2026.11.05 │ 東北大学・大阪産業技術研究所 │ 元発表:2026.10.27

東北大学ら、シリコンを伸縮させてテラヘルツ波を制御

ニュース紹介

「硬くて脆いシリコンをフレキシブル化することでテラヘルツ波を制御(MEMS微細加工で「フレキシブル・テラヘルツシリコンフォトニクス」を創成)」

地方独立行政法人大阪産業技術研究所(ORIST)電子・機械システム研究部の山根秀勝らと、東北大学電気通信研究所の冨士田誠之教授らの研究グループは、MEMS微細加工を用いて、硬くて脆い単結晶シリコンをフレキシブルかつストレッチャブルにし、テラヘルツ波の屈折率などを制御することに成功しました。

厚さ200マイクロメートルの高抵抗単結晶シリコン基板に周期的な渦巻きばね状の微細構造を形成し、フレキシブルかつストレッチャブルな自立型のシリコン基板を実現しました。この微細構造は機械的なばねとして変形を担うと同時に、テラヘルツ波の光学材料としても機能します。基板を伸ばすと、シリコンと空気の割合や構造の異方性が変化し、テラヘルツ波に対する実効屈折率、位相、偏光応答、スペクトル応答が変化します。成果は米国科学誌「Optica」に掲載されました。

出典:東北大学 2026年10月27日 プレスリリース/掲載誌:Optica/DOI:10.1364/OPTICA.596183
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/press20261027-02-Silicon.html

FrontJournalの解説

テラヘルツ波とシリコンの課題

今回の研究は、テラヘルツ波を扱う素子に使うシリコンを、伸び縮みする形に加工したものです。「東北大学」の発表によると、テラヘルツ波(電波と光の中間にあたる約0.1~10テラヘルツの電磁波)は、非破壊検査・材料分析・イメージング・次世代無線通信などへの応用が期待されています。

シリコンはテラヘルツ波の吸収が小さく、微細加工で導波路やレンズ、偏光素子を作れるため、有力な材料として研究されています。一方、単結晶シリコンは硬く脆いため、従来のシリコン製テラヘルツデバイスは、形状が固定された剛直な構造に限られていました。

①渦巻きばね状の微細構造で、シリコンを伸縮可能に

研究グループは、厚さ200マイクロメートルの高抵抗単結晶シリコン基板に、MEMS(半導体の微細加工技術で微小な機械構造を作る技術)を使って、周期的な渦巻きばね状の構造を形成しました。これにより、フレキシブルかつストレッチャブルな自立型のシリコン基板を実現しています。

この微細構造は、機械的なばねとして変形を担うと同時に、テラヘルツ波を扱う光学材料としても働きます。

②基板を伸ばすと、屈折率や偏光応答が変わる

基板を伸ばすと、シリコンと空気の割合や構造の異方性が変わります。その結果、テラヘルツ波に対する実効屈折率・位相・偏光応答・スペクトル応答が変化することを示しました。

研究グループは、機械的な変形を新しい設計の自由度として取り入れ、形状と機能を機械的に調整できる「フレキシブル・テラヘルツシリコンフォトニクス」の基盤を示したとしています。

FrontJournalからのひとこと

硬くて脆いシリコンに渦巻きばね状の構造を作り、伸ばすだけでテラヘルツ波への応答を変えられるようにした点が今回の特徴です。機械的な変形を設計の自由度にする考え方が、具体的な素子としてどう形になるのか、注目しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら

プレスリリース原文を読む