2026.10.01 │ 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) │ 元発表:2026.09.30

NEDOら、AIと量子化学計算で合成経路を設計、開発期間を約5分の1に

ニュース紹介

「機能性化学品の開発期間を約5分の1に短縮可能なプログラムを開発しました」

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、株式会社TSテクノロジー、奈良先端科学技術大学院大学は、AIと量子化学計算を融合した化学合成プログラム「AMATERUS AI」を開発しました。本プログラムは、知識化・データベース化AI、合成ルート探索AI、反応予測・検証AI、プロセス概念設計AIの4つの手法を組み合わせ、膨大な化学合成経路案の中から目的に応じた最適な経路案を選別・評価できるとしています。医薬品合成を対象とした評価では、作業工数を64週・人から12週・人へ削減でき、開発期間を従来の約5分の1まで短縮することを実証したと発表しています。TSテクノロジーは2026年9月30日から、本プログラムを活用したサービスの提供を開始します。

出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 2026年9月30日 プレスリリース
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101968.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

医薬品、農薬、香料、電子材料などの「機能性化学品」は、特定の性能や機能を持たせて作られる化学品の総称です。こうした化学品をつくるには、目的の化合物をどの原料から、どの反応・条件で合成するかという「合成経路」を設計する必要があります。

原文によれば、この経路設計は文献調査や研究者の経験、個別の計算・検索ツール、実験による試行錯誤に依存してきました。候補となる経路が膨大なため、最適な経路の探索に多くの時間と人的資源を要することが課題とされています。

①AIによる合成経路の探索と評価

ひとつ目は、AIによる経路の探索です。標的の化合物から原料へとさかのぼって反応を組み立てる考え方は「逆合成解析」と呼ばれ、AIで自動化する研究が国内外で進められています。一般に、AIが出す提案には、実際には合成しにくい反応が含まれる場合や、複雑な化合物では探索範囲が広がる点が課題として指摘されています。今回のプログラムは、探索のAIに加え、反応予測・検証AIとプロセス概念設計AIを組み合わせた構成で、経路の選別・評価までを一連で扱うものと発表されています。

②量子化学計算による反応の評価

ふたつ目は、量子化学計算との融合です。「量子化学計算」は、分子の電子の状態を量子力学に基づいて計算し、反応の進みやすさなどを見積もる手法です。AIが示した経路案を計算で評価することで、実験に進む前に候補を絞り込める可能性があります。TSテクノロジーは山口大学発のベンチャーで、計算化学を用いたシミュレーション技術を事業としています。本件はNEDOの「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」の成果として公表されました。

編集部からひとこと

発表では、医薬品合成を対象にした評価で、作業工数が64週・人から12週・人になったと示されています。この数値は特定の評価条件での結果であり、他の化合物や産業分野で同じ短縮が得られるかは、原文からは分かりません。一方で、経路設計に必要な人手と時間をどこまで減らせるかは、機能性化学品の開発全体に関わる論点です。2026年9月30日にサービス提供が始まっており、今後どのような化学品の開発に使われるかが注目点になります。詳細な評価条件はNEDOの公式ページをご参照ください。

FrontJournal編集部

プレスリリース原文を読む

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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