2026.09.07 東京理科大学 元発表:2026.09.07

東京理科大学ら、ニオブを含む窒化物半導体NbAlNの作製に成功

ニュース紹介

「遷移金属ニオブを含む極性ウルツ鉱型窒化物半導体「NbAlN」の作製に成功 ~GaN系ヘテロ構造の界面電子密度を3倍超に高め、分極を生かした材料設計を拡張~」

東京理科大学先進工学部マテリアル創成工学科の小林篤准教授、池田和久助教、同大学院の黒木颯太氏、奥田朋也氏、菊池立貢氏、東京大学三重大学の研究グループは、遷移金属ニオブ(Nb)を含む窒化アルミニウム系半導体「NbAlN」を、窒化ガリウム(GaN)上に単結晶の極性ウルツ鉱型薄膜として作製することに初めて成功したと発表しました。

AlNにスカンジウムなどを加えると格子定数や分極に関わる性質を大きく変えられることが知られていますが、金属的な結合を好む遷移金属を取り込みながら、ウルツ鉱型の結晶構造と一方向にそろった極性を保つことは困難でした。

研究グループは反応性スパッタエピタキシーにより薄膜を成長させ、Nbを23%含む約25nm厚のNbAlN薄膜がGaNと同じ金属極性の積層を保つことを確認しました。この膜をバリア層に加えた構造では、界面の二次元電子ガスの密度が5.1×10¹²cm⁻²から1.7×10¹³cm⁻²へと3倍超に増えました。本成果は国際学術誌『Advanced Materials』に9月3日付でオンライン掲載されました。

出典:東京理科大学 2026年9月7日 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000276.000102047.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

スマートフォンの充電器や通信基地局に使われはじめている半導体が窒化ガリウムGaN)です。シリコンより高い電圧に耐え、速く切り替えられるため、装置を小さく軽くできます。

性能を決めるのは、種類の違う窒化物を重ねた境目にできる電子の層です。ここに電子がどれだけ集まるかで、流せる電流の大きさが変わります。

①遷移金属を混ぜると結晶が崩れる

窒化アルミニウムスカンジウムなどを加えると、格子定数や分極に関わる性質を大きく変えられることが知られています。

ただし遷移金属は金属的な結合を好むため、混ぜながらウルツ鉱型の結晶構造と、一方向にそろった極性を保つことは難しい課題でした。

②ニオブを23%含んでも極性がそろう

研究グループは反応性スパッタエピタキシーという方法で、GaNの上にNbAlNの薄膜を育てました。

原子1個まで見える電子顕微鏡で調べたところ、ニオブを23%含む約25nmの膜が、GaNと同じ向きの積層を保っていました。ニオブが多いナノ領域があっても結晶格子は途切れず続いており、この膜を加えた構造では二次元電子ガスの密度が3倍超に増えています。

編集部からひとこと

混ぜられる元素が1つ増えることは、設計できる範囲が広がることを意味します。電子密度を材料の側から調整できれば、同じ構造でも流せる電流を変えられます。研究グループは、遷移金属を含む極性窒化物へ材料選択の範囲を広げ、GaN電子デバイスの設計に新たな選択肢を示したとしています。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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