML-KEMはNISTが2024年8月にFIPS 203として標準化した格子暗号ベースの鍵カプセル化方式で、ECDHは実運用で広く検証されてきた鍵共有方式です。両者を併用することで、どちらか一方のアルゴリズムに将来欠陥が見つかった場合でも機密性を保てる構成を取っています。

②日本政府の2035年移行方針と企業側の対応状況

内閣官房国家サイバー統括室は2025年11月、政府機関等のPQC移行を原則2035年までに完了させる方針を示す中間とりまとめを公表しました。欧州連合・英国・カナダなども同じく2035年を目標時期として掲げており、各国で歩調が揃いつつあります。一方、同社が2026年10月に経営層・IT/セキュリティ関係者計1,000人を対象に実施した独自調査では、PQCを「知らない」と答えた人が全体で50.0%、経営層では72.4%にのぼったとされています。機密保持期間が5年以上の情報を保有すると答えた割合は66.8%で、公開鍵暗号の危殆化前に鍵交換データを収集・保管しておき後から解読を試みる「Harvest Now, Decrypt Later」と呼ばれる脅威への備えが、長期保存を前提とする機密情報では意味を持ちます。

編集部からひとこと

量子計算機で現行の公開鍵暗号が危殆化するまでの時間軸はまだ見通しが揺れており、2035年という年限も実装側の工程を逆算した目標です。製品単位でPQC対応を打ち出す動きは国内の情報漏洩対策市場では珍しく、同社は2026年10月時点のステラアソシエ株式会社の調査結果に基づき「国産初」と位置づけています。累計導入1,000社以上の既存基盤を持つ製品が移行経路を示したことで、既存ユーザーが鍵の設計をどこから入れ替えるかを具体的に検討できる段階に入ってきました。既存V5.xからの移行は可能ですが、既存ファイルが自動でPQC対応になるわけではないとされており、鍵の付け替えとファイルの再暗号化をどう段階的に進めるかが実務上の論点になりそうです。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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